FEATURE

2025.01.01
Rune

みなさんの日々の中、いろんな楽曲がいろんな場面に寄り添っているのだとしたら、そんな嬉しいことはないなと思っています。 Runeインタビュー

 Runeの3rdアルバム『inception』が、現在CD/サブスクでリリース中。inception=始まりの言葉が示すように、この作品は、Runeが新たな舞台(場)へ進むうえでの決意を示した作品。同時に、「inception」と題した短編小説(CDのブックレットに印刷されているQRコードを読み取ると小説を読むことが出来る)をアルバムという形を通し、歌として伝えている。1月24日(金)には、青山RizMでバンドスタイルによるワンマン公演の開催も決定。アルバム『inception』の魅力について、Runeがじっくりと語ってくれた。


一つの物事が終わっても、そこからまた新たな人生の旅が始まる。そんな人生の機微を感じていただけたらなと思います。


──アルバムのリリースは久しぶりになるんですね。

Rune  2ndアルバム『HIDE&SEEK』のリリースから数えて6年ぶりになります。ここへ至るまでにも配信などで作品はコンスタントに出してきていますが、応援歌や作品にまつわるタイアップ曲が主だったから、Rune自身の楽曲を1枚の形にしようと思ったのが一つ。コロナ禍の時期に、毎月新曲を発表しては配信もしていましたが、その中でもとくに評判の高かった楽曲をCD音源化したい思いや、改めてここから始まりを告げようという気持ちから、"inception=始まり"と名付けたアルバムを作りました。このアルバムを制作するうえで、クラウドファンディングも実施。みなさんのおかげで新作アルバムという、新たな始まりを告げることも出来ました。

──アルバムの最後に収録した『卓越の青』は、北海道日本ハムファイターズに所属している中島卓也選手の登場曲として2020年に配信リリースしているように、その当時から支持を得てきた曲たちをいろいろ収録した形なのでしょうか?

Rune  『卓越の青』を2020年に作れば、『砂の城』は、2022年に上演した朗読劇のテーマ曲として制作した曲であり、あのときは劇伴も手がけました。『大丈夫じゃない』も、コロナ禍の時期に生まれた曲でしたね。『この花が枯れる前に (Album Ver.)』はもっと前になるから、いろんな時代を彩った曲たちをここには入れています。

──この作品、『旅、始まり。』を通して“新たな自分探しの探しの旅は始ったばかり”と歌い出せば、9曲目に収録した『変わっていく』で、“そのつど気持ちの変化を覚えながら、まだまだ旅は続いていく”と歌っています。ここで一つの物語を終えるのではなく、まだまだ自分探しという人生の旅は続いていくと歌にしているところへ、この作品の面白さを感じましたし、その間を彩る曲たちが、自分探しの旅の中で経験したいろんな物語としても見えてきました。

Rune  一つの物事が終わっても、そこからまた新たな人生の旅が始まる。そこで旅が終わるのではなく、自分探しの旅はまだまだ続いていく。人生って、再出発の繰り返しだと思うんですね。そんな人生の機微を9曲目までの流れの中で感じていただけたらと思います。その後に収録した『この花が枯れる前に (Album Ver.)』と『卓越の青』は、以前にも発表した楽曲を、改めてアルバムに収録した形を取りました。

──新たな人生探しの旅を始めた主人公が、いろんな経験を重ねつつ。でも、まだまだこの旅は終わらないと未来へ繋げていく。その流れがいいですね。

Rune  アルバム『inception』は一遍の短編小説を元に、そこから楽曲が派生した形を取っています。CD のブックレットに印刷したQRコードを読み込んでいただけたら、原作となる小説を読むことが出来るから、その小説を読んだうえで、それぞれの楽曲を聞いていただけると、より深くアルバム『inception』を楽しんでもらえると思います。

──ザクッとした感じで構いません、どんな内容の小説なのかも教えてください。

Rune とある女の子が、Runeというシンガーの楽曲を聴いて歌手に憧れ、みずからもシンガーになろうと地元を旅立つ物語として始まります。上京した彼女は、東京で友達が出来れば、その子が先に結婚をし、複雑な心境へ陥ってゆく。他にも、気持ちはありながらもそれを実現できずに悶々とした感情へ陥るなど、夢を持って生きる一人の女性の人生を綴った物語になっています。

──Runeさんの作る楽曲自体も、1曲ごとに気持ちの揺れや物語が見えてくるなど、感情表現豊かな歌たちばかりですよね。

Rune 嬉しいのが、アルバムに収録した特定の楽曲に人気や支持が集まるのではなく、いろんな楽曲が満遍なく支持を得ていることなんです。みなさんの日々の中、いろんな楽曲が、いろんな場面に寄り添っているのだとしたら、そんな嬉しいことはないなと思います。


