Speak emo

2019.08.19
HALLCA

気持ちがないと書けないですよね

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「Especiaで見た景色」を絶対また見たいな、と

――まずは「Diamond」ですが、これってもう「復活宣言の曲」ですよね。

HALLCA:そうです。「復活宣言」です。期待に胸を膨らませて「頑張るぞ!」みたいな、「ダイヤモンドになるぞ!」みたいな感じだったんですけど、まあ、現実はそう上手くはいかないですけどね(笑)。

――いやいや、これからですよ。まだ1年ですから。

HALLCA:期待しすぎてたんですよね、最初は。「ダイヤモンドみたいに輝くぞ!」っていう感じで、「Especiaで見た景色」を絶対また見たいな、と。それだと「引きずりすぎじゃない?」って思われるかもしれないですけど、やっぱり私は「あの景色が忘れられない」っていうのが正直な気持ちだし…。『Aperitif e.p』の曲ははそんな気持ちで書きました。

――まあ、時間をかけて磨き上げるわけですから。

HALLCA:磨いて磨いて(笑)。

――ですよね。デビューEPの冒頭を飾るこの曲って、エレクトロだったり、ハウスだったり、アンビエントだったり、トリップホップっぽい雰囲気もあって、HALLCAさんの今に続く音楽性みたいなものを象徴する1曲といった印象です。

HALLCA:嬉しい!私もそう思います。

――今まで発表している9曲って、色んなアプローチをされながらもどこか統一感があるように思うんですが、作曲家の方々とかと結構話し合ってガシッと固めたりしたんですか?

HALLCA:統一感とかはそんなに考えずにその場その場で決めることが多いかもしれないですね。でも最終的に統一感があるなって私も思います。私が今理想としてるのが、全部生バンドでやるというより、トラックを流して3ピースとかでやることで。ギターとキーボードだけ生音で、あと打ち込みとか。ミニマムなセットでやるのがすごい憧れですね。バンド寄りっていうより、ちょっとクラブ寄りにいたいな、っていうのは思います。

――今ライヴはそんな感じでやられてますよね?

HALLCA:そうですね。ただすぐに気持ちが変わるので(笑)。もしかしたら「すぐバンドやりたい」ってなるかもしれないですし。これまで作ってきた曲を完全再現するには、きっと大編成のバンドじゃないと出来ないと思うんですよ。そう考えると、クラブっぽい感じでやりたいなっていうのはありますね。

――:なるほど。そういう志向があったわけですね。

HALLCA:でも、再始動した当時はあまり考えてなかったかもしれないです。1年を通してそういう気持ちがどんどん生まれてきた感じですかね。

――明確に「こうやろう」みたいなものがあったっていうより、その時のその時の気持ちみたいなのが反映されて、1年かけて出来上がってきた、と。

HALLCA:そうです。私、「こうやっていこう」とか目標を立てるのがすごく苦手で…。「その時にならないとわからない」って思う派なんですよね。なので、その時その時を一瞬一瞬の気持ちを大事にして作っていってるっていうのはあるかもしれないですね。

 

メロディを作るのがすごく楽しくて

――配信シングル「WANNA DANCE!」からは、ご自身が「作曲」としてクレジットされていますね。

HALLCA:作ったのはメロディだけですよ(笑)。

――作詞の場合は先ほど「必要に迫られてやるようになった」とおっしゃっていましたが、「メロディを作る」のは必要に迫られてというわけではないですよね。表現に対する意欲が出てきたって感じですか?

HALLCA:それはすごく思うかも。今、メロディを作るのがすごく楽しくて。コロちゃんの書くメロディは歌っていうよりサウンドっぽさがあって、私はそういうサウンドと、もともと好きだった“歌”を、もっと言えば歌謡曲とかJ-POP寄りの歌を融合させたかったっていうのがあって、最近はそういったメロディを作りたいと思っています。

――最初の『Aperitif e.p』の4曲に関しては、そういうことはやられていない?

HALLCA:そうですね。もうメロディも頂いてました。

――「WANNA DANCE!」からそうなったと。具体的な作業ってどんな感じですか?

HALLCA:鼻歌ですね。昔のクラブ・シンガーとかって、「インストを流してそこでメロを作っていくんだよ」っていうのを教えていただいたんです。確かに、リズムがあった方が良いメロが生まれそうだって思ったので、Spotifyとかでインストとかメロディが入ってないものを聴いて、それを元に作ることもあります。自分でアドリブで歌って、それ録音して、「ここ使おう」って感じで組み合わせていってます。

――ヒップホップなども、もともとは昔のレコードを流して、その上でラップをしたのが始まりですよね。

HALLCA:うんうん。トラックをループさせて。

――ところで、僕は「Show the Night」が大好きなんですが…。

HALLCA:ありがとうございます。私もめっちゃ好きなんです。

――これってどうやって作ったんですか? メロディも曲の構成もとてもユニークです。

HALLCA:ホントですか?これこそインストを探してそれを元にメロディをつけて…。展開はコロちゃんにお任せです。でも、コード進行とかすごいですよね。いきなりコロッて変わったりして。それはもうコロちゃんの力量です。

――サビから始まって、AメロはなんかAメロっぽくないじゃないですか。あれはHALLCAさんが作ったわけですよね?

HALLCA:そうです。はい。

――そんな技術はどこで学んだんですか???

