Speak emo
PassCodeって挑戦し続けるグループじゃないと駄目だと思っているので
上手く聴こえることよりもその時にしかできない歌い方を優先しますね
――南さんはTwitterで「『ZENITH』がモノクロだとすれば『CLARITY』はカラフルなアルバム」と呟いてらっしゃいました。でもそれは、単色のものに単純に色を足したってわけではないですよね。
南:そうですね。インディーズでのアルバムを「おもちゃ箱みたいなアルバム」って表現をよくしていたんですが、それに比べて『ZENITH』は、メジャーファーストということで「自分たちはこういうことをやってるっていうのを見せなきゃいけない」と思って作ったので、やることが決まっていたというか、そういう意味でモノクロというか…。自分たちの色を一つに絞って出したんです。で、今回アルバムを作るにあたって、もっとできることが広がったというか。『ZENITH』をリリースして、シングル「Ray」をリリースしてきたからこそ出せる色があって。今までやってきたことが合わさった色というか…。“青”とかじゃなくて、その中に薄い青とか濃い青とかいろんなものが混ざった色合いというか…。なので、一部の曲を聴いただけではアルバムの全貌が分かりにくいんじゃないかなと思います。『ZENITH』は、1曲目の「Maze of mind」を聴けば「こういう勝負の仕方のアルバムなんや」って分かったかもしれないですけど、今回は“12色入りの色鉛筆”みたいな感じで、1本だけじゃ使い方はまた変わってくるけど、全部あると本当に強いアルバムになるというか、強いものに仕上がったかなと思ってます。
――作り方などでこれまでと違うところはありますか?
南:今作だったら7曲目の「horoscope」とか、私が「こういう曲が欲しい」って要望を出して作ってもらったんです。『ZENITH』と違うのは、メンバーの意見が反映されてる部分ですかね。「PassCodeでどういう曲がやってみたいですか?」って訊かれた時に、「PassCodeなりのバラードがしてみたいです」って言っていたことがあって…。で、「It’s you」のリリックビデオを撮った時に平地さんと話したんです。「バラードって言っても、どういうバラードがいいの?」って訊かれて、「こういうふうなものが作りたいです」って細かく伝えたんですよ。そしたら、映像を撮ってる時に曲が浮かんできたらしくて、そのまま大阪に帰って作ったのが「horoscope」だったんです。そういう意味でも、これまで以上にメンバーが意向が反映されてるアルバムなんじゃないかなと思います。
――これ、南さんが作詞されたんですよね。
南:させていただきました。
――で、曲に関して事細かに要望を出したとのことですが、具体的にはどういうことを?
南:例えば、仮でデモが上がってきた時にはピアノが入ってなくて、「この曲は絶対ピアノが欲しいです」って話してピアノを入れてもらったりとか。曲ができる前にも「ミディアムだけどバラードに寄ってて、サビは若干ポップに、若干明るくなる感じで、全部暗いっていうよりも少し抜けるような感じがいいです」というオーダーをしたり…。「こういう感じのものがPassCodeにあったらおもしろいと思うんです」という風にプレゼンをして出来た曲です。
――かなり細かいところまでオーダーされてるんですね。
南:そうですね。「horoscope」に関しては、平地さんも本当に細かいところまで意見を訊いてくださったんです。例えば、最後の大サビに入る前のオチサビの後って、結構長い間が空いてるんですけど、デモの段階では空いてなかったんですよ。私が歌入れした後に、平地さんが「ここ、無音で空けようと思ってるんやけど、どう思う?」って訊いてくださって、私も「それがいいと思います」って言って…。そんな風にいろいろと細かい会話をしました。
――オチサビがあって、溜めて、少し余韻を膨らませてから次に行くみたいな。
南:平地さん、サラッと流したくなかったらしくて。引っ掛かりのあるものにしたいということで、若干間を空けるという形にしたんです。
――なるほど。それによってすごくドラマティックになりました。歌詞もとてもロマンティックですね。
南:ありがとうございます。
――これ、「僕」が夜を独りで過ごしていて寂しさを感じてるのかなと思いきや、意外とポジティヴでハッピーなのかなと思わせる部分もあるような…。
南:「ハッピーであって欲しい」って言うのが正しいのかもしれないですね。夜が明けるって、結構ハッピーなことだと歌われるケースが多いじゃないですか。夜明けってそういうイメージがあると思うんですけど、夜が明けることをすごく不安に思ったり、辛いと感じる人もいると思うんです。そういう人たちに寄り添える曲でありたいなって思って…。ずっと辛いままって悲しいじゃないですか。だから「どうか幸せであって欲しい」って願って作った曲なんです。その中にPassCodeの今までとこれからとか、PassCodeへの想いを詰め込んだ歌詞になってます。
――「音楽は魔法かなんて 解らないけど」という一節がありますが、皆さんはリスナーの方々に魔法をかけてるんじゃないですか?