本来なら味噌ベースに鮭を入れるのが石狩鍋のところを、鮭を抜いて牡蠣だけをたくさん入れてきたんですよ。その鍋を見たときに、わたしは「これ、石狩鍋とは違うんじゃない?牡蠣鍋でしょ」と思いながらも、嬉しそうにしている母親の顔を見ていたら何も言えなくなった経験がありました。


──聞いててクスッとなるのが、『石狩鍋ワルツ』。あの曲、めちゃめちゃ好きなんですよ。

Rune 『石狩鍋ワルツ』が好きな方は多いですね。もともと「ちょっと温かい曲を作りたいな」と思って書き始めたんですけど。わたし、北海道出身なのに、石狩鍋の作り方がわからないんですよ。というのも、うちの母親が「今日は石狩鍋だよ」と言いながら、鍋の中身を豪華にして家族に楽しんでほしい思いのあまり、本来なら味噌ベースに鮭を入れるのが石狩鍋のところを、鮭を抜いて牡蠣だけをたくさん入れてきたんですよ。その鍋を見たときに、わたしは「これ、石狩鍋とは違うんじゃない?牡蠣鍋でしょ」と思いながらも、嬉しそうにしている母親の顔を見ていたら何も言えなくなった経験がありました。そうやって母親が石狩鍋を毎回作るものだから、気づいたら石狩鍋の概念がわからなくなっていました(笑)。その想い出もあって、「自分で石狩鍋を作るときも、母親の作った石狩鍋のことを思い出して作る」という歌にしています。
   アルバム『inception』を手にしたリリースイベントを北海道でやったとき、訪れたみなさんに「わたし、本当の石狩鍋がどういうものかわからないんです。みなさんは、ご家庭でどんな風に石狩鍋を作っていますか?」と聞いたんですね。そうしたら、家庭ごとに石狩鍋のレシピが異なることが判明。「ベースは味噌ではなく塩じゃない?」「鮭は絶対に入れるもの」「鮭と一緒に牡蠣だって入れていいと思う」「鮭は要らない派」など、本当にみんなの答えがバラバラ(笑)。石狩鍋のレシピに「絶対」はないんだなとわかったのは、面白い経験になりました。中には「石狩鍋とタイトルを付けた曲は初めてじゃない??」という声もあったのですが、わかる方がいたら教えてください(笑)。

──アルバム『inception』には、自分の気持ちと向き合う内容の歌が多いですよね。『ソラ』も、そうかな?!と感じました。

Rune  日々の生活の中、「あのときは本当に嫌だったな」と、過去に起こったつらいことをふっと思い出してしまうことってあるじゃないですか。もちろん、良かったことだって思い出すけど、人生の中での嫌な経験のほうが思い出しやすかったりもする。そういうのって、いろんな人生の経験を重ねていくにつれて消えていくものなのかな??と思っていたけど、意外に無くならないものなんですよね。生きてゆく中、そういう感情とも上手くつきあっていかなきゃいけない。そういう心模様を『ソラ』に書きました。こういう感情って、誰の中にもあるものだと思うからこそ、『ソラ』を聴いて共感してもらえたら嬉しいです。

──確かに、一度心に染みついた経験はけっして消えないですからね。『大丈夫じゃない』も、自分の過去の経験といろいろ照らし合わせて聴いていました。

Rune  『大丈夫じゃない』は、SNSについて書いた楽曲でした。作品の内容の善し悪しを、SNS上に書かれた言葉で判断されてしまうこともあるじゃないですか。わたしで例えるなら、自分の思いを作品へ詰め込んで発表しているのに、SNS上に書き込まれる意見や感想に気持ちが左右されるあまり、それらの言葉を気にしすぎて自分の軸となる表現がずれてしまう。それがひどくなると、自分が何を表現したかったのか、自分でわからなくなる。そういう感情などを『大丈夫じゃない』には書きました。 ここに書いた思いを、SNSと関係なく、それぞれの経験談と重ねあわせて聴いてもらえたのであれば、それもまたすごく嬉しいです。

──学校や会社の中での、人の陰口に左右されてしまう自分の心の状態と重ねるなどね。程度の差はあれ、『大丈夫じゃない』もいろんな人たちが経験している歌だと感じました。

