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まだまだ一緒に音楽の旅を続けていこうと、見えない約束の指切りを交わしていた。 Runeワンマン公演「Rune 3rd Album「inception」BAND LIVE」レポート!

Runeが、最新アルバム『inception』を手に、1月24日に青山RizMで、バンドを従えたワンマン公演「Rune 3rd Album「inception」BAND LIVE」を行った。当日の模様を、ここへ記したい。
幕がゆっくり上がるのに合わせ、Runeの言葉に続き演奏がスタート。ステージの真ん中で満面の笑みを浮かべ、高く掲げた両手を頭上で叩く姿に触れ、見ている側まで思わず顔がにやけてくる。なんか楽しそう…いや、本人が最初から楽しんでいるんだもの、その気持ちが音と笑顔の風に乗せて、早くもフロア中に広がりだしていた。
ライブの冒頭を飾ったのが、『ソラ』。ライブハウスという閉ざされた空間にいようと、この曲に触れていたら、脳内のスクリーンに晴れた青空が映し出されていた。たとえ切ない歌詞だろうと、Runeが思いきり晴れた歌声を響かせるんだもの。やっぱし、笑顔になってしまう。晴れた音楽が、眩しい笑顔の音楽が、今はとても気持ちいい。今宵はバンドと一緒のライブ。圧のある音の迫力が、彼女の歌声に羽ばたく翼を授けていた。
まさに今は、この曲のタイトル通りの気分だ。続いてRuneは『君の笑顔が大好きだから』を、軽やかに弾む演奏に乗せ、心地好く胸を弾ませるように歌っていた。彼女自身が曲の世界に気持ちを落とし、歌の主人公になって、目の前にいる人たちに元気を届けていた。きっと、ここに集まった人たちみんなを笑顔にしてゆく魔法は、Runeの歌うその声であり、目の前で楽しんで歌っている姿なんだと思う。
「今日はみなさんと音楽の旅を楽しんでいきたいと思っています」の言葉が嬉しい。
強く想いを込めた太い歌声と演奏がシンクロしてゆく。歌始まりの『大丈夫じゃない』だ。心地好いスリリングさとでも言おうか、ピリッとした緊張感を持ちながらも、歌声と演奏が躍動しているからこそ、自然と気持ちが引き寄せられる。一瞬たりとも目が離せないというと大げさだが、でも、ステージの上に生まれた良い意味で張りつめた空気と、跳ねた演奏が生む心地好さを一緒に感じていたいからこそ、ズッと熱い視線を送りながらRuneの歌う姿を見つめていた。
Runeと言えば、いろんなスポーツ選手やチームなどにエールを送る曲をいろいろと作る活動もしている。次に歌った『Key Man-百折不撓-』は、元ジャイアンツ/元ファイターズ鍵谷陽平投手の登場曲として作った楽曲。この曲も、ゆったりとした曲調の中へ張りつめた空気を作りだしてスタート。Runeの歌声が次第に雄々しさを増すのに合わせ、楽曲も次第に雄々しく躍動していく。張りつめた気持ちを胸に、不屈の闘志で立ち上がる。そんな様が見えてくるパフォーマンスだ。一つ一つの言葉に、強い意志と闘志を覚えるからこそ、彼女の歌声を介して、胸の奥底から気持ちが沸き立つ。けっして派手ではない。だからこそ、漲る魂を感じるたび、同じように感情が奮い立つ。とてもとても熱いエールソングだ。最後に彼女は歌っていた、「DREAMS COME TRUE」と。
そこから、DREAMS COME TRUEの『未来予想図Ⅱ』へと繋がる流れが心憎い。シンプルな演奏の上、抑揚した声で、言葉に詰め込んだ想いを噛みしめるように歌うRuneの姿が印象深く見える。そういえば、DREAMS COME TRUEの吉田美和も、Runeも北海道生まれ。そんな共通項も胸に覚えながら、想いを大切に歌いあげるRuneの姿と歌声に魅入っていた。
そんな北海道繋がりという流れをさらに繋げるようにRuneが歌ったのが、北海道名物の料理「石狩鍋」を題材にした『石狩鍋ワルツ』。母親が豪華な石狩鍋にしようと、鮭の代わりに牡蠣をたっぷり入れた鍋を作ったエピソードを元に誕生した楽曲だ。Runeは、ちょっとおっちょこちょいな??でも、とても愛情の深い母親への感謝の思いを胸に、触れた人たちの心をほっこりポカポカにしてゆくこの歌を、物語を語るように甘い笑顔で歌っていた。ほんと、何度聴いてもほっこりしてゆく楽曲だ。
MCでは、「何が入っていたら石狩鍋なのか?」と、「石狩鍋」のレシピについて客席にいる人たちに聞いていた。ライブで『石狩鍋ワルツ』を歌うたびに、その質問をしているようなので、きっと今のRuneは、いろんな石狩鍋のレシピを持っている……に違いない(笑)。
切々としたピアノの演奏に乗せ、魂を奮わせるように歌ったのが、鬼束ちひろの『月光』。ときに、胸に手を当て、ときには両手でマイクをギュッと握りしめ、一つ一つ想いを零すようにRuneは歌っていた。曲が進むにつれ、雄々しさを増し、感情を振り絞るように歌う。その姿が神々しく見えていた。
