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2020.10.24
終わらないで、夜

終わらないで、夜 2nd anniversary live「静かな街」ライブレポート これから始まる新たな夜への序章

大都会とはまた違う、独特の喧騒がある下北沢。今日も様々な人たちがいろんな想いを抱いてざわついている夜に、喧騒の中の静かな街が下北沢GARDENにあった。「終わらないで、夜」2nd anniversary live となるこのライブは、今のおわよるの集大成にして、これから始まる物語のプロローグとなる夜だった。

 

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開場から開演までの間、街のざわめきがずっと流れていた街の中に取り残させたそんな気分にさせられる開演前。ステージは、真っ白な布がかかり、無機質な空間が広がる。ざわめきが続く中、メンバーがスッとステージに現れる。現実とライブの境目がわからなくなるようにグラデーションをかけるように、そして全ての音が止まり『静かな街』が始まる。

 

この日登場した4人は新衣装のサプライズお披露目で登場。今までとは異なり真っ白な衣装で登場。全員が違う形で異なるシルエットの衣装を纏う、4人に共通しているのは白いコト。「終わらないで、夜」と白い衣装は、相反するように見えるが、彼女たちが身につけると真っ白な衣装は、彼女たちらしくなる。染まれない、染まりたくない、そんな白に見えてくる。真っ白な衣装の概念を壊されるような気分になる。

 

緊張の空気が伝わるようなオープニングは『ルサンチマン』。その空気を振りほどくように、今までの悲しみや辛さが絡みつくような、それを振りほどくように、いつもよりもオーバーアクションで踊る。その流れが止まらないまま『紺色を泳ぐ』、今まで以上につかみどころがなく空虚を掴むようなステージ上は、何かに憑依されたように歌い踊る。

これが「終わらないで、夜」の曲に入り込んだ瞬間なんだろう、この日は1曲目からそれが続いており、曲もノンストップにシームレスに続いていくため『幻影東京』の入りのタイミングで、都会の騒がしさの波に流されるように、今が何曲目かわからなくなる。初披露となった『幻影東京』は、今までにないポップさとダンサブルな1曲だ。今までとは違う振りの動きに、手探りな感じで4人が4人の表現をする、それが幻を掴むような雰囲気を醸し出す。今日この曲のこれからの成長を強く感じた。

 

流れるように『Anemone』『人のおちる街』『3:25 a.m.』へ続く。この3曲の流れが、徐々にこの日、地に足がついてくるのを感じる。さっきまでは、空虚な夜を彷徨うような不安感があったが、耳慣れた曲たちが続く中、内側に向いていた4人の気持ちが少しづつ外に表現を始める。鈴星るうが先陣を切るようにため込んだ感情を見せると、木菟あうるも続く。抱えていた緊張を振り払うように4人がそれぞれ『静かな街』に存在する覚悟ができたように、カッコつけるのを止めた。

 

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一旦メンバーがステージを下り、街のノイズが入る。後半パートへ。

そして再び静寂へ、暗闇の中の静寂に会場が包まれる。時が止まったかと思われる暗闇と静寂を徐々に解き放つように優しい鍵盤とギターの音色が鳴り始める『Nocturne:Halation』。ここで少し空気が変わる。ひと呼吸入れたからか、力強いリズムに対して、しなやかにメロディに体を乗せる委ねる。ただ一人を除いて。真宵えまだけは、あえて"ゆらぎ"を見せる、街に染まりそうになる中で変わりそうになる中であえて調和を選ばなかったように、安定の中の不安定を表現するように『(Sick)Homesick』へ。受け手側の気持ちもあるだろうが、何度も聞いているこの曲は、今まで一番"ドライ"に感じた、前半パートでの感情の強さと対照的に、祈園にっとが飄々と踊る姿がさらっとしていて、何かを悟ったのか諦めたのかそんなこと表現しているように見える。

 

そして『Beyond the Night Sky』『Echoes』と、「終わらないで、夜」のライブでは盛り上がる流れへ。先ほどまでとは一転、いや冷静に聞くといつも通りなんだが、そのいつも通りの中でパフォーマンスが加速して溜め込んだものを爆発させていく、『Beyond the Night Sky』で肩で息するほどの激しいのは珍しいくらいに。そして『Echoes』で、客席と対話をし、やっとリラックスする。自分たちはここにいて、みんなもここにいる、目を合わせることで安心感を得ているように、客席を慈しむように歌を投げかける。そして今日の夜がひとつなる。

 

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こんな世界で私たちの曲が届けられるでしょうか、今はここにいるみんなに届けたい

 

鍵盤が先行するドラマティックなメロディに乗せてクライマックスへと歌い上げる。ここまでノンストップで駆け抜けている4人は体力もメンタルも削ってきている中、ここで終わってもいいくらいの声を絞りだす「あの日もここでひとり。泣きたくなって空を見上げてた」と。

そして初披露『誰もいない世界で』。スローテンポのこの曲は、4人横に並んで体を揺らしながら歌う。誰もいない世界で自分たちだけのように、だた誰も目の前は見ていなかった。ずっとずっと先を見ていた、ここではない遠くを見ていた。本当の言葉を探し求めるように。

 

この日、発売が発表されたミニアルバム「これを雨と呼ぶのなら」へ続くストーリーとなっていたこのライブは、曲の構成と演出とパフォーマンスで物語を作る、音楽ライブではなくパフォーマンス表現という「終わらないで、夜」だけの世界を構築していた。「静かな街」は幕を閉じるが、この夜を求める限り、「終わらないで、夜」の物語は続いていくのだろう。

 

 

<インフォメーション>

<セットリスト>

01.ルサンチマン
02.紺色を泳ぐ
03.幻影東京
04.Anemone
05.人のおちる街
06.3:25 a.m.
07.Nocturne:Halation
08.(Sick)Homesick
09.Beyond the Night Sky
10.Echoes
11.一瞬の光
12.誰もいない世界で

<インフォメーション>

2020年12月16日(水)
1st mini albumリリース
「これを雨と呼ぶのなら」
2,000円(税込)

収録曲
1.Seabed
2.誰もいない世界で
3.紺色を泳ぐ
4.幻影東京
5.-riptide-
6.Mother Depth
7.泡沫の願い
・APG、Niel、KOUICHI、3名が新曲を1曲ずつ書き下ろし。

タワーレコード渋谷店、新宿店、タワーレコードオンライン限定発売
各店順次予約受付開始。


完全受注生産 ライブDVD
2nd anniversary live「静かな街」ライブDVD
4,000円
2020/10/13 開催の2nd anniversary live「静かな街」を収録したライブDVD

全編収録+特典映像付き
ライブフォトアルバム付き



終わらないで、夜
公式サイト:
https://www.owayoru.com/

公式Twitter:
https://twitter.com/owaranaide_yoru

オフィシャルショップ:
https://owayoru.base.shop/

 

取材・文:もりたはぢめ
取材協力:株式会社センターグローブ

 

 

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