Speak emo

2019.12.06
ゑんら

ここまでやってきた想いが全部入っているので、それを感じていただければ嬉しいです

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そういった変な感じも出したくて(みさと)

 

――では、アルバムについてお伺いします。デビューして2年弱ぐらいで、もうアルバム2枚目なんですね。結構早いペースですよね?

 

ひかり:あぁ、そうですかね…。

 

みさと:シングルをあまり出してないからですかね。

 

ひかり:確かにシングルは3枚ぐらい…。

 

――アイドルさんによっては、何年もシングルばかり出してなかなかアルバムが出ない、みたいなケースも結構ありますからね。皆さんは”アルバム勝負”みたいなところがあるんですか?

 

みさと:そうですね。アーティストの楽曲って、アルバムで聴くことの方が多いと思います。サブスクもありますけど、買うとなったらアルバムを買うじゃないですか。そういう意味でも、アルバムの方が聴いていただける機会も広がるんじゃないかな、と。あとまあ沢山曲ができたので、このタイミングでちょっとアルバムを出そうってなりましたね。

 

――アルバムにこだわるっていうのはとても素晴らしい考えで、僕もそっち派なんですが、でも今の若い子ってもしかしたらサブスクとかで曲単位で聴いてるっていう風潮もありますよね。

 

ひかり:あぁ~。その曲だけみたいな。

 

――はい。好きな曲だけを。

 

みさと:今はそれが多いかもしれないですね。

 

――でも、むしろアルバムっていう表現方法に価値が出てくるかもしれないですよね。単曲だけでは表現できないものはあると思います。やはりそういうこだわりとかありますか? 一番お若いきららさんはいかがですか? 「私は曲単位でしか聴かない」みたいな感じですか?(笑)

 

きらら:(笑)。でも私が誰かアーティストさんのファンだったとしたら、確かにアルバムを買うかなって思いますね。できる限り沢山聴きたいじゃないですか。気になってるグループだったら特にそうだと思います。

 

――今回聴かせていただいても、やはりアルバムだからこそ表現できる部分も大きいなと思いました。で、タイトルの『UKIYO』ですが、これはどんな意味合いで付けたんですか?

 

みさと:えっとですね。まず、1stアルバムが『KEMURI』っていうタイトルだったんですが、それと並んでも違和感のない雰囲気でアルバムを作りたいなって思ってたんですよ。で、『UKIYO』がいいなと。海外で”浮世絵”ってよく知られてますし、「浮世」って「儚い」とか「幻っぽい」っていうニュアンスもあるので、ゑんらにぴったりかなと思って。それでこのタイトルにしました。

 

――そういうのを考える時って色々と調べたりするんですか?

 

みさと:あ~そうですね。めっちゃ調べますね。

 

――もともと「浮き世」って「憂き世」って書かれていて、最初は「辛くて儚い現世」みたいなニュアンスがあったんですよね。

 

みさと:辛いですもんね。世の中。

 

――アハハ(笑)。で、ジャケットに関してなんですけど、もうここから30分ぐらいこれについて話したいぐらいなんですが…。めっちゃいいですよね。

 

みさと:あ、ありがとうございます。

 

――それこそドクロのモチーフって美術史的にも昔からよくあるじゃないですか。

 

みさと:そうですね。こういうトリックアートもよく見ます。

 

――もしかして美術系の学校に行かれてたんですか?

 

みさと:3カ月ぐらい行ってたんですけど、すぐ辞めちゃって…。

 

――じゃあ、それほど専門的に学ばれたわけじゃなくて?

 

みさと:もう独学です。全て。

 

――お二人はこのジャケットを見ていかがですか?

 

きらら:驚きました。途中経過とかを全く見ててなかったんですよ、実は。なので、これがポンッて送られてきて「ええ、すごっ」って思いました。私、一瞬ドクロってわからなくて、「すごい可愛いネコだ」と思って、パッて見たら「あ!ドクロになってる!」と思って。気付いた時は「すごい」って思いました。私はほんとそういう美術的才能が皆無なので、純粋にすごいなって思いました。

 

――どうですか? ひかりさん。

 

ひかり:もうほんとに、私もそういうクリエイター気質が無いので、どうやったらこの発想が出てくるんだろうなって思いましたね。まずドクロっていうのが思い浮かばないです。ドクロとかネコの女の子とか。私にはない発想ですごいなって思いますね。

 

――みさとさん、これはどういうところから出てきたんですか?

