FEATURE

2024.08.20
長嶺一花/ユイ/まるぱも/東雲ろん/みるく/紀平萌絵/杏ここあ/Ruu

次代を担う?女性ヴォーカリストたちたちによる饗宴、「New Comer Special Live」に注目だ!

  8月11日(日)に品川J-SQUAREで、次代を担う女性ヴォーカリストたちを集めたイベント「New Comer Special Live Vol.9」が行われた。出演したのが、 長嶺一花・ユイ・まるぱも・東雲ろん・みるく・紀平萌絵・杏ここあ・Ruuの8人。
  これまでに、元AKB48の長谷川新奈や元NGT48の大滝友梨亜など、新しい時代を彩る可能性を秘めた女性アーティストたちが出演。9回目を迎えるこの日の公演からも、次代を彩るアーティストが生まれる可能性も‥。当日の公演の模様を、ここにお伝えしたい。



長嶺一花

心が迷い惑うほどに、その歌声には生が漲りだす。そこが、長嶺一花という歌い手の魅力。

  【2度死にたくないシンガーソングライター/モデル】として活動中、メジャーデビューを目指し、ライブハウスや路上ライブといろんな場で歌い続けている長嶺一花。
 
 「わたしのステージはいつもセブンスターの香り」の言葉を述べたうえで、もの悲しいピアノの音色の上で、長嶺一花が切々と歌いだしたのがオリジナル曲の『セブンスター』。今にも壊れそうな歌声で、胸の内に抱く思いを零すように歌う、その様に視線と心が引き寄せられた。曲が進むにつれ、感情的な歌声に変化。今にも壊れそうな声で歌う彼女の姿を、何時しか抱きしめたい思いにかられていた。

 みずからの心の揺れが、そのまま歌声に現れるシンガーだ。『エミリーと15の約束』(majiko)でも長嶺一花は、悲哀に満ちた歌声へさらに悲しい色を塗り重ね、言葉のひと言ひと言へ命を宿すように歌っていた。彼女の場合、心が迷い惑うほどに、その歌声には生が漲りだす。そこが、長嶺一花という歌い手の魅力だ。

 最後に長嶺一花は、『それでも僕は』(yama)を歌唱。この日の選曲は、今の長嶺一花自身の心模様や、胸に抱いている思いを投影した歌たち??この曲からも、みずからの心の一部を切り取り、歌声にして届ける姿が見えてきた。長嶺一花、自身の気持ちを歌声にたっぷりと塗り付けて伝えるシンガーだ。

LIVE
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ユイ

HAPPYな気持ちに染め上げるライブ自体が、ユイのかけた魔法の力?

  ColorSingで歌を配信中。今年の4月から保育士になり、保育士ライバーとしても活動しているユイ。この日は、カバー曲とオリジナルソングを交互に歌う形でライブを進行。

 ユイのライブは、チャーミングで魅力的な彼女のキャラクターをそのまま投影したような『♡人生♡』(コレサワ)を歌いながら、スタート。ステージの上で歌うこと自体へ喜びを覚えるように、ユイは愛らしい笑顔を浮かべ、胸を弾ませて歌っていた。その歌声や姿に触れていると、自然と気持ちがウキウキ弾みだす。

 MCでは「配信をしながら保育士をめざした理由」を語っていた。

 ここで、オリジナル曲の『笑顔の魔法』をライブで初披露。この曲にユイは、「みんなで笑顔になろう」「ナンバーワンでオンリーワンな存在になろう」という思いを込めてきた。サビの「ナンバーワンでオンリーワン」の歌声を真似て口ずさみたくなるくらい、とてもポップでキャッチーな楽曲だ。この歌に触れ、気持ちが弾みだした観客たちが、クラップや手にしたペンライトを振りながら、彼女と一緒に心を踊らせていた。もしや、HAPPYな気持ちに染め上げるこの曲自体が、ユイのかけた魔法の力?!

