Speak emo
万人受けしないですけど、そういうものを「好き」って言ってくれる“少数派”がどんどん大きくなっていく…そんなグループだと思います。
今、最も先鋭的なアイドルグループであろう。
煌びやかな光を撒き散らしながら躍動する電子音。変拍子を随所に交えながらトリッキーな仕掛けを施す複雑なリズム。そして、予定調和の快感ではなく、予想外の展開によって生じる法悦に満ち溢れた音像。「万人受けしない」「難解」とメンバー自ら称するそのサウンドは、同時に「どこか引っ掛かりがある」「繰り返し聴きたくなる」といった中毒性を帯びる。
そのコンセプトは「感染」。一聴して難解なサウンドは「薄く広く」ではなく「濃く狭く」を狙ったものだが、それが人から人へと伝わることで「濃く広く」なっていく。強く刺さり、すっかり虜になった人ほどその”感染力”は高く、いっそうその魅力を拡散していくことになる。
昨今のネット時代においては、趣味趣向が細分化されながらも、同じ趣向を持つ人たちのクラスタが生まれ、そこでは、万人受けを狙ったヌルい表現よりも振り切った真摯な表現が支持される。そして、そこで強い支持を得られれば、それは、あたかも感染するかのごとくSNSや口コミによって広く伝播するのだ。
真摯な表現は真摯なリスナーを魅了する。それにより獲得した熱心な支持者すなわち”重篤な感染者”は、自らが媒介となって、より一層の拡散に勤しむ、というわけだ。
そういう意味でも、染脳ミームは今の時代に最も即したアイドルなのかもしれない。
昨年9月29日にライブ・デビュー。当初は6人組だったが、メンバー卒業を経て4人となる。その間、様々なイベント出演や主催公演、定期公演などで研鑽を積み、昨年12月13日には初の音源『Epidemic』をリリース。そして、今年3月12日には新メンバー2人を加えた新体制を発表。3月24日にはいよいよ新体制お披露目ワンマンに臨む。いわば“染脳ミーム第2章”の始まりといったところだ。
そして今回、新体制6人の“初インタビュー”を敢行。オリジナルメンバーである+あむ+(ぷらすあむたす)、夏目鳳石、おきんとん、乃依ねお、加えて新メンバーの糸飴キセ、書庫りり子に、そして、これまで全ての楽曲を作曲してきた(一部作詞も)サウンド・プロデューサー、マモルも交えてお話を伺った。
自分が楽しめばお客さんも楽しいのかな、って(糸飴)
――まずはじめに、染脳ミームってどんなグループですか?一人ずつお答えいただければと思います。
おきんとん:個性豊かです。
――個性豊かなグループですね。それだけですか?
おきんとん:あと、楽曲がすごい、面白い。個性豊か(笑)。
――(笑)。では糸飴さん。
糸飴キセ(以下:糸飴):私は新メンバーなのでまだあまり詳しくはないんですけど、前から曲がめちゃくちゃ好きだったんです。それでメンバー募集に応募したんですよ。ライブはYouTubeなどで見てたんですけど、踊り方とか他のアイドルさんと全然違っていてて。合わせるって言うよりは「自分出します」「自分の色見てください」って感じで…。おきんとんちゃんも言ってましたけど、個性がめっちゃ出るグループだなと思います。
――新メンバーとは思えない分析ですね。+あむ+さんはいかがですか?
+あむ+(以下:あむ):2人が言ったとおり、個性がすごい強くて、メンバーみなそれぞれ違います。楽曲は難しくて、なかなか受け入れてもらえなかったりするんですけど…。なかなか“感染”してくれなくて…。でも、だんだん感染してくれる人も増えてきていて、これからのグループだなって思います。
――続いて夏目さん、いかがですか?
夏目鳳石(以下:夏目):まだ結成して一年も経ってないので、「これだ」って言うものはまだまだ掴みきれてないんですけど…。皆が言ったように、第一に個性が強いです。曲も、王道のメロディーはほとんどなくて、初めて聞いた人は「は?」って顔をするんですが(笑)。万人受けは狙ってないので、好き嫌いは当然あると思うんですが、自信を持って「染脳ミームが好き」って言ってもらえるように…。あ、どんなグループか?でしたよね。
――全然大丈夫ですよ。
夏目:万人受けしないですけど、そういうものを「好き」って言ってくれる“少数派”がどんどん大きくなっていく…そんなグループだと思います。あと“ビジネス仲良し”じゃないのが私としては一番やりやすいです。それをファンの人も分かってるから付いてきやすいのかなって思います。
――全員に聞いてからいろいろお訊きしようかなと思ったんですが、ちょっとここは訊いておかないと。“ビジネス仲良し”ってグループは結構あるんですか???
