「アニメ・ゲームソングで活躍するアーティストが一堂に会し、日本を代表する電脳カルチャーを発信していくドリームステージ」を展開している『電脳DIVE』。その『電脳DIVE』が、姉妹イベントとして定期的に開催している『AGS-New Generation-』。
  11月27日(日)に池袋LIVE INN ROSAを舞台に、『AGS-New Generation-Vol.22&23』が、昼夜2公演行われた。ここでは、福原香織/太田彩華/上間江望/藤嶋美伶/夜道雪/月城七星/塩出美彩希/Sprout!!/河奈ナミが出演した『AGS-New Generation-Vol.23』の模様をお伝えしたい。

藤嶋美伶

　囁揺的音楽集団AsMRのメンバーとしても活動中。普段は、モデルとしての顔も持つ藤嶋美伶。彼女のライブは，この空間を、世紀末を舞台にしたような混沌とした場へ染め上げる囁揺的音楽集団AsMRの『Ark of Chaos』を歌い、幕を開けた。とても荘厳で雄大な。でも、その中に悠久という時を刻む音色も描き加えられてゆく。まさに、壮大な交狂(響)曲だ。まがまがしき存在の僕（しもべ）であり、その語り部となった藤嶋美伶。彼女の歌声には、雄々しき世界観を描きだす楽曲がとても似合う。その姿は轟音シンフォニックロックを歌うオペラ歌手のようだ。

　ガラッと表情を塗りかえるように次に藤嶋美伶が届けたのが、荒井由美の『ルージュの伝言』。さきほどとは打って変わって、この曲で彼女は、心も、歌声も軽やかに弾ませていた。風を切ってハイウェイをドライブするように、藤嶋美伶は心地好い歌声の風を吹かせていた。彼女自身が、その曲ごとに自分の心の色を染め上げ、その歌のキャラクターに成りきってゆく。だからこそ聴く側も、1曲ごとに表情が大きく塗り変わろうと、その色へ素直に気持ちを寄り添えていける。

  『異端者の祭典』も、囁揺的音楽集団AsMRの楽曲。いつもはバンド演奏で届けている楽曲を、オケを用いたソロスタイルにアレンジ。楽曲の持つ重厚で荘厳な世界観をしっかりと投影。そのうえで、バンド演奏時以上に歌声の輪郭をくっきり描きだせる環境という理由もあり、表現力と表情豊かな彼女の歌声。歌詞に綴った思いを、より臨場感を持って感じられたのも嬉しかった。

  最後も藤嶋美伶は、囁揺的音楽集団AsMRの『トレモロ』を歌唱。雄大な音の中からでさえ繊細さの垣間見える楽曲のように、次第に壮大さを増す楽曲の中、細かく表情の色を塗りかえる藤嶋美伶の歌声の魅力を、この曲を通して、より深く感じていた。感情を抑えた様から解き放つ姿まで、とても表情豊かな。心をぐっとつかみ、強く握って離さない藤嶋美伶の歌をどっぷりと味わえたライブだった。
 

PHOTO:菊島明梨
TEXT:長澤智典

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