未完成リップスパークル、通算6回目となるワンマン公演の場として選んだのが、グループ史上最大規模となる川崎CLUB CITTA'。大会場でのワンマン公演は2年ぶり。気になるのが、今回のライブタイトルに付けられた「倒せ! らぶりーモンスター～星のかけらを集めて～」の意味。この日はスペシャルゲストとして、同じ事務所に所属するベクアステラ/CUPIDOLIC/LOVE CCiNO/三日月スナイパー/ブルーなままでもの5組もライブにかけつけ、1曲ずつ披露。仲間たちの応援を受け、未完成リップスパークルのライブは幕を開けた。

　大きなスクリーンに映しだされたのが、ファミコンゲームのスタート画面。3人のヒロインが、モンスターを倒すための戦いの旅を始める形でプレイがスタート。そこへ絡むように、未完成リップスパークルのライブも始まった。

　ゲームの幕開けを飾るオープニングテーマを歌うように、ライブはファンがアイドルにガチ恋する「ガチ恋♡Melody」からスタート。キラキラ弾けたポップチューンに乗せ、3人は舞台上で弾けだす。昨日までの日をCONTINUEし、ここからまた新しい物語を始めてゆく。そんなシチュエーションに似合う楽曲だ。落ちサビでは、メンバーとフロア中の人たちがサイリウムを手に、この空間をオレンジ色へ一気に染め上げた。その光景に触れ、胸がドキッと高鳴った。

　さぁ、ここからもっともっと心のアクセルを踏み込んで駆けだそう。未完成リップスパークルが歌ったのが、フロア中を踊り騒ぐ景色に塗り上げる「ニンジン」だ。フロア中の人たちが、メンバーたちの振りを真似ながらマスク越しに声を上げていた。会場も広く天井も高いこともあって、この日は、マスク越しなら声を上げても良い条件。胸躍る楽曲に乗せ、舞台の上を右へ左にと走るメンバーたち。恋したときのドキドキ高まる気持ちを思い切りぶつけるように歌う3人の声や姿に刺激を受け、騒がずにいれない。

 「ドキドキ」「好き好き」の声に、胸がときめいた。彼女たちが歌ったのが、心をラブリーやときめきという明るい色に染め上げるポップチューンの「SWEET SWEET」。彼女たちの誘いに合わせ、ハートのボリュームがどんとん上がりだす。上がっていくのは、熱狂というハートのボリューム??3人の愛らしい姿に触発されて高まった恋という名のアツアツのハートのボリューム??もちろん、どっちもだ。3人に「ドキドキ」「好き好き」とアプローチを受けた瞬間から、理性なんて言葉が消え去り、ハートが破裂しそうな勢いでバクバクしっぱなしだ。ドキドキに理由も理屈もいらない。感じたままに心騒ぐから、フロア中の人たちも3人に熱い思いを夢中でぶつけていたわけだからね。

 
   スクリーンにはふたたび8bitなピクセルによる3人の姿が現れた。さらに画面には「ハンサーマー」という名のモンスターも登場し、3人に襲いかかる。彼女たちは、「これでも喰らえ!!」と必殺技を繰り出した。

  3人は、季節の螺子を数ヶ月ほど巻き戻し、爽やかな夏の風をフロア中に吹かせ始めた。彼女たちは「ああっ 夏! はんぶんこサマーっ」を歌いながら、夏を彩るいろんな景色の中、愛しい人との思い出を作るようにはしゃいでいた。彼女たちは愛らしい歌声の手を伸ばし、一緒に眩しい景色の中へみんなを連れだし、心を騒がせていった。

　最初のモンスターを撃破、未完成リップスパークルは星の欠片を一つ手にいれた。だが、すぐに次のモンスター「ソマール」が登場。この敵を倒すには、この力強い楽曲が必要だ。

  彼女たちは、激しい楽曲に乗せ、気持ちを熱く滾らせながら「純白ノ翼 キミ色ニ染まる」を歌いだした。3人の凛々しい歌声に刺激を受け、フロア中の人たちも昂る気持ちを、マスク越しのコールに乗せぶつけだす。気持ちを熱く沸き立てる楽曲に乗せ、メンバーと観客たちが昂る感情を交わしあっていた。3人の力強く振り上げる拳に、同じように拳を重ねあわせ、思いを激しく絡ませあう光景がとても熱い!!!