 

みさと:まぁ、こういう構図の絵ってあるんですよね。でも、ちょっと遠くから見てドクロに見えると、ゑんら的にいいかなって。ただのドクロだとちょっと怖いじゃないですか。なので、ちょっとこういうトリックアートにしました。トリックアートって描いたことなかったんですけど…。

 

――え? トリックアートを描いたのは初めてだったんですか?

 

みさと:はい。初めて描いたのでめちゃくちゃ時間が掛かっちゃって。大変でしたね。

 

――ちょっと色々とお聞きしていいですか?

 

みさと:はい。

 

――ジャケットは2タイプあって、鏡に寄ったタイプAと、ドクロ全体が見えるタイプBがありますが、タイプBで言えば、中央の鏡の部分の支持体、つまり絵が描かれている紙の部分は和紙みたいな質感に見えますが、これは…?

 

みさと:この和紙の感じは写メで撮ってます。

 

――え~!

 

みさと:黄色っぽい照明の部屋で紙を撮って…。デジタルのまんま描くとのぺーってするんですよ。紙の質感がなくなっちゃうので、本当の紙にしてます。その部分だけ。

 

ひかり:すげぇ…。

 

きらら:ほんとだ。

 

――これ、すごい模様がありますが普通の紙を写メで撮ったんですか?

 

みさと:そうですね。

 

――かなりデコボコがあるじゃないですか。それは紙の質感ですか?

 

みさと:紙の質感ですね。スケッチブックってあるじゃないですか。ちょっと粗い。ああいう粗い紙を撮るとこうなるんですよ。

 

――ちょっと和紙っぽい感じが上手く出てますよね。

 

みさと:和紙っぽくしたいなって思って…。

 

――では、ドクロの輪郭線の部分って、なんというか蒔絵っぽい感じじゃないですか。さらにその周りはちょっとべっ甲みたいな雰囲気がありますよね。

 

みさと:すごい! そこまで聞かれることなかった! これもレイヤーをめっちゃ重ねて、ちょっとズラしてみたいな。ちょっと「何描いてるんだ?」みたいにぼかした感じにしてるんですよ。

 

――なるほど~。で、めちゃくちゃ重要なところがあって…。ドクロをモチーフにしたものとか、こういう構図とかは、まあよくあるじゃないですか。

 

みさと:そうですよね。こういう絵自体は全然ありますね。

 

――ただ、とても素晴らしい点があって。

 

みさと:鏡越しってやつですよね。

 

――そうですそうです。さすが! 人の顔をドクロの目の部分に当てる構図はよくあると言えばあるんですが、大抵は人物が平面で横に並んでいて、その背景にドクロの顔の部分があって…。つまりはドクロ全体と目の部分とが平行になってるんですよね。

 

一同:うんうん。

 

――でもこの場合、猫の女の子と鏡に映っている姿は対面していて、鏡の中へと向かって奥行きがある。一方、ドクロとして捉えると二つの“目”つまり”女の子の頭”は平面上に並んでいることになります。

 

みさと:そうですね。

 

――なので、ドクロと捉える時と、鏡と捉える時で観賞者の空間感覚が捻れるんですよね。

 

みさと:そうですね。空間が違ってきます。

 

――ですよね。なので、空間が捻れて見えて目がおかしくなったように感じるというか…。まさにトリックアートです。

 

ひかり:確かに。

 

――浮世絵のように平面的に捉える日本的なものと、遠近法を用いて描かれる西洋的なものをミックスしているというか…。

 

みさと:あぁ、そうですね。あと、ちょっとポイントがあるんですけど。

 

――おぉ、ぜひ聞かせてください。

 

