2022年11月３日のライブデビューから数えて約5か月、2023年4月13日に、metariumが新宿BLAZEを舞台に1stワンマン公演「すすめ未来へちゃん！～運営からの挑戦状～」を行った。

   大勢のファンたちが詰めかけた場内。冒頭から7人は、フロア内でたくさん揺れるカラフルなペンライトの輝き以上に眩しい姿で攻めだした。ここから未来へ向かって突き進む意志を元気いっぱい示すように、metariumのライブは『すすめ!未来へちゃん』からスタート。
　彼女たちは、アイドルとしてつかみたい夢を君と一緒に叶えたいんだと歌っていた。７人は、"君"と一緒に物語を描こうと誘いかける。ハッピーなポップチューンに気持ちを揺さぶられるまま思いきりはしゃいでしまうのは、もちろん。7人は、いつだって同じ目線で共に夢をつかもうと熱く声をかけてくる。だから、彼女たちの思い描く未来の景色を、同じ目線で共に描きたくなる。それくらい未来への楽しい期待を毎回示してくれるからこそ、その姿を追いかけたくて、たくさんの人たちがここに集まっていた。

 さぁ、もっともっと一緒に冒険を続けようかと誘いかけるように、metariumは、高揚した気分へと導く熱狂チップチューンの『metaアドベンチャー』をドロップ。メンバーらのセリフのかけあいも胸に熱い。テンションの高い姿を示しながら盛り上がっていたかと思えば、急に転調し、物語の一場面を演じるように見せるなど、はちゃめちゃに弾けたスタイルを軸に据えながら、1曲の中で様々なドラマを描き出す。それもまた、metariumの楽曲の楽しさ。メンバーたちが曲の世界へ染まり切って無邪気にはしゃぐ、その姿を追いかけたくなる気持ちもすごくわかる。夢や希望に心を熱く燃やす女の子ほど、超絶無敵な存在はない。かわいい破天荒な姿を、7人は『metaアドベンチャー』を通して見せていた。終盤に生まれた、観客たちとの熱い声のやり取りも胸に熱かった。

　MCでは、「始まる前から(この景色をみて)泣きそうだった」と、メンバーたちが、予想以上に大勢の人たちが来てくれたことに感激する言葉も述べていた。それだけ、今のmetariumに期待を寄せている人たちが、続々と増えているということだ。

  「新宿BLAZE踊っちゃえ!!」の声を合図に、「ねぇ ○○(あれ)したいな したいな」と歌いながら始まったのが『ねえ○○したいな?とはいえすごいかわいいな?』。メンバーたちが「そいやー すごいやー」や「咲いた なんだ」と歌い踊るたびに、フロア中の人たちも、同じ動きをしながらはしゃいでいた。最初こそ、その様を眺めていた人たちも、いつの間にか動きを真似して手や身体を揺らしていたように、彼女たちと一緒に、この会場に祭りあがる空気を作りあげていた。7人が歌やパフォーマンスを通し、見ている人たちに向けて、自分の殻を破って一緒に弾けちゃいなよと誘いかけるんだもの。その輪の中に飛び込まなきゃもったいない。みんなで「したいな したいな」と身体を横に逸らして踊る動き、ライブに足を運んだ際にはぜひ真似てもらいたい。いや、そんなこと気にせずとも、気付いたらこの熱気の中に巻き込まれ、一緒にはしゃいでいるはずだ。

  フロアに生まれた熱気に、さらに熱い油を降り注ぐように、メンバーらが「ウッハッウッハッ」と拳を突き出しながら『まいにちたのしいね』を歌いだした。7人の「ウッハッウッハッ～」の動きに合わせ、フロア中の人たちも動ける範囲内でとはいえ、拳を斜め45度上に突き上げ、同じ動きをしながら楽しんでいた。彼女たちが「ピーパッパパラッポ」など、呪文のような言葉を歌うたびに気持ちが軽くなり、ふわふわと舞い上がるような感覚を覚える。７人と一緒にカンフーアクション??のような振りを決めながら腕を振り上げるたびに、気持ちがどんどんアガりだす。いつの間にか頭の中から理性という感情が消え去り、バネ仕掛けの人形のように身体が強く揺れ動いていた。彼女たちが突きつける「ウッハッウッハッ～」の言葉が理性を吹き飛ばす最高にマジカルな呪文になって、フロア中に「楽しい」の魔法を降り注いでいった。

  立て続けに流れた『ソライロ式リスケール』でmetariumが見せたのは、真っ直ぐな気持ちで夢を追いかける眩しい青春の景色。一緒に口ずさみたくなるキャッチーな歌なのも嬉しい。サビ歌で7人が声を一つに歌うたび、心をずっと幸せな色に染め続けていたくなる。わちゃわちゃと弾けたダンサブルなスピードポップチューンも魅力的だが、歌心を前へ前へと押し出した歌謡メロ調の楽曲も、共に青春の景色の中へ飛び込んでゆく感覚を覚えさせる魅力的な表情だ。歌詞に綴った「ソラに描いた 可能性のシャワー」の一節ではないが、彼女たちと一緒に笑顔で光に向かって走っていると何か素敵なことを味わえる。この曲に触れている間中、そんなワクワクをずっと感じていた。