 明るい曲調が続いた中、雰囲気を塗りかえるように、ユイはバラードの『それを愛と呼ぶなら』(Uru)を歌唱。切々とした歌声で、言葉のひと言ひと言をしっかりと胸の内へ刻むように歌う姿が印象的だ。この曲が流れている間、ユイの澄み渡るような歌声へ心が惹かれ続けていた。

 最後は、大切な人たちへの感謝の思いを詰め込んだ、初のオリジナル曲『アイノカケラ』を歌唱。歌詞の一節一節に、ユイ自身がつねに伝え、届けたい思いが記されている。だから彼女は、思いをしたためた手紙を読むように歌っていた。その声の欠片を、一人一人の胸の欠けた心の一部へ当てはめるように歌う姿も印象深く見えていた。だから、その姿と歌声をずっと追いかけていたかった。

LIVE

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まるぱも

まるぱも圧倒的な存在感と気迫を放つライブに、フロア中の人たちが興奮を覚えていた。 

  ColorSingで歌配信を中心に活動中、かっこいい歌声から可愛い歌声まで、幅広く歌いこなすことができるシンガーのまるぱも。

 観客たちへいきなり強烈なインパクトを与えるように、まるぱものライブは『唱』(Ado)からスタート。パワフルな歌声を魅力に、まるぱもは観客たちにせまってきた。彼女の放つ強烈な存在感と気迫に、フロア中の人たちが圧倒されていたのも納得だ。もしやまるぱも、憑依型のシンガー?!

 観客たちのハートを射抜くような姿勢は、続く『花になって』(緑黄色社会)にも投影。艶めいた声の色も加え、この曲でもまるぱもは、凛々しい歌声を届けてきた。先に艶めいたと書いたように、ただ強烈なだけではなく、そこへいろんな香りもまぶすからこそ、より強く彼女の歌声に引き寄せられる。

 次に披露したのが、ボカロPすりぃの楽曲たち。『テレキャスタービーボーイ』(すりぃ)で、楽曲の色にあわせ、みずからもクールな歌声でせまっていた。そこに生まれていたのは、心地よい緊張感。感情の揺れ動く様が見えるまるぱもの歌声に興奮を覚え、観ている側も、同じように気持ちを揺らしながら歌声や楽曲を受け止めていた。けっして張りつめていたわけではないが、どこかピリッとした刺激を与える歌声やパフォーマンスに心が引き寄せられる。
  続く『ラヴィ』(すりぃ)でまるぱもは、がなるような歌声の中へ、巧みに親しみやすい色も加えてせまってきた。サビでは、観客たちとの熱い声のやりとりも誕生。まるぱもがステージの上で見せる圧倒的な存在感を放つ姿を、観客たちは、自身の胸にしっかりと焼き付けていった。

 まるぱもは最後に、応援してくれる人たちへの感謝の気持ちと、みずから夢に向って進んでゆく意志を記したオリジナル曲の『My Drama』を、力強く、元気いっぱいに歌っていた。気持ちを嬉しく騒がせる楽曲だ。弱さも認めたうえで、光をつかもうとする彼女の歌う声や言葉から、いつしか未来へ進む勇気をもらっていた。まるぱも、触れた人たちの気持ちを、大きく激しく揺さぶっていく、そんなシンガーだ。

LIVE

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東雲ろん

巻き込み方のライブを見せながら、東雲ろんは笑顔に満ちた世界をここに作りあげていった。

 SHOWROOMを舞台に、「海の歌姫」として活動中の東雲ろん。ライブは、『ホタルノヒカリ』(いきものがかかり)からスタート。胸弾む楽曲という理由もあるが、東雲ろん自身の歌声が煌めく輝きと元気あふれるパワーを持っているからだろう。観客たちも最初から手拍子をし、手にしたペンライトを振りながら、彼女と一緒に、この空間をキラキラとした輝きに満ちた景色に染め上げていった。東雲ろん、煌めく夏の景色が似合うシンガーだ。

 続く『時を刻む唄』(Lia)では、楽曲の中へ感情を溶け込ませ、みずからが歌のヒロインに気持ちを染め上げて歌っていた。とても澄み渡る透明感を持った歌声だ。その中から色を持った声が揺れ動くのを覚えるたびに、その歌にスーッと引き寄せられる。煌めくだけではない、その裏に隠された表情も含めて、彼女の歌声の魅力を作りあげている。

 この日は夏曲のみを選曲。東雲ろんの歌う『うたかた花火』(Supersell)は、なんて切なさや郷愁を呼び起こすのだろう。彼女の歌声に触れながら、瞼が滲むような気持ちに染まっていた。胸の内に閉まっていた切ない思いを、涙色の声に乗せて彼女は解き放つ。その歌が、心をずっーと揺さぶっていた。