みさと:鏡って普通は部屋の中にあって、これも部屋の中っぽい感じで描いているんですが、鏡に映ってるドクロの鼻の部分が富士山をイメージしたものになっていて、外になってるっていう…。

 

――ですよね。植物も描かれていて。

 

みさと:そういった変な感じも出したくて。

 

――なるほど。もしかしたら女の子のいる空間と鏡の中の空間とまた違うのかもしれないですよね。

 

みさと:あぁ~、そうですね。

 

――あと、鏡の中に奥行きが描かれているわけですが、でもそれって本物の空間じゃないですよね。あくまで鏡という”平面”に映っている”擬似空間”ですから。なので、”立体”と”平面”が切り替りながらも、ほんとは鏡の中にある”立体”も実は虚像で“平面”だという。それだけ二重に捻れているというか…。素晴らしいですよ、これ。

 

みさと:おぉ、ありがとうございます。

 

――そして、そうした捻れがありながらも、やはり”可愛い”というのが大事な部分ですよね。

 

みさと:あぁ。

 

ひかり:確かに。

 

きらら:可愛い!

 

 

 

 

 

何かが聴き手にフィットしてくれたらいいと思いますね(みさと)

 

――楽曲はいろんな方が書かれてますよね。Hey!Say!JUMPやジャニーズWESTなどに書かれてるkoma’nさんとか、まねきケチャやdropなどにも書かれてる「すえくん」さんとか、あと、「ぴあ」さんっていう方も…。

 

みさと:ぴあさんはPayrin’sさんとかに曲を書かれてますね。

 

――で、皆さんも作曲にも関わったりしてるんですよね。「ギターの音をこうして欲しい」とか「リズムをこうして欲しい」といった注文を出されているとのこと。

 

みさと:しますね。発注する段階でイメージは固めるようにはしているんですが、でも作曲家さんって皆さんすごくて。結構感覚的な感じで「こうしたい」っていうのを伝えても、わかってくれるんですよ。悲しい感じがいいとか、楽しい感じでとかあるじゃないですか。

 

――アーティスティックなみさとさんですから、そういう感覚的な伝え方をするんですね。でも、作曲家の方々はそこから具体的に音にしてくれるわけですね。

 

みさと:はい。

 

――まずは「さよならを教えて」なんですが、カッコいいですよね、これ。ちょっと哀愁を帯びたロックって感じで、今やそれが皆さんの一つのスタイルになってきています。

 

ひかり:確かに。

 

――それを1曲目に持ってきた意図などありますか?

 

みさと:1stシングルっていう部分が大きいと思います。シングルリリースした順になってるのかな?「アンバランス」以外は…。発表した順ですね。

 

――発表順に並べているわけですね。でも、いい流れができてますよね。緩急がついてというか…。

 

みさと:緩急つきまくりな感じありますよね。

 

きらら:確かに。

 

――この曲のサビのファルセット部分がめっちゃいいですよね。

 

みさと:あ、あそこはミックスボイスぐらいの感じですね。あの高音の場所ですよね? ちょっと苦しいぐらいの。

 

――はい。ミックスボイスって感じなんですね。そういう歌い方などもイメージして伝えたんですか? それとも、ああいう形で提供されたんですか?

 

みさと:元々ちょっとエモい気持ちになる曲が欲しいって言ってたんですが、それでこの曲が送られてきました。

 

――なるほど。何かイメージしたものとかあったんですか? エモい曲っていうことだけですか?

 

みさと:この曲、もともとボーカロイドの曲とかを意識したいなって思ってたんですよ。結構独特じゃないですか。あの世界。

 

――はい。まぁ、僕はあまり詳しくないですけど…。

 

みさと:ボカロの曲には色んなジャンルがありますね。聴きやすいんですけど、ちょっと聴いたことないような感じのメロも入れてもらったりしています。

 

――で、作詞はみさとさんですよね。

 

みさと:はい。

 

――あんまり褒め倒すのもなんですが…(笑)。いい詞ですよね。

 

みさと:アハハ。ありがとうございます。

 

――詞は以前から書かれてたんですか?