Rune  それが歌詞の一部であれ、何かしら共感をしていただけるのは嬉しいです。これは、アルバム全体に言えることですけど。人それぞれ生きてきた歩みや経験が異なるから、収録した全曲すべてに共感することはなかなか無いなと思っています。でも、「匂いが似てる」「景色が似てる」「色合いが似てる」など、その意識は何であれ、聴いた方の体験と、ここに収録した曲のどれかが重なったら嬉しいなという気持ちを持って、わたしはいつも制作をしています。

──『You & Me』では、お互いの繋がりあう関係が深まるごと、それがコーラスワークとしても深く広がりを見せていきますよね。歌詞とアレンジがリンクしているところも好きなんです。

Rune  『You & Me』は若さに任せた恋愛ではなく、ちょっと落ち着いた関係。一緒に戦っていくじゃないけど、共に人生を歩んでいく中、ここへ至るまでにもいろんなことがあったけど、それでもなんとかやってきたよねという関係性を描きたくて書きました。曲調の面でも落ち着いた感じで、どこかしらふわっと聴ける。でも、声には芯のある感じを心がけて歌いました。

──視点はいろいろなれ、Runeさんは、一人の女性が日常の暮らしの中で感じている思いをどの曲にも描写していますよね。

Rune そう捉えていただけたのなら、嬉しいです。


聴いてくださる一人一人が、応援歌を自分の生活の中に馴染ませて聴いてもらえているのは、本当に作家冥利に尽きますよね。


──『砂の城』は確か…。

Rune 「砂の城」は朗読劇 「water」のテーマ曲として描かせていただきました。歌詞は物語を軸に据えつつ、その中へ自分の感情も加えながら書いています。たとえばのお話になりますけど。こうやって取材を通して会話をしている今と、まったく同じ時間や環境が訪れることは二度とありません。でも日常には,微妙に内容は異なれ,同じようなことを日々繰り返し続けることって多いと思います。それを日常と感じてしまうと,けっして特別なことには思えなくなる。でも、よくよく考えたら、その物事自体がとても重要であり,特別であり,貴重なことだったりもする。そういう思いを『城の城』に書きました。

──『Assemble』は、自分自身の気持ちと向き合った楽曲ですよね。

Rune 『Assemble』の歌詞のいろんなところに自分らしさが散らばっています。人って,自分らしさを掻き集めては、それを持って未来へ向かっていく。しかもその都度、掻き集めた自分らしさをいろんな物事へ適応しながら歩いていくんだと思うんですね。そういう気持ちを、わたしは『Assemble』に込めました。

──『笑顔リンク』は、どういう思いを持って生まれた曲なんですか?

Rune  『笑顔リンク』は、SNSでバズッたらいいなと思って書いた曲。以前に『君の笑顔が大好きだから』という曲を出したとき、いろんな人が動画で使ってくれるなど、SNSでけっこう好評になったんですね。そのとき、「こんなにバズッた理由は何だろう??」と自分なりに分析をしたところ、明るくて、みんながしノリやすい曲調もあるけど、何よりも「笑顔」という部分が大事じゃないかと気づきました。『笑顔リンク』も、その要素を持った楽曲です。耳にしたらすぐにノッてもらえる曲調だから、振りをつけた動画をInstagramに載せています。この曲が、どれだけの人の元へ届くのかも楽しみです。

──RuneさんのInstagramって、約12万人のフォロワー数がいるから、影響力は大きいんじゃないですか?

Rune  わたしのInstagramでは、カバー動画もアップしていますけど。ハモリ動画という、わたしがハモリの部分を歌い、それに合わせてみんなに歌ってもらう動画もいろいろとアップしています。それが好きでわたしのInstagramをフォローしてくださる方々が多いんですね。そこから、わたしの楽曲も聴いてファンになってくれるのなら、そんな嬉しいことはないですからね。

──Instagramの影響力も強そうですけど。アルバムにも収録している『卓越の青』は、北海道日本ハムファイターズ中島卓也選手の登場曲として、彼がバッターボックスに立つたびに流れているじゃないですか。そこでの反響も、やはり大きいものがありました?

Rune  中島選手がバッターボックスへ立つたびに球場中に流れることでの影響力もありますけど。中島選手ご自身がSAMURAI JAPANにも参加経験があるように,、実力も、人気も高い選手。人柄が本当に素晴らしい方なんですね。『卓越の青』は、中島選手の魅力によって広まっているところは大きいなと思います。
  『卓越の青』は、ファンの方々から歌詞のキーワードをいろいろといただいた上で作った楽曲です。歌詞が、中島選手とファンの方々との気持ちの面でのフィット感が強かったのも支持を得ている理由としてあります。中島選手も、球場で流れるたびに喜んでくれれば、ファンの方々も喜んでくださる。本当に、いろんな要素が組み合わさって力を持った楽曲になりました。