南:「魔法」って言い切れないですけど、あって欲しいとは思います。音楽って「魔法」ではないかもしれないけど、魔法のように心を温めるものではあると思うんです。だからそういう曲になればいいなって思いながら作りました。私も、寂しい夜とか不安な時に音楽を聴いて励ましてもらうことがすごく多いので、PassCodeにもそういう曲があればもっと人に寄り添えるグループになれるんじゃないかと、もっと愛されるグループになるんじゃないかなと思っていて…。温かい曲を作りたいなと思って歌詞を書かせてもらいました。
――そういう意味でも、「頑張れ頑張れ」って曲ではないですけど、でもやっぱりちょっと火を灯してくれるというか、一歩踏み出させてくれるというか、ちょっと上げてくれるような曲ですよね。
南:頑張ってるんです、皆。十分。頑張らなくていいけど、やっぱりやらなきゃいけないことはあって、朝を迎えると一日が始まって、自分が置いていかれないようにしないといけない。そこで、そっと背中を押すぐらいの、片方荷物を持つぐらいの曲ができたらいいなと思って…。そんな無理に頑張れと言うような曲じゃなくて、心の奥の方がポッと温かくなるような曲にしたいって思いながら歌詞を書きました。
――なるほど、いい話です…。他に意見を出されたものとかってありますか?
南:「DIVE INTO THE LIGHT」とかだと、「ダンスっぽい曲作りたいんやけど、どう思う?」って訊かれて…。これまでにも「Never Sleep Again」とか「Scarlet night」とか「TRICKSTER」とかあるんですけど、「もうちょっとポップでもっと弾けられるような曲があれば」と提案したら、平地さんが「ほんじゃ作るわ」ってなって…。
――そういう意向が随所に反映されているわけですね。
南:そうですね。今作は全曲バラバラで、それぞれに色があるんです。『ZENITH』は似た曲が多かったので、セットリストのどこに来ても流れがキレイになりましたが、今回は、例えば「4」という曲は、ライブでは4曲目以外にやる気ないんですよ。私がセットリストを組んでるんですが、「4」を4曲目以外にやることはないだろうなと思っていて。もし4曲目が違う曲になるなら、その日は「4」はやらないだろうなっていうぐらい、いろいろこだわって作っていますね。
――今作は「生っぽい」「キャッチー」「明るい」という特徴があると感じています。『ZENITH』は鋼のようにガッシリと作られていて、どちらかと言えばダークな印象ですが、『CLARITY』はすごくポジティヴな気持ちにさせてくれるというか…。
南:去年ぐらいから平地さんが「明るい曲を作ることもいいな」って思うようになったらしいんですよ。そういった部分が大きく反映されてるんじゃないかなと思いますね。心情の変化というか作り方の変化が曲にもろに現れてるんじゃないですかね。
――敢えてこういう訊き方をしたいんですが、『ZENITH』リリース時にインタビューさせていただいた際、南さんは「メジャーに行くにあたって、ファンの中にはPassCodeが変わってしまうんじゃないかと危惧されてる方もいて、そういった方々に変わらなかったことを示すようなアルバムが『ZENITH』だった」といった趣旨のことをおっしゃっていました。で、メジャー2枚目となる『CLARITY』はとても間口が広くてキャッチーなものになりましたが、例えばそれを「変わった」と捉える人もいるかもしれません。そうした懸念ってありますか?
