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Fragrant Drive Thumva Showcase ~葉山ゆず&西岡玲菜 Farewell Party~レポート!
葉山ゆずと西岡玲菜の二人が卒業してしまう、絶対に見逃せない特別なライブだ。事前のTwitterでも「曲数多め」と見ていたので期待値をあげてスタンバイした。
Overtureが流れ始める。ステージを照らすライトは卒業メンバー二人のイメージカラーの白と黄色で、いよいよだな、と深呼吸をした。
メンバーが袖から出てきて5人が揃う。卒業ライブのスタートは、メジャーデビューシングル「胸の奥のVermillion」だった。衣裳もこの曲のMVのもので、楽曲の情熱を写し取ったような赤とゴールドが象徴的だ。サビの両手を広げてふわっと羽ばたくような振り付けが、激しいテンポの中に一瞬だけ隙を作っていて、なかでも伊原佳奈美が独特の存在感を放っていた。次の「恋花」は、叶わない恋を歌っていて、パフォーマンスするメンバ―の表情も悩ましく、 板橋加奈が笑顔なのもかえって胸を苦しくさせるのだ。3曲目は「カウントダウン」。ダンスに力強さがあり、見応えがある。ライブで披露されるのは久しぶりなのではないか。「3・2・1」と指で示すのがカッコいい、盛り上がる曲だ。
3曲が終わるとMCが入り、まずは自己紹介。板橋が「ついに(卒業の日が)やって来ちゃいましたよー!」と戸惑いを隠せないのに対し、当事者である葉山は「始まったぜぃ」と普段通りで、まだ実感がないようだ。しかし、普段はステージ上に置かれることのない、ファンからのフラワースタンドが後方のど真ん中にいるので、見ているファンは嫌でも「卒業」を意識せずにはいられない。今回のライブ配信は、台湾でも見られるそうで、遠征に行った当時の話になり、葉山が挨拶の言葉をずっとメモに書いて懸命に覚えていた話も聞くことができた。板橋が「今日は泣かないように頑張るんだ」と言ったのをきっかけに、葉山が「じゃあ負けた(泣いた)らアイスね」と提案して、そこに伊原が「私も参加したい!」と名乗りをあげた。この結果は後ほど判明する。
ライブは「Everlasting First Kiss」で再開。初めての恋を永遠にしたいと願っている少女が描かれている。投げキスをしたり、♪ふたりの日々♪のところでピースサインをしたりと、可愛らしさが溢れた曲だ。デジタルサウンドなイントロが流れて「fancy drop love」が始まる。つい手を差し伸べたくなるような西岡の困り顔がキュートだった。そしてライブのアゲ曲「Growing Up」は、サビにジャンプやクラップが入るので、自宅で見ながら手を上げていた人も多いのではないだろうか。後半で5人が円になって集まった後に、さらに高くジャンプするのもポイント。先のわからない未来を嘆くよりも前を向こうとのメッセージが、少しずつでも着実に進んで行こうとするフラドラにもリンクしていて、等身大の姿が眩しい楽曲に仕上がっている。
続く「Clover」は、四つ葉がそれぞれ持っている「希望・誠実・愛情・幸運」のどれひとつも失うことなく、自分らしく歩いていきたいと宣言する若さゆえの理想が込められている。純朴なフラドラだからこそ似合う曲だろう。一転して「I'm a Dreamer」「Stay Gold」はこれまでと違ったパワフルさを見せてくるから面白い。特に片桐の目力には時に圧倒されてしまう。葉山のソロダンスもしなやかで美しく、西岡の伸びのある歌声も手伝って、元気をくれる1曲だ。片桐の煽りが入り、「キミのもとへ」が始まった。西岡と葉山のデュオがあり、力強い西岡と少し掠れたセクシーな葉山の声が重なると予想していなかったハマり感があり、すとんと心に入ってきた。
7曲ノンストップで駆け抜けてMCに移ったが、全員まだ息が整っていないうちに、板橋がさっそく「キミのもとへ」の葉山&西岡がエモいと言っていた。そこからセトリの話になったのだが、なんと今回のセトリは、卒業していく葉山と西岡が組んだそうだ。「エモエモなセトリを意識して作った」と西岡。葉山と西岡は2018年にフラドラに同時加入したので、思い出の中に、お互いはなくてはならない存在だろう。葉山が忘れられない楽曲としてあげたのは「Growing Up」。習得にかなり苦戦したらしく、初披露の日は楽屋の隅っこでギリギリまで必死に曲を聞いていたらしい。西岡はなかなか覚えられないステップがあり、レッスン場の外をずっとステップで周っていたそうだ。だからこそ、「Stay Gold」で5人が揃って、先生にほめられたときの感激はひと際大きかったと笑顔を見せた。