──YouTube上に、4年前に制作した『卓越の青』のMV(https://www.youtube.com/watch?v=10Gy-yFBer4)もアップしていますよね。ステイホーム時期だったからだと思いますが、中島選手のファンの方々が自宅などで熱心に応援している動画の数々も中にアップにしています。あの動画を見たときも、「本当に愛されている選手なんだな」と実感しました。

Rune  本当は、最後のセクションへファンのみさんにコーラスとして参加していただき、その歌声も加えた形で作り上げたかったんですけど。コロナ禍になってしまったから、ファンのみなさんには、それぞれにいろんな場所で撮った動画での参加という形を持って協力をしていただきました。MVには本当に多くの方に参加してもらえたように、中島選手は本当に愛されている方なんです。ただ、『卓越の青』の歌詞に卓也という名前を直接入れて歌っているせいか、ご本人は「恥ずかしいっすね」と照れてもいましたけど(笑)。でも、あの歌詞にして本当に良かったなと思っています。

──Runeさんは、選手に限らずチームのテーマ曲などもいろいろと手がけています。

Rune  2024年に引退をした北海道日本ハムファイターズの鍵谷陽平投手の登場曲も3曲ほど書かせていただきましたし、北海道サッカー協会公式応援ソングや北海道ガス野球部公式応援ソング、ノルディーア北海道という女子サッカーチームの応援歌など、いろいろ手がけさせてもらいました。
  これはわたしの感想になりますけど。スポーツ系の応援歌って、最終的に伝えたい思いは一緒なんですね。でも、その人自身やチームなど、対象が変わることで視点も変われば、その人やチームのどこへ視点を当てて書くのかで内容も変わっていく。そこが難しさであり、やり甲斐を覚えるところなんです。だからこそ、とても刺激の多いお仕事だとわたしは受け止めています。

──応援歌って選手もそうでしょうけど、聴いてる側も気持ちが奮い立つから、ほんと素敵な楽曲だと感じます。

Rune  選手やチームの方々はもちろん、聴いてくださる方々も「自分の応援歌」にしてくださっているのが嬉しいんです。『卓越の青』のお話になりますけど。中島選手のファンの方に「『卓越の青』を聴いて駅の改札を通ると、すごく強くなった気持ちで仕事へ行けるから好きなんです」言われたときは、本当に嬉しかったです。聴いてくださる一人一人が、応援歌を自分の生活の中に馴染ませて聴いてもらえているのは、本当に作家冥利につきますよね。


なんか訳のわかんない展開をしていくけど。それこそが"人の人生"なのかなと思って。


──話は戻しますが、『笑顔リンク』に続いて流れるのが、物語の最後を飾る『変わっていく』になります。

Rune  『変わっていく』の中、何度も「変わっていく」と歌っていますけど。人って、変わろうと思っても、底の底ではなかなか変わりづらいものじゃないですか。それを表現したくて、『変わっていく』のコードを頭から終わりまで全部一緒にしました。コードは変わらないけど、メロディーやセクションは変化していけば、最後は、次の一歩を踏み出す決意を胸にお祭り騒ぎのように終わる。なんか訳のわかんない展開をしていくけど。それこそが"人の人生"なのかなと思って。そこを感じて、聴いてもらえたらなと思います。

──『この花が枯れる前に (Album Ver.)』は、だいぶ前に発表した曲だと聞きました。

Rune  最初に形にして発表してから、もう10年くらい経つのかな?!楽曲を最近の雰囲気にアレンジすれば、歌い方もだいぶ変えて、今、みなさんの耳に馴染みやすい形へリ・アレンジしました。

──歌詞に出てくる男女は、長年寄り添い続けた関係性にも感じました。

Rune  『この花が枯れる前に』は、わたしの母親が亡くなったときに書いた曲でした。亡くなる1ヶ月前頃に、母が入院していた病院の先生から「覚悟が必要です」という話をされました。その時期に、ちょうど一輪の花をいただいたのですが、その花が枯れてゆく様と、母親が弱っていく姿を重ね合わせ、この曲を書きました。一番の歌詞は、看取る側となる父親の視点で。二番は、看取られる側の母親の視点で書きました。ただし、母親の視点は、わたしの想像にはなりますけど。その様を形にした想い出深い歌です。

──完成したアルバム『inception』、今のRuneさんにとってどんな作品になりました?