南:それは特にないですね。『ZENITH』を出したからこそできたアルバムだと思っています。『ZENITH』を出したから「Ray」っていうキャッチーな曲ができるようになって、『ZENITH』と「Ray」を出したから「Tonight」とか「Taking you out」という二面性のある両A面シングルが出せて…。そうしたことを繰り返すことで出来たアルバムなんです。確かに変わりましたが、“良くない変化”ではなくて、今までやってきたからこそ違うことができるっていう“挑戦”だと思います。「可愛いものになるんじゃないか」とか「静かなものになってしまうんじゃないか」といった、メジャーでやることへの不安感は『ZENITH』で払拭できたからこその変化というか…。だからこそ、いろんな楽曲で遊んでいけるというか。『ZENITH』のような曲ばかり繰り返しても面白みがないじゃないですか。PassCodeって挑戦し続けるグループじゃないと駄目だと思っているので、やっぱり新しいことをしないと。そういった変化って必要なもんだなと思うんです。“変わらず変わり続けなきゃいけない”と思っているので。ライブもそうですし、自分たち自身も楽曲もそうであるべきだと思うので、そこに対する不安とかは特にないです。
――変わることによってPassCodeの芯のようなものが維持できるというか、より強固になる部分があるのかもしれないですね。
南:サウンド面では、やってることが違っていても全てPassCodeだからできるサウンドだと思うし、細かいメロの付け方とか、どこを取ってもPassCodeらしいんです。「こういう曲なかったよね、でもPassCodeっぽいよね」っていうのが、今回のアルバムのキーになってるんじゃないかなと思います。
――『CLARITY』は『ZENITH』と地続きであることは間違いないですし、キャッチーさが増してはいますが、それは“進化”というべきもので、それがアルバムにエネルギーをもたらしている感があります。
南:『ZENITH』は、力技っていうか、ねじ伏せるような感じのものだったと思うんですよ。「これがPassCodeだ」っていう風に。でも『CLARITY』はそうじゃなくて、いろんな説得方法を覚えたというか、いろんな口説き方を覚えたというか…。力でねじ伏せなくても「こういうのもありますよ」って言うことができるようになったと。いろんな技を覚えたんだろうなって思います。
――「生々しさ」を感じると先ほど少し言いましたが、例えば「いろんな技を覚えた」っていう中には、「気負わずにそのままを出す」っていうのもありますか?
南:ライブ感を詰め込むのが皆上手になったんじゃないですかね。以前はレコーディングとなると「上手に歌わないと」とか「この音程をこういう風に歌った方がいい」「こういうブレスで歌った方がいい」という風に割とかしこまっていたんですが、今は自分たちのやり方がはっきり分かってきて、自分たちのカラーの出し方が上手になったと思います。メンバーそれぞれも歌い方が差別化できてるんじゃないですかね。きっちりハメることよりもニュアンスを伝えることに重きを置いていて、それゆえにライブっぽい雰囲気があるんじゃないかなって。それは『Locus』をリリースしたからこそでもあるかなと思っています。『Locus』はライブでやってる曲を詰め込んだアルバムで、ずっと歌ってきたからこその歌い方っていうのがある、と。荒削りだけどライブ感があるっていうか…。『CLARITY』にもそういう感じが出ているんじゃないですかね。
――そういう変化があったこのアルバムですが、レコーディングは難しかったですか?それとも、むしろやりやすかったですか?