 東雲ろんは、最後に『ボーイフレンド』(aiko)を歌いながら、ふたたびこの場を笑顔と幸せに満ちた世界へ染め上げた。みずからが、気持ちをときめかせて歌うからこそ、そのオーラに惹かれた観客たちも、いつしか一緒に歌いながらライブに参加。最後に巻き込み方のライブを見せながら、東雲ろんは笑顔に満ちた世界をここに作りあげていった。

LIVE

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みるく

みるく、曲の持つ世界観へみずからの感情を折り重ねてゆくシンガーだ。

  SHOWROOMで配信活動中の、みるく。フロアからファンたちの熱い声援も届く中、彼女は楽曲の世界へ気持ちを溶け込ませるように『アイウエ(fear 美波&SAKURA)』(MAISON de)を歌唱。みるくも、曲の持つ世界観へみずからの感情を折り重ねてゆくシンガーだ。躍動する楽曲の上で、次々と早口で。でも言葉を明瞭に届ける歌唱力の高さも、彼女を際立たせている嬉しい魅力だ。

 歌い終わったとたんに、親しみやすく愛らしい様になる(戻る?)ところも、みるくらしさ??

  次に歌ったのが、『Whenever you are』(ONE OK ROCK)。彼女は、1曲ごとに、いろんな歌声の表情を見せ、みずからの表現力の高さを提示。いや、そんな理屈は置いておこう。この曲でもみるくは、歌の世界へ自身の感情を染め上げ、スケール大きなバラード曲を通して、その場にいる人たちの気持ちを揺さぶっていた。歌に引き寄せられるのではない、歌に惹き付けられ離れられなくなる。だから、ペンライトを振りながらも、みるくの歌う姿を誰もがジーッと見つめていた。

 最後に歌った『Try Again』は、みるく初のオリジナルナンバー。躍動感を持った、スケールあふれるロックナンバーだ。気持ちを奮い立てる楽曲の上で、みるくは母性にも似た温かい声で歌っていた。激しさの上へ、身近に寄り添うようなハートフルな歌声を乗せることで、彼女の持つ温かな思いや未来を見つめた心模様が、より親しみやすさを持って胸に届いてきた。中には、彼女と一緒に「Try Again」と歌う人たちも。観客たちをしっかりと巻き込む姿も見せた、みるくのライブだった。
 


紀平萌絵

自身の気持ちが、そのまま歌声に反映する歌い手だ。でも、それこそが紀平萌絵の魅力なのも間違いない。

  普段はクラシックバレエの講師とジャズダンサーをしながら、タレント・モデルとしても芸能活動をしている紀平萌絵。
 
 萌絵コールが飛び交う中、姿を現した紀平萌絵が最初に歌ったのが、『ひまわり』(Kiroro)。彼女は、発する言葉のひと言ひと言に輝きをまぶすように歌っていた。歌が進むごとに気持ちが育っていく?!太陽に向って大きく育つひまわりのように、紀平萌絵も歌も、いろんな人たちの思いを取り込みながら輝いていくようにも見えていた。歌い終わった後の笑顔も眩しかった。

  次に選んだのも、夏らしい曲の『ただ君に晴れ』(ヨルシカ)。言葉のひと言ひと言を追いかけるように歌う紀平萌絵の歌声が、まるで翼を羽ばたかせる羽音のように力強く胸に届いていた。彼女自身が、煌めいた気持ちを胸に、その輝きを思いきり解き放ちたい衝動へかられるように歌っていた。楽曲の世界観へ思いを重ねつつも、この場で歌う喜びを抑えきれず、気持ちが歌声に乗って跳ねてゆく。ウキウキとした表情で歌い続ける彼女に惹かれ、観ている側の心の中にも笑顔が咲いていた。

紀平萌絵が最後に歌ったのが、この日が初披露となったオリジナル曲の『My Wings』。この曲には,葛藤しながらも夢を目指す気持ち。支えてくれる人たちの愛を感じ、感謝の思いを覚えたうえで、自分自身を信じて活動していく意志を投影。それをバラードに乗せて表現したことで、彼女がこの曲に込めた思いが、より強く胸に響いてきた。一人一人の心を揺らしていた背景には、彼女自身が思い入れたっぷりに、思いを告白するように歌っていた理由があったことも伝えておきたい。自身の気持ちが、そのまま歌声に反映する歌い手だ。でも、それこそが紀平萌絵の魅力なのも間違いない。