HALLCA:全然学んでないです。ホントに。ポンッと出てきました。

――Aメロは起伏のないところから始まって、ジワジワと盛り上げていって、起伏をサビで作るみたいなのが割と王道だったりすると思うんすが、最初からいきなり“乱れてる”っていうか。Aメロっぽくなくて、先行するメロがあってそれに呼応するメロディみたいな印象です。で、Bメロでドロップというかブレイクになって…。

HALLCA:そうですね。いきなり静かになりますよね。

――その後がCメロが、スキャットになって一瞬「間奏かな?」と思わせておいて、でも「Cメロだ」みたいな。

HALLCA:歌詞も入ってきて。

――そうです。めっちゃ高度なことやってるじゃないですか!

HALLCA:どうなんですかね???

――この曲もPellyColoさんにメロディを投げたんですか?

HALLCA:そうですね。メロディを先に出して、アレンジしていただきました。

――“歌”というものをかなり崩している印象なんですが、そんな意識はなかったですか?

HALLCA:なかったかも…。出てきたのがこんなメロだったので…。

――リズムをループさせる“グルーヴもの”と、起承転結のある“J-POPもの”では、楽曲の機能性に大きな違いがあるじゃないですか…。

HALLCA:元になったハウスのトラックに引っ張られてたのかなって思います。「ハウスの曲を作ろう」って思ったから自然と歌謡曲にはならなかったのかもしれないですね。リルさんに作っていただいた「Utopia」もあまり歌謡曲っぽくない感じですね。

――ということは、最近の2曲では「脱歌謡曲を試みた」って感じですか?

HALLCA:ホントですね(笑)。でも歌謡曲も好きなので、そういうのも歌っていきたいですけどね。でも、どう思います? どちらかに統一したほうが良いんですかね? 私はどっちも好きなんですよ。踊れる曲も好きだし、歌っていうのも好きなので。今の私の曲はAORだったり、ディスコだったり、ハウスだったり、と全部バラバラですし、それこそEspeciaも結構バラバラだったし…。統一とかはしなくても良いかなとは思うんですけど、分かりづらいのかなぁ…?

――それこそEspeciaはホントに色んなジャンルの曲をやってましたよね。

HALLCA:そうですよね。いろいろやってますよね。

――いわゆるディスコ/ブギーやR&Bから、ドラムンベースやボサ・ノヴァまで。

HALLCA:ありましたね。

――もうホント色々ですけど、でもなんか通底するものがありましたよね。

HALLCA:こういうことをやりたいんだろうな、みたいな。分かります?

――はい、分かります。例えば、「こういうのはどう?」って曲を提示されれば、「これはEspeciaでアリ、ナシ」みたいなのってあったと思うんですよ。

HALLCA:確かに。

――で、それはHALLCAさんの音楽にもあると思うんです。なので、もちろん“歌もの”、ど真ん中の“歌もの”をやられても全然いいと思うんですが、じゃあ大塚愛さんみたいなものをいきなりポーンと持ってきてやれるか?っていうと、ちょっとそれはないのかな、とは思います。

HALLCA:それは私も思います。大塚愛さん自体はすごく好きですけど、今の私の音楽とは違うかなと。

――この1年で築き上げてきたHALLCAさんの音楽観の中での“歌もの”はあってもいいと思います。例えば、ちょっと音数の少ないアコースティックな感じとか、壮大に歌い上げるようなものアリかな、と。

HALLCA:なるほど。

取材・文
石川真男

HALLCA ライブ情報

 

HALLCA 1st One-man Live "Aperitif at my VILLA"

場所:東京・渋谷Chelsea Hotel(https://goo.gl/maps/btqsGeK118iEWJk69

チケット:前売4,000円、当日4,500円(1Drink別)

プレイガイド:Live Pocket(https://t.livepocket.jp/e/hallca_villa

HALLCA 商品情報

 

HALLCA 1st ALBUM『VILLA』

HALLCA 1st ALBUM『VILLA』

発売日:2019年9月25日

品番:MGLB-0001

定価 : ¥2,778(税抜)

メジャーでの活動含め2017年の解散まで5年間の活動を展開したEspeciaのメイン・ヴォーカル、HALLCA。

デジタル・シングルの連続リリースに続き、グループ時代共に歩んだPellycolo、Rillsoulらアレンジャーのバックアップによる待望のファースト・アルバムがリリース決定 !

<収録曲>

01 Diamond

02 Show the Night

03 burning in blue

04 WANNA DANCE!

05 コンプレックス・シティー

06 Utopia

07 Dreamer

08 Milky Way

09 モイスチャーミルク

10 guilty pleasure(Blackstone village remix) 

11 Diamond(Yohji Igarashi remix) 

 


『Aperitif e.p』好評発売中

 

『Aperitif e.p』

 

価格:WVRG-1001

定価 : ¥926 (税抜)

 

<収録曲>

01 Diamond

02 Dreamer

03 guilty pleasure

04 Milky Way

 

PROFILE

PROFILE
HALLCA
93年生まれ、兵庫出身のヴォーカリスト。オーディション合格をきっかけにレッスンを積み、2012年6月1日にリーダーとしてEspecia結成に参加。大阪を拠点に2012年の初EP『DULCE』からコンスタントにリリースを重ねて全国区に支持を広げていく。2015年にメジャー・デビューし、2016年からは東京に拠点を移して活動を続けるも、2017年3月に解散。休止期間には限定的なライヴや舞台出演も経験する。その後はPellyColoと楽曲制作を進め、2018年5月31日にHALLCA名義での再始動を発表。6月1日からSpotify先行で楽曲配信をスタートして話題を集め、ソロでのファーストEP『Aperitif e.p』(WAVERIDGE)をリリー ス。ディ スコ・ポップ、ニュー・ディスコ、ディープ・ハウス、ブラック・ミュージックの要素を取り入れ、グループ時代共に歩んだPellycolo、Rillsoulなどのクリエーターと届ける新たな彼女の世界観に注目。
公式サイト: https://www.hallca.me/