MCが終わると、西岡がソロで「サヨナラで終わるわけじゃない」を歌いあげた。この曲は、元AKB48・渡辺麻友のカバーで、AKB48の卒業ソングとして発表された。西岡にとって渡辺麻友は理想のアイドルでもあるので、「今の自分の心境にピッタリ」と思ったそうだ。続いて、葉山のソロ。シンガーソングライター・手嶋葵の「明日への手紙」をカバーした。センターに立ったままの歌唱で、とても大切に、丁寧に歌っている姿に見入ってしまった。未来の自分への励ましと、これまで応援してくれたファンにも届くように歌ったと、慣れないソロに少し照れていた。そして次は葉山&西岡のデュオ! 元モーニング娘。久住小春が声優を務めたアニメ「きらりん☆レボリューション」で使用された「ふたりはNS」を披露した。「NS」は磁石のN極とS極のことで、正反対なんだけどしっくりくる、女性同士の友情が描かれている。葉山と西岡も同じように、性格は全然違うが「いないと落ち着かない存在」と言う西岡に、「そうです、歌えてよかったです」と返す葉山。西岡は「(カメラに向かって)普段こんなこと言わないですよ!」と興奮気味だった。
ライブはいよいよファイナルへ。板橋、片桐、伊原が登場し、西岡と葉山にメンバーお手製のアルバムと「卒業証書(手書き!!)」が授与された。ここでとうとう板橋の涙腺が崩壊し、涙声になってしまう。葉山の目も潤んで、メンバー全員が驚愕していた。さて、誰が誰にアイスをおごることになるのやら?
西岡「(アイドル活動)2年って短いと思う人もいるかもしれないけど、振り返ってみると5人でたくさん思い出ができて、本当に最高のアイドル人生でした。アイドルでいさせてくれてありがとうございました!」
葉山「初めてのアイドル活動がフラドラでよかったなってすごく思います。いいメンバーに恵まれたなって。毎日ホントに楽しくて、あっという間にすぎました」
葉山、西岡の二人とも芸能活動は続ける予定で、フラドラも新体制を整えてまたファンの前に戻って来ると板橋から告げられたので、少しホッとした。
少しの間があり、ライブはアンコールへ突入! いつか歌ってみたかったと Flower Notes
の名曲「Lovin' you…」をカバー。ミディアムスローの、失ってしまった恋の歌。板橋&片桐のハモリも聞けて 歌のラスト、それぞれが別の方向に歩き出すところでメロディが切れるのが、振り付けの秀逸さにため息が漏れた。そして「Melt」と「Snow Dust」が続いた。それぞれシングルのカップリングだが、「Melt」のアンサーソングが「Snow Dust」と言われていて、この2曲が続きで聞けるのは珍しいことだ。さすが「エモエモ・セトリ」を銘打っているだけある。メンバー5人が伸ばす手や、目線がそれぞれ違っていて、曲の主人公が想っているのに相手に届かないもどかしさが伝わってきた。
そして最後のご挨拶。西岡が「今、世界で一番幸せなアイドルです! 本当にありがとうございました!」とコメントし、葉山は「Fragrant Driveのメンバーの一員として活動できて、本当に幸せでした。ありがとうございました」と卒業していく二人がしめた。
Fragrant Driveは、これから、また新しい変化を迎えようとしている。メンバーが前を向いているのなら、ついていくしかないではないか。
彼女たちが新しい香りを纏ったなら、それが新たな輝きになる。そんな姿が見れる日を楽しみに待っている。
<セットリスト>
01.胸の奥のVermillion
02.恋花
03.カウントダウン
04.Everlasting First Kiss
05.fancy drop love
06.Growing Up
07.Clover
08.I'm a Dreamer
09.Stay Gold
10.キミのもとへ
11.サヨナラで終わるわけじゃない ※カバー曲
12.明日への手紙 ※カバー曲
13.ふたりはNS ※カバー曲
-アンコール-
En.01 Lovin' you…
En.02 Melt
En.03 Snow Dust
<インフォメーション>
Fragrant Drive
公式サイト:
https://columbia.jp/fragrantdrive/
公式Twitter:
https://twitter.com/FD_LTG
写真:もりたはぢめ
取材協力:株式会社センターグローブ