  またも、モンスターを撃破。これで、星の欠片を二つ手にしたメンバーたち。だが、息つく間もなく次のモンスター「ミカーン・セ・イジン」が現れた。この敵を倒すには、この武器(曲)だ。

  フロア中に、ふたたび激しい音楽が流れだす。3人は、沸き立つ気持ちのままに「未完成music」を熱唱。曲が進むごとにエモさが増してゆく。3人も、舞台の上を駆けながら、身体中から沸き立つ熱い感情を、先に見える輝きの中へ思いきりぶちまけるように歌っていた。心地好い緊張感を持ちながらも激しく駆け続ける楽曲と、メンバーらが高ぶる気持ちをぶつけるように歌うエモーショナルな声が交錯するたびに、感情が嬉しく奮い立つ。

  これで、3体のモンスターを撃破。またも星の欠片を手にしたところで登場したのが、可愛いラスボスの「らぶりーモンスター」。「でも、可愛さならうちらのほうが上だもんね」と、新穂純麗が、モンスターへ向け熱い言葉をぶつけていた。

　その言葉に相応しい、未完成リップスパークルの中でもとびきりの可愛さと、気持ちを熱く騒がせるエネルギーを充填した「らぶモン」を、3人は愛らしさ満載で歌唱。3人の歌う「パラリルラリラ」の呪文を耳にしたとたん、モンスターのみならず、誰もが素敵な恋の魔法に一瞬でかかっていた。このままラスボスも倒し、このステージをクリア…となるところが、3人は最後の最後に逆転され、ラスボスとの戦いに負けてしまう。命尽き果てる?彼女たち。
  そんな3人を助けたのが、未完成リップスパークルの冒険の旅のために集まった仲間たち。七瀬美優が、「みんなの力を私たちにちょーだい」とお願い。その声を合図に、フロア中の人たちがスマホのライトを点け、3人へパワーをチャージ。無事復活した3人は、ラスボスを倒すため、手にしたすべての星の欠片を用い、新衣装に着替えた新たな姿として甦り、ふたたびラスボスとの戦いへ挑み撃破。この冒険ステージをクリアし、全ての星のかけらを手に入れた3人は新曲「CONTINUE」を手に入れる。

  この新曲は、雪梨冴愛が作詞したこれまで以上に爽やかな、未完成リップスパークルらしい晴れた表情を持った胸弾むポップチューンだ。歌詞には、ここへ至るまでのいろんな苦悩の道も記されている。幾つもの苦難を乗り越えてきた3人は、パワーアップした姿でこの曲を歌う。

  新曲の「CONTINUE」を通し、未完成リップスパークルは、進化成長したうえで原点回帰をした姿を示すため、冒頭から、自分たちの楽曲を冒険RPGゲームのフォーマットの中へ物語仕立てで落とし込んできた。いきなり新曲を披露し、唐突に進化や変化、成長を示すのではない。なぜ、そうなったのかの理由を、エンターテイメントな要素を満載に、未完成リップスパークルは物語仕立てで伝えてきた。だから、見ている側も一緒に成長してゆく様を体感しながら、その進化を、よりリアルに実感できていた。

 　ここからは、最後まで熱狂描くノンストップのライブへ。口火を切ったのが、「ファンファンファンタスティック」。彼女たちは、ここからもっともっと熱くなれる冒険をしようと誘いをかけてきた。その誘いへ飛び乗るようにフロア中の人たちが手を振り、無邪気に飛び跳ねながら、新たな冒険を始めようと、道の先に見えてきた熱い日射し降り注ぐ景色の中へ飛び込んでいった。