LIVE
 

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杏ここあ

杏ここあ、胸の内にとんでもなく熱いパワーを秘めた歌い手だ。

  みずから作詞を手がけたオリジナル曲を軸に活動中の杏ここあ。この日は、全曲オリジナル歌を披露。冒頭を飾った『Canvas』では、気持ちを攻めたモードに染め上げ、この場にいる一人一人のハートに歌声を響かせてきた。とてもノリ良い楽曲だ。彼女は強い感情を歌詞の中へ詰め込み、表現。杏ここあの作り上げる世界に楽しさを覚えた人たちが、ときに身体を大きく揺らし、彼女の歌にあわせて手やペンライトを振りながら、共に明日へ向って突き進む気持ちに染まっていた。

 腕に付けたミサンガもさりげなく見せながら歌ったのが、『ミサンガ』。叶わなかった恋心、今では、相手の幸せを素直に祝えるまでに乗り越えた気持ちを、杏ここあは、愛しい人の姿を思い浮かべ、その人へ想いとエールを届けるように歌っていた。とても愛に満ちた温かい歌声と楽曲だ。この曲に触れている間、好きな人の幸せを願うことへ喜びを感じていた。場内中から手拍子が起きていたのも、彼女の歌声に温かく包まれ、小さな幸せを覚えていたから?!

 「人と比べてしまう自分が大嫌い。そんな自分から抜け出したい想いを歌った」のが、『Dear me』。「強く輝くわたしは誰のものでもない」と力強く歌いだした声に、一瞬で気持ちが引き寄せられた。躍動した楽曲の上で、杏ここあは歌詞に綴った言葉をみずからの気持ちへ言い聞かせるように、強く、強く歌っていた。とても感情的な歌だ。でも、その中から優しさを感じていたのは、杏ここあの素直な気持ちが反映していたから?!曲が進むにつれ、気持ちを高ぶらせ、沸き立つ想いのままに熱唱。胸の内にとんでもなく熱いパワーを秘めた歌い手だ。

 杏ここあは、最後に『GoGo Shiny Day!』を歌唱。とてもノリよく晴れたポップチューンだ。彼女自身が、ウキウキとした気持ちを抑えきれず、舞台の上ではしゃぐように歌っていた。杏ここあ自身が歌いながら輝きを放つたびに、その眩しい光に惹かれ、一緒に輝きに包まれていたくなる。とても無邪気でポジティブな気持ちに染め上げる明るい楽曲だ。その姿も、いろんな心模様や表情を持つ杏ここあの顔であり魅力だ。 

LIVE

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Ruu

まさに、魂で歌を届けるシンガーだ。そんな素敵な歌い手に出逢えたことが嬉しかった。

 「魂の叫び」を胸に活動中、イベントのトリを飾ってR&B系シンガーのRuuが登場。ライブの冒頭を飾ったのが、『ひまわりの約束』(秦基博)。Ruuは、原曲以上にゆったりと、言葉のひと言ひと言へ命を宿すように歌っていた。芯の太く、でもハートフルなその歌声は、一人一人の心をギュッと抱きしめるような、母性にも似た温かさを持っていた。たとえどんな楽曲でも、Ruuは自分の色に染め上げる。カバーだけど、カバーとは思えないオリジナリティーを感じていたのは、自分の色を持った声で歌っていたからだ。

 続く『LOVE SONG』(CHAGE and ASKA)でも、Ruuは原曲以上に巧みにこぶしもまわしながら、この曲をみずからの生きざまに塗りかえて歌っていた。力強さの中へ、女性らしいハートフルな思いが見えてくるのも嬉しい。いつしか、フロアのあちこちから手拍子が起き、Ruuにエールを送っていた。とても色の濃く芯の太い歌声だ。その場にいると、その声が胸の奥までぐいぐいせまってくる。途中には、Ruuと観客たちによるかけあいも誕生。その場にいる人たちをしっかり巻き込んでいくその魅力と存在感もRuuらしさ?!

 最後に歌った『i believe』(絢香)も含め、強烈な個を放つ、歌いあげる系の楽曲ほどRuuにはよく似合う。魂を震わせ、奮い立てるようにRuuは歌っていた。みずからの気持ちを揺らぐことなく信じ続けていたい。そんな思いや願いを、Ruuは『i believe』を通して祈るように歌っていた。まさに、魂で歌を届けるシンガーだ。そんな素敵な歌い手に出逢えたことが嬉しかった。

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次代を担う女性ヴォーカリストたちを集めたイベント「New Comer Special Live」は、定期的に開催中。次に、どんな未来を担うヴォーカリストが参加するのか楽しみだ。 


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TEXT:長澤智典
 

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