Rune  私らしい1枚になったなと思います。一つの色に統一するのではなく、どんな人が聴いても、何かしら、どこかしら胸にひっかかる歌がある。まさに、求めた通りのアルバムになりました。わたし、誰かの人生にちょっとでも影響をもたらすじゃないけど、少しでも人生に参加できたら嬉しいなぁと思っていつも楽曲を作っています。そういう歌たちを詰め込んだアルバムなれたと思うし、聴いてくださる方々にもそう届いていたら嬉しく思います。

──どの楽曲も、その歌が生き生きとしてゆくアレンジにしていますよね。それもあって、いろんな人生物語を巡るように聴いていたのかなとも感じました。

Rune   アレンジに関しては、みなさん、伝えた希望や要望以上の形に仕上げてくださいました。


わたし、作品はいっぱい作るんですけど。ライブは、あまりやらない人なんですよ。今回は、その貴重な機会であり、しかも滅多にやらないバンド編制でのライブになります。だからこそ、この機会を逃さずに観ていただきたいなと思います。


──Runeさんは劇伴も手がけている方。自身で作詞・作曲した楽曲なら、アレンジ面でも理想とする形は浮かびやすいと思いますが、お芝居などの劇伴を作るときは、いかにその物語の世界観を汲み取るかも必要になるわけですよね。

Rune  よく「芸術に正解はない」と言いますけど。「その作品を観たお客さんがどんな気持ちになったら正解なのか」「こういう風に感じれたほうが良い」という答えってわたしはあると思っているし、それを求めて劇伴を作っています。正直、めちゃめちゃ難しいことですけど。だからこそ、めちゃめちゃやりたいお仕事でもあります。アルバムにも収録した朗読劇「砂の城」のテーマ曲と劇伴を手がけたとき、わたしも朗読劇を観に行きました。劇が終わり、立ち上がって帰ろうとしたとき、側にいたお客さんどうしが「あの音楽もめっちゃ良かったね」という会話をしていたんでてすね。それを聴いたときは、嬉しい以上に、受け入れてもらえたことにほっとしたのを覚えています。劇伴は、その作品に於ける縁の下の力持ちのような存在。だからこそ、その評価を聴けたときほど嬉しくなれますね。

──1月24日(金)には、青山RizMで3rd Album『inception』の発売を記念したワンマン公演が行われます。ライブはコンスタントにやっているのですか?!

Rune  わたし、作品はいっぱい作るんですけど。ライブは、あまりやらない人なんですよ。今回は、その貴重な機会であり、しかも滅多にやらないバンド編制でのライブになります。だからこそ、この機会を逃さずに観ていただきたいなと思っています。わたし、ライブは好きですけど。けっこうな怖がりでもあるんですね。作品もライブも、そう。その怖さや緊張感が、むしろこだわりにも繋がるぶん良い作品が生まれるし、その感覚が生まれたときほど、良い作品やライブになる予兆も覚えます。今回のワンマン公演にもその予兆を感じているからこそ、ぜひ色の濃いワンマンライブを楽しんでいただけたらなと思います。

──最後に、改めてアルバム『inception』について。そして、2025年の活動へ向けての思いを語っていただけますか。

Rune  アルバム『inception』は、本当にRuneらしい作品なりました。みなさんの中で、何かしらひっかかる部分や共感できる思いがあったなら、ぜひSNSなどを通して感想の声を聞かせてください。2025年は、このアルバムをさらに深く浸透させる活動をしていくつもりだし、劇伴を筆頭に、お声がけいただいた作品へしっかりと向き合いながら。その合間にも、自身のオリジナル曲を作るなど、止まることなく活動をしていきます。まずは、アルバム『inception』を手に取っていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。


TEXT:長澤智典

 

<インフォメーション>

JKT

Rune 3rd Album「inception」
¥3,300 税込


【収録曲】
1.旅、始まり。
2.ソラ
3.大丈夫じゃない
4.石狩鍋ワルツ
5.砂の城
6.You & Me
7.Assemble
8.笑顔リンク
9.変わっていく
10.この花が枯れる前に (Album Ver.)
11.卓越の青


<ライブ情報>

2025年1月24日(金)
会場:青山RizM
開場 18:30 / 開演 19:00
チケット:5,000円(D代別途)
https://t.livepocket.jp/e/hi5-0
Rune , 川瀬 智(Gtr) , 安保 一平(Pf) , 平本 陽一郎(Bs) , 生田目 勇司(Dr) 


2025年2月9日(日)
「さっぽろ雪まつり」
会場:大通会場 5丁目 「道新 雪の広場」
時間:11:30〜12:00、14:00〜14:30 (2ステージ)


SNS
https://linktr.ee/rune214

 

アー写

 

特集FEATURE

FEATURE
最新記事更新日 2025.01.05
ガルポ!ズ LIVE レポ
最新記事更新日 2025.01.03
ガルポ!ズ INTERVIEW