立て続けにカバー歌唱したのが、玉置浩二の『田園』。力強く躍動した演奏に乗せてときに高く飛び跳ねながら、Runeは気持ちを雄々しき様に染め上げ、芯の太い声でおおらかに歌っていた。途中、観客たちと歌を重ねあう場面も登場。カバーする曲たちから、Runeの音楽的なルーツや同郷繋がりなどいろんな面が見えてきて面白い。
しっとりした演奏に乗せて届けたのが、『この花が枯れる前に(Album Ver.)』。この曲も、『石狩鍋ワルツ』と同じく、Runeの母親のことを歌った楽曲だ(歌詞には、Runeの両親(看取る側と看取られる側)それぞれの視点で互いへの想いを綴っている)。この曲では、Rune自身が、愛し愛されあう2人の心模様へ自身の気持ちの色を染め上げ、大切な人へ胸に秘めた想いを伝えるように、涙の筆で綴った歌のラブレターを送りあうように歌っていた。
「みなさんと踊りたい曲があるんです」と先に振り付け講座をして歌ったのが、『笑顔リンク』。「君と僕との笑顔リンク」と歌いだしたとたん、Runeに合わせて振りを真似する人たちが大勢誕生。 とてもノリよい楽曲のように、ステージの上で胸を弾ませて歌う彼女と気持ちを重ね合わせた人たちが、一緒に振りを真似、手拍子をし、この場へ、ともに笑顔の花を咲かせていた。彼女の歌に触れ、振りを真似ていると、自然と心がほころび、笑みを浮かべてしまう。それってきっと、笑顔がリンクしたってこと??この楽しさの連鎖、もっともっと広げてたい。
表情は一転、ふたたびしっとりとした演奏に乗せ、言葉のひと言ひと言へ深い愛情を込めるように、Runeは「あのね大好きだよ」と『アイノカタチ』と朗々と歌いあげていた。1曲ごとに、表情どころか人格や物語を次々と変えてゆく。まるでページをめくるごと、意外性を持った心揺さぶる展開にハラハラドキドキ/ワクワクポロポロしてゆくような気分だ。でも、そんな風にドラマを描きだすところがRuneらしい??
北海道日本ハムファイターズ中島卓也選手登場曲として作り上げた『卓越の青』へ振れるたびに、気持ちが嬉しく奮い立つ。とても、前向きな勇気と力を注ぎ込む歌だ。Rune自身が、ときに拳を振り上げ、この曲を歌いながら、目の前にいる人たちへ勇気のエールを送っていた。その熱を受け止めるたび、一緒に腕を突き上げたくなる。とても情熱を抱いた歌声と楽曲だ。身体中に漲る熱を、突き上げる拳にして、Rune自身に送り返したい。場内中に生まれた想いを一つにした熱が、見えない風としてこの空間に吹き荒れていた…。
この日の旅の終わりを告げ、さらに、また新たな音楽の旅へ繋いでゆくように、Runeは最後に『旅、始まり。』を、まるでモノローグを語る役者のような様で歌っていた。「旅はまだ始まったばかり」の歌詞の一節ではないが、Runeとともに歩む音楽の旅は、けっして終わることはない。それをRune自身も、観客たちも願っているからこそ、この曲を通して、まだまだ一緒に音楽の旅を続けていこうと、見えない約束の指切りを交わしていた。
アンコールの最初に届けたのが、「北海道サッカー協会公式応援ソング」として起用中の『Heat Up』。ふたたび場内に熱い歌の風を巻き起こそうと、Runeは笑顔で、しかも声を高らかに、拳を振り上げて歌っていた。彼女の声とシンクロするように、フロアにいる人たちも拳を突き上げてシンガロングしてゆく。緩急を付けながら。でも、ズッと胸に内に熱い闘志を抱き、Runeは早口で言葉を次々とシュートするように歌っていた。一緒に声を上げるたびに気持ちがヒートアップする。途中、Runeと観客たちが「GO!!」と掛け合う場面も誕生。この曲を歌いながら、Runeがさりげなくボールを蹴る様を見せていたのも印象的だった。
この場へ一緒に作りあげた音楽の魔法が解けないようにと、最後にRuneが届けたのが『砂の城』。たゆたうような歌と演奏に優しく身を浸らせ、終わりのときまで、この温かい幸せを消えないようと願っていた。
次に、Runeと巡る音楽の旅は3月23日。今度はアコースティックなスタイルで、いろんな旅の景色を胸に焼き付けたい。
PHOTO: ヨシダホヅミ
TEXT:長澤智典
INFORMATION
3/23(日)@人形町劇場 rabbit
開場 16:00 開演 16:30
3,500円+D代
出演:vo Rune/gt 渡邉幸啓/pf 安保一平
詳細・チケットはこちら▼
https://t.livepocket.jp/e/jj3b4
SNS
https://linktr.ee/rune214
【セットリスト】
『ソラ』
『君の笑顔が大好きだから』
『大丈夫じゃない』
『Key Man-百折不撓-』(元ジャイアンツ/元ファイターズ鍵谷陽平投手登場曲)
『未来予想図Ⅱ』
『石狩鍋ワルツ』
『月光』
『田園』
『この花が枯れる前に(Album Ver.)』
『笑顔リンク』
『アイノカタチ』
『卓越の青』((北海道日本ハムファイターズ中島卓也選手登場曲)
『旅、始まり。』
-ENCORE-
『Heat Up』(北海道サッカー協会公式応援ソング)
『砂の城』