  先に広がっていたのは、心を思い切り大胆に開放する真夏という最強の季節。妄想の中、水着姿の3人が、「いたずらさまーキュンラプソディ」を歌いながら甘く誘う。フロア中で大騒ぎするみんなのハイなテンションに刺激を受け、気持ちを熱く騒がせ歌い躍るのも、この空間に生まれた、夏の季節以上にアゲたエモさのせいだ。もっともっと騒ぎたい。すべては、このライブのせいなんだもの。

　エレクトロな旋律が身体を騒がせる。「サイドチェインガール」を通し、3人は少し大人なモードも歌声や仕種に加えながら「君が好き(オレモー) 君が好き(オレモー) 」とファンとコール&レスポンス。長い間声が出せなかった時期が続いたこともあり、久しぶりに見る光景に胸が踊る。

  さぁ、ここからは熱狂という理性を消し去った空間で、「私信津々恋愛CHU」に合わせ、夢中になってはしゃごうか。未完成リップスパークルのメンバーらと一緒に冒険を続けてゆく中、今宵の僕らはたくさんのキラキラという武器を手にしていた。、何時の間にか、誰もが最高の勇者に成長していた。雪梨冴愛の「これからもずっと、見逃さないで見ててね」のセリフにファンが呼応する。

　この物語は，まだまだ遠い未来にまで続いてゆく。3人は「Starlight Story」を歌いながら、ここまで未完成リップスパークルという本の中へ綴ってきた物語を振り返るように。その物語へさらにキラキラ輝く歌の魔法を振りかけ、熱狂の旅を作りあげてくれた仲間たちと一緒に新天地へと辿り着いたことを喜び、その幸せを、少し胸込み上げる思いも抱きながら、笑顔で分かち合っていた。「僕の夢の先遠く照らし続けるかすかな光」を見ながら、一緒に歓喜の声を上げていた。

　未完成リップスパークルの物語は，まだまだ長く続いていく。さらに一段レベルを上げた物語へと綴る新しい冒険を、また一緒にしようよと誘いをかけるように、３人は「加速FANTASY」を最後に歌っていた。楽曲が流れたとたん、騒ぐ気持ちが一気に加速しながら走り出した。3人の熱い誘いを受け、フロア中の人たちが拳を振り上げ、「Oi!Oi!」と叫びながら、3人と一緒に光を超える勢いで、未来へ向かって駆けだしていった。
　彼女たちは、「あの日の夢から 続きを始めよう」と力強く歌っていた。今宵は、これまでの未完成リップスパークルをCUNTINUEし、さらに進化した未完成リップスパークルへとバージョンアップした日。進化したのは3人だけじゃない。ここにいた人たちも、そう。この進化した姿を、未来で待っている新しい仲間たちへも伝え、この冒険物語へたくさんのキャストを加えながら、もっともっと大きな物語にしていきたい。「僕らは未来へ 世界へ届くように～あの日の夢から続きを始めよう～」。七瀬美優・新穂純麗・雪梨冴愛の3人が、フロア中の人たちが、みんなで「加速FANTASY」を歌いながら、真っ白い次のページへ熱量を持った筆圧で、この思いを、「この日の夢の続きを、また書き記そう」と約束を交わしあっていた。

そう、僕たちは「ひとりじゃないから」

PHOTO: 児玉 光弘
TEXT:長澤智典

セットリスト
「ガチ恋♡Melody」
「ニンジン」
「SWEET SWEET

「ああっ 夏! はんぶんこサマーっ」
「純白ノ翼 キミ色ニ染まる」
「未完成music」
「らぶモン」
「CONTINUE」(新曲)
「ファンファンファンタスティック」
「いたずらさまーキュンラプソディ」
「サイドチェインガール」
「私信津々恋愛CHU」
「Starlight Story」
「加速FANTASY」