南:レコーディングは難しかったですね。曲自体がだんだん難しくなっていって、求められることが増えてきたので。難しいんですけど、気づかない間にレベルアップしてるみたいな感じでした。以前は出せなかったキーを使ってる曲が多いんですよ。今までだったら「このキーって出せますか?」って確認されて「出ます」って言って、なんとかその一音を当てるだけだったんですが…。苦戦しながらも歌えるようになったってことは、知らないうちに成長してるんだろうなって。曲に引っ張られる形でみんな成長していってると思います。
――ある自分の限界を越えるキーがあったとしたら、「ここを狙おう」ってやったと言うより、曲に感情移入してるうちに自然と出たみたいな感じですか?
南:そうですね。高いなと思いつつも「意外と出るねんな」っていうのが今回は結構ありました。
――そういう意味では、技術を磨いて高い音を出そうというよりも、感情表現であったりとか曲を描くというところに重きを置いているという感じでしょうか。
南:もちろん技術がある方がいいし、歌も上手い方がいいし、ダンスも上手な方がいいっていうのは勿論なんですけどね。でも、結局人間の感情を動かすものって人間の感情だと思うんですよ。いくら上手でも棒読みで歌ってたら響かないじゃないですか。いくら上手でも「ホンマにそう思って歌ってるんかな」って思うし。少し荒削りでも伝えようとする気持ちがあるほうがいいかなって私は思います。ライブとかでもそうですけど音源とはまた違った歌い方とかすることがあります。上手く聴こえることよりもその時にしかできない歌い方を優先しますね。
――このアルバムを聴いて僕がすごく感じたのは、まさに歌が主役になってきてるな、ということで…。『ZENITH』はサウンドの構築美みたいなものがあって、ある意味、歌声も一つのパーツとしてサウンドの一部になっていた感があったんですが、『CLARITY』では紛れもなく歌が中心になっているというか…。
南:そうですね。音響も変わってきてるというか…。PAさんが意識してるのかは分からないですけど、だんだんヴォーカルが前に出るセッティングになってきてるんですよ。私たちもあまり気付いてないうちに、ライブでもレコーディングでも音が変わってきてるんですよね。昔は機械のように、楽器の一部のように声がサウンドに乗っていたのが、最近の曲でいうと一番分かりやすいのは「Tonight」だと思うんですが、声が中心になってきてるなって。たぶん平地さんの中でも変わってきてるのかなと思いますね。歌がメインになってるからこそ分かりやすくなったというか、耳に残るメロディが必要になってきたというか…。平地さんの作る曲にはそういうメロディがしっかりあるからこそ、歌が生きてくるのかなと思います。
PassCode 商品情報
PassCode メジャー2ndアルバム『CLARITY』
発売日:2019年4月3日
初回限定盤【CD+「CLARITY」ダウンロード・ストリーミングアクセスコード付カード】
価格:3704円(税抜)+税
品番:UICZ-9113
https://store.universal-music.co.jp/product/uicz9113/
通常盤【CD】
価格:2778円(税抜)+税
品番:UICZ-4446
https://store.universal-music.co.jp/product/uicz4446/
01. PROJECTION
02. DIVE INTO THE LIGHT
03. Ray
04. 4
05. Taking you out
06. THE DAY WITH NOTHING
07. horoscope
08. It’s you
09. In the Rain
10. TRICKSTER
11. Tonight
12. WILL
-Bonus Track-
13. 一か八か
[CLARITY初回限定盤付属ダウンロード・ストリーミングアクセスサイトコンテンツ] 映像
・Ray -Music Video-
・Ray -Music Video Behind The Scene-
・Taking you out -Music Video-
・Tonight -Music Video-
・Taking you out/Tonight -Music Video Behind The Scene-
他、後日追加コンテンツ公開予定
音源
・Opening -Taking you out TONIGHT! Tour 2018-
・DMM.com 20th半額キャンペーン#1[NoNarration] ・DMM.com 20th半額キャンペーン#2[NoNarration]
壁紙
・最新A写スマホ/PC用壁紙各種
*ダウンロード/ストリーミング期限 : 2019年12月31日(火)23:59まで
*作品内容は予告無く変更になることがございます。予めご了承ください。