  ここからは、新衣装姿へ。その姿で最初に披露したのが、新曲の『新世界レディトゥゴー』。冒頭、メンバーたちの物語を語るようなセリフからスタート。華やかな和ダンス曲という理由もあり、楽曲が流れたとたんに、この場をレトロサイバーな空間へと塗りかえてゆく。振りを真似ながら、ずーっと一緒に踊りたくなる。かわいい中にも熱情一体化した景色を作りあげる楽曲だ。おらおらとした歌声や勢いを胸に、未来に向かって楽しく突き進む7人の姿に触れている間中、気持ちが嬉しくはしゃいでいた。彼女らの「夢で終わらせないぜ」と歌う言葉に共鳴。夢を叶えようと願うのではなく、夢はこの手で奪い取る。それくらいの強気な姿勢で。でも、無邪気な笑顔を忘れずに、祭り囃子のようなかけ声も魅力に彼女たちは突き進む。7人が「Hi!!」Hi!!」と煽るたびに、メンバー一人一人が思いをまき散らすように歌う姿に触れるたび、騒ぐ気持ちを抑えられなくなる。「夢で終わらせないぜ」彼女たちの熱い心意気が、さらに気持ちを熱くしてくれた。 
　　　　　　　　
  メンバーがキラキラとした声で「君とわたしでつくる物語」と歌いだすのを合図に始まったのが『トクベツ』。とてもキラキラとした、メンバーらのコケティッシュな魅力を味わえる楽曲だ。曲調も胸キュンの清純系ポップチューンなら、7人も胸をキュンキュン弾ませる恋する乙女のモードに気持ちを染め上げ、キラキラの眩しい視線を向けながら、見ている人たちに甘いモーションをかけていた。舞台の上で見せるわちゃわちゃとした姿は、まるで恋に恋する乙女たちが、気持ちの騒ぐままにはしゃぎあう姿そのままだ。ちょっとした不安さえも輝きに変えてゆく。そんな恋する乙女の真っ直ぐなときめきを、７人が愛らしく歌っていた。

　『トクベツ』を歌い終わったとたんにフロア中に響き出したエマージェンシーのコール。舞台の上が真っ赤なライトに照らされる中、巨大なスクリーンに移し出されたのが「整列せよ」の言葉。そのまま楽曲は、雅で華やかなポップチューンの『ちょうどよきビューティー』へ。メンバーらの「レッツ」「ダッシュ」「ジャンプ」のかけ声に合わせ、フロア中の人たちがその場で手を振り上げ、飛び跳ねる姿も誕生。『ちょうどよきビューティー』は、メンバーと一緒に熱い歌のやり取りを楽しめるパーティーチューン。次々と転調しながらも、ずっとわちゃわちゃした楽しさを持って突き進む。メンバーらと一緒に「Hi!!Hi!!」と拳と声を上げてはしゃげば、熱い掛け合いを描くなど、一緒に大騒ぎできるのが嬉しい。

　最後にmetariumは、ふたたび『ねえ○○したいな?とはいえすごいかわいいな?』を熱唱。メンバーたちは、これまで以上に凛々しく、逞しい姿で。でも、かわいい声も魅力に「ねえ○○（あれ）したいな」と煽っていた。自分のソロパートを歌うたびに、中央のお立ち台に乗ってフロア中の人たちを煽るように歌う姿も愛らしい。メンバーらとフロア中の人たちが同じ動きをしながらはしゃぐ様も、この曲ではお馴染みの景色。むしろ、この場にいる以上は、一人一人がメンバーと同じ気持ちに染まり切って、一緒に最高のひとときを味わってこそ。でなきゃ、ここにいるのがもったいない。

　アンコールを通し、最後の最後にmetariumは、グループが誕生して以来ずっと変わらぬ強い意志をふたたびぶつけるように、『すすめ!未来へちゃん』を元気いっぱいに歌っていた。舞台の上で弾ける姿に合わせ、フロア中の人たちも同じ動きをしながら、7人と一緒に未来をつかみとる約束を交わしていた。彼女たちは、アイドルとして舞台の上で輝くことに楽しさと喜びを感じていた。自分たちの思いが伝わるほどに、フロア中に笑顔の花が増えてゆく事実に喜びを覚えながら、目の前に広がる笑顔の花を、これからもっともっとたくさん花咲かせることへ強い期待を抱きながら、舞台の上で自分たち自身が最高の笑顔の花を咲かせていた。

 metariumは11月11日に、デビュー1周年を記念したワンマン公演を、ふたたび新宿BLAZEで行う。その日には、今日以上にどんな景色が広がっているのか、とても楽しみに思えてきた。




TEXT:長澤智典