 

みさと:そうですね~。自分で言うのもなんですが、結構ポエマーなんですよ、私。常に思ったことを書いていたりするので。

 

――じゃあ割と”キャリア”はあるわけですね?

 

みさと:そうですね。言葉はそんなに絞り出してる感はあまりなくて、出てきたものをはめ込んでいる感じですね。

 

――ちょっと難解な詞ですよね。

 

ひかり:うんうん。

 

きらら:確かにそうですね。

 

――いろんな解釈ができて、「これどういう意味だろう?」っていうところも随所にありました。まぁ、それは聴き手に委ねてる部分もあると思うんですが…。難解な詞って、書こうと思えばでたらめに言葉を並べればできるじゃないですか。でも、それをちゃんと詞として成立させるのが難しい。みさとさんの場合は、ちゃんと全体のイメージがあって、そこから上手く切り取ってその隙間を聴き手に想像させる、みたいな詞になってますよね。

 

みさと:でも、結局そうですよね。受け取る側次第なので、こちら側で意味があろうがなかろうがあまり関係ないじゃないですか。何かが聴き手にフィットしてくれたらいいと思いますね。

 

――全般的にみさとさんの詞には死生観のようなものが描かれているように思います。おばけや妖怪も頻繁に出てくるわけで。

 

みさと:なんだろう。まぁ、幻想的なものに思い巡らせることが多いかもしれませんね。日常と幻みたいなものを交互に考えてたりとかするので。もしかしたら主人公は自分じゃないことの方が多いかもしれないです。こんな人がいたらとか、こんな子がいたらとか考えたりしますね。

 

――幻と実像とって言うと、この世とあの世という感じもします。それらを行き来してるという感じでしょうか。

 

みさと:そうですね。

 

――で、輪廻転生で生まれ変わる、と。でも、こういう重ための詞ばかり書いてるとしんどくないですか?

 

みさと:全然しんどくないですね。人間しんどい時の方が曲って聴きたくなるだろうし、作りたくなるのも然りですけど。そういう人に寄り添っていけたらなって思ってますね。

ゑんら ライブ情報

◎12/10 全国ツアーゑんら道中
新宿BLAZE ワンマンライブ
開演◼︎19:00
https://ticket.yahoo.co.jp/tour/00004359/

◎12/14 大阪ライブ ESAKA MUSE 1部 開演◼︎12:00 2部 開演◼︎17:30 ※両部出演予定 https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1953210

 

ゑんら 商品情報

2ndアルバム『UKIYO』 2019年12月11日リリース 3人組ユニットゑんら集大成ニューアルバム。

『UKIYO』”怖かわいい”を求めて。

ゑんら

Type-A 3,000円(税込)

ゑんら

Type-B 3,000円(税込)

 

 

 

 

PROFILE

PROFILE
ゑんら

「煙のように変幻自在、枠に囚われない」をコンセプトに、木乃伊みさと、滝口ひかり、滝口きららの3人で結成された、完全セルフプロデュースユニット「ゑんら」

 

和をテイストに、楽曲によって表情が変化していく。
楽曲制作、衣装、グッズ制作などをメンバーが自らが担当している。
海外、アニメカルチャー、ミュージカルなどの進出を目指し、さまざまなエンターテイメントを追求している。

木乃伊みさと

1994.09.09

絵が得意で、ゑんらのグッズやアー写の絵を描くなどクリエイターとしても活躍中。

滝口ひかり

週刊プレイボーイの「隠し球GP」の読者投票で初代グランプリとなり、後に2000年に1人の美少女と呼ばれる。

2000年に1人の美少女と呼ばれる。

地上波テレビのバラエティ番組やグラビア、モデルなど幅広くメディアに出演。

滝口きらら

ゑんらの最年少。元ソフトボールプレイヤーでヤクルトスワローズのホームページモデルとして活躍。

また、ラストアイドルの挑戦者として出演。セカンドユニットに誘われるも辞退。

その後、盟友長月翠と共演を果たす。

公式サイト: https://wyenra.jp/