一同:(笑)。
夏目:(笑)。噂を信じちゃいけないんですけど、そういう噂を聞くグループもあるので…。皆が信頼しきっていて、何でもちゃんと言い合えるグループって、なかなかいないと思うんです。でも、今の私たちは「ここはこうだよ」って言えるし、それが陰口にならないんです。それが悪口にならなくて、たまには「太ってる」とか、そういうことを言う時もあるんですが(笑)、それも、許し合った仲でこそのものなので。そこも“売り”です。
――続きまして、乃依さん。
乃依ねお(以下:乃依):今までにないグループです。楽曲もそうですし、コンセプト的にも。「感染」がコンセプトなんですが、「染脳」と書いて「脳を染める」みたいな意味なんです。「インフルエンサー」みたいな…。メンバー一人一人個性が違うので、その子を好きになった人は、その子のちょっとしたところをまねしたりとかして、そんな風にどんどん広まっていったり…。そういうのも私たちの色なのかなって思います。あと楽曲も、万人受けしないって結構言われるんですが、逆に言うと、万人受けする曲って続けて聞いてると飽きちゃって「別の曲聴きたいかな」って思うこともあるんじゃないかと。でも、うちのグループは違っていて。自分たちの曲って何百回も聴くじゃないですか。それでも普段から聴きたくなるんですよね。自分たちでさえこんなに聴きたくなるんだから、他の人も聴きたくなるんだろうなって思います。お客さんの中にも「何回聴いても飽きない」って言ってくれる人がいて…。そこも強みなのかなって思います。
――なるほど。では書庫さん。
書庫りり子(以下:書庫):私も新メンバーなんですが、このグループに入りたいと思った理由が、「楽曲がめっちゃ好き」っていうことなんです。染脳ミームの楽曲は、強くて、テクニカルな感じで、さっき、ねおちゃんも言ってましたが、楽曲を何回も聴きたくなりますし、何回も聴いていると、聴くたびに新しい発見がある。例えば「ここにこんな音があるんだ」みたいな。今までありそうでなかったグループです。唯一無二で、超カッコいいと思います。
――楽曲について「万人受けしない」「難しい」という発言がありましたが(笑)、そういう楽曲を作られているマモルさんとしてはいかがですか?
マモル(サウンド・プロデューサー):自分も20年近くやってますが、万人受けしないと思って作ってるところはありますね。敢えて売れ線を狙いに行ってないってというか…。先程ねおも言ってましたけど、”スルメ”なぐらいの方が長く聴いてもらえるんじゃないか、ってずっと思ってたことなんですよね。すぐに”感染”するような曲だと、すぐ次に目移りしちゃうというか。そういう曲って、流行りやすいんでしょうけど、逆に言えば個性が無くて真似もしやすいと思うんですよね。染脳ミームの曲って、きっと真似できないと思うんですよ。”食べづらい”感じはあるんですけど、それは狙ってるところではあります。
――皆さん、楽曲が「万人受けしていない」っていうのは、どんな時に感じますか?例えば、ファンの人に言われるとか???
夏目:アイドルさんの曲って大抵”オタ芸”とか”ミックス”とかが入るんですよ。曲の尺が大体決まってるんです。ミックスが上手くハマるように狙って作ってることも多いですし。でも、私たちの曲って簡単に入れさせないというか、入らないものもあるんです。なので、ファンとしては「乗りたいのに乗りづらい」「沸きたいのに沸けない」っていう部分もあって…。好き嫌いは分かれますが、曲は何回も聴きたくなると思います。
乃依:変拍子がすごくて中毒性がありますね。
――引っ掛かりがあるって感じですか?
乃依:そんな感じです。聴く曲って感じです。無理に乗る必要はないというか…。
――しっかり味わうみたいな。
乃依:そうです。
――ファンの皆さんが戸惑ったりしてるのも見たわけですね?
あむ:最初は割と。
夏目:お披露目の時は、お客さんの戸惑いが結構すごかったです。
――その後、変化は見られました?
夏目:う~ん…。私も初めて染脳ミームの曲を聴いた時、こんなリズムやメロディーやサウンドは今まで聴いたことがないって思ったんですよ。それが好きな人は、それに合わせて自分なりのノリを考えてきてくれて、現場を盛り上げようとしてくれたりしましたし。でも、もちろん去っていく人もいて、でも「去る者は追わず、来る者は拒まず」って感じです。
――もっと分かりやすい曲、アイドルアイドルした曲をやりたいなと思ったりはしなかったんですか?
おきんとん:思うけど、マモルさんの曲が良いので。
――思ったりはする、と。
おきんとん:思ったりはします(笑)。
――なるほど(笑)。でも今や、そうした難解な楽曲が武器になってるというわけですね。新加入のお2人は先程楽曲に惹かれたといったことをおっしゃっていましたが、そもそもそんな複雑な曲はお好きだったんですか。
糸飴:いや、もともと王道系のアイドルをやっていたので…。
――やってらしたんですね。
糸飴:そうです。王道系の曲って、ファンの皆さんはめっちゃ楽しそうに踊るんです。ミックスしたりとか。でも一番は、自分が一番好きな曲を歌った方が、お客さんのためにもなるし、自分もやってて楽しいしみたいな。だったら、お客さんが楽しい曲じゃなくて、自分が一番楽しい曲をやりたい、と思いました。自分が楽しめばお客さんも楽しいのかな、って。
――書庫さんはいかがですか?
書庫:私は普段から、アニソンとかゲームミュージックとか、ファンタジーな感じが好きで。染脳ミームの曲は、世界観もしっかりしていて、そうしたファンタジーな感じに通ずるものがあると思っていて、私的には本当に刺さるんですよ。今の時代、アイドルアイドルしてる曲が多い中、染脳ミームはマモルさんのこの楽曲で、尖った感じで攻めてるのがめっちゃカッコいいなって思います。
染脳ミーム ライブ情報
『新型感染』(お披露目ミニワンマン)
【日程】
2019.03.24(日)
【時間】
Start 17:00
Open 18:00
【会場】
吉祥寺NEPO
【料金】
前売2,000円
当日2,500円
+1Drink
染脳ミーム 商品情報
『Epidemic』
【CD】KNSN-001 1,944円(税込)
【収録曲】
01.千のmeme
02.パンデミックジェネレーション
03.感染地帯確定
04.行く
05.感染天使
06.薔薇の棘、スカート破れた
※Spotify、Amazon Music、LINE MUSICをはじめ各種サブスクリプションにて配信中。