Speak emo
気持ちがないと書けないですよね
「全部自由」っていうのは逆に苦しいと感じることも多いです
――Especiaの頃と比べて、音楽あるいは歌に対する意識って変わりました?
HALLCA:今はフリーだから自分がやらないと何も起こらないので、もう意識せざるを得ないというか…。以前は何もしなくても「練習さえ一生懸命やっていれば」という感じだったんですが、今は自分が作らなきゃ新曲もできないですし、アクションも起こらないので、すごい意識は変わりましたね。
――リスナーとしてはいかがですか?
HALLCA:リスナーとしては…色んな音楽を聴くようになりましたし、聴く時も「この人はこういう感じでいきたいんだな」とか「この人はこういう音楽が好きなんだな」とか意識するようになりましたね。それこそ時代の流れとか、そんなことも考えちゃいます。
――影響を受けたりとかインスパイアされたりとか、そういった音楽はありますか?
HALLCA:最初にハマったアーティストが大塚愛さんです。その時に歌うことがとっても好きになって。その頃は“音楽”っていうより“歌”が好きという感じでしたが、今は“サウンド”も聴くようになって、「音楽そのものが好きになったんだな」っていうのは自分の中ですごく感じていて。学生の頃はJ-POPが好きだったので、メロディとかその人のキャラクターとかが良かったらすぐ好きになってたんですけど、今はサウンドも含めて好きになったりします。着目点はすごく変わったと思いますね。
――大塚愛さんがお好きだったのはいつ頃のことですか?
HALLCA:いや、もうほんとに昔の、小学生とか中学生とかの話で。Especiaとして活動するようになってからは、父が山下達郎さんが好きだったので、そういう音楽にすごく興味を持ち始めました。今もそれは続いていますね。
――Twitterなどをチェックさせていただくと、コクトー・ツインズとかお聴きになっているようで…。ああいうのお好きですか?
HALLCA:何人かのファンの方が『Aperitif e.p』と絡めてプレイリストを作ってくださっていて、そこで聴いて気に入りました。なんだろう。あのなんか「音に包まれる」感じがいいんですよ。私、全身が音で包まれるような音楽が好きなんです。なんかそれをすごく感じました。
――シューゲイザーっぽいギターが鳴り、アンビエントな空間設計が成されて、夢想的な雰囲気もありますよね。
HALLCA:なんかこう「現実的じゃない感じの音」ですよね。それがすごく好きです。
――そうしたものってご自身の音楽に持ち込んでたりするんですか?
HALLCA:コロちゃんの曲に通じるものがあるなって思うことが結構ありますね。「Milky Way」とかも大音量で鳴らしたら、すごい夢の中にいるみたいな感じですし。「Diamond」とかも。
――確かにそうですよね。他には?
HALLCA:他? そうですねぇ。ファンの方に教えていただくことが多いかもしれません。自分のライヴでSEにしていた4heroとか、「私のやってる音楽に近い」って勧めていただいたマイダス・ハッチさんとか。身近な人を聴くことも多くて、kiki vivi lilyさんがすごい好きです。
――いいですよね。
HALLCA:ですよね。ジャンルは全然違いますが、仮谷せいらちゃんもすごく好きですね。仮谷せいらちゃんはもう友だちだし、歌詞から溢れる人間味とか人柄ごと好きですね。THREE1989というバンドもレトロな要素が入ったダンスミュージックで好きです。ジャンルはバラバラですけど、それぞれ好きになった理由が違ったりしますね。
――キャラクターも含めてお好きになることもあるんですね。
HALLCA:はい。キャラクターも含めて。
――そういうふうに人柄までお好きになるということは、ご自分が打ち出す際にもそういうことを意識します?
HALLCA:内面ですか?
――はい。内面というかキャラというか。
HALLCA:内面は出していきたいです…。迷いつつではありますけど、でも冒頭で言ったように「冨永悠香の要素を少し入れたい」っていうのはありますね。内面とか自分の考えとか。とはいえ、私の音楽は、日常思ってることを全て落とし込むようなものではないと思います。ちょっと夢の中にいるような感じの音楽をやってるので、日常で感じる辛さとかそういったものははっきりとは落とし込んでいないですけど、そういう部分も違う形っていうか…それはSNSとかでですけど出せていければなと思います。キャラクターも知って欲しいなって想いはあったりします。
――Especia第2章の時は、そういったことは結構抑制されていましたよね。
HALLCA:0でしたね。第1章の“はるかちょ”時代は、「おはるかちょ」って言って、朝の挨拶をSNSでやってたんです。それは素の私だったんですけど、東京に出て来て第2章をスタートさせてからはそれを全部封印されて、なんかもう分からなくなっちゃって、どの自分を出せば良いのかわかんなくなっちゃって…。多重人格ではないですけど、やっぱり人っていろんな面を持ってるじゃないですか。だからどれを知ってもらえばいいのかも分からないし、でもそれって、ソロになってからは自分で決めてやっていかなきゃいけないし…。そういうので迷ってた時に、ちょっと一時期黙ってる期間とかがあって、あんまり発信しなかった時期があったんですよ。でも「何も発信しない」っていうのも良くないし、かといって、発信したところで「これちょっと微妙じゃない?」とか「印象が悪くなっちゃうかな」とか色々思っちゃう自分がいて…。でも最近は「黙ってるよりやっぱり発信していった方がいいかな」ってすごく思います。うん。ちょっとずつ出していきたいなって。黙って曲だけ出してれば良いのかもしれないですけど、でも、それだとちょっと自分自身が疲れちゃうというか。
――では、第2章の時ってもどかしさがあったんですね。
HALLCA:パーソナルな部分を出せないことに関してはありましたね。
――:ありました?
HALLCA:まず「なんで勝手にアカウント消すの?」って思ったんですよ。「ちゃんとお知らせしようよ」って。「アカウントはオフィシャル一本にします」ってことをすごい言って欲しかったから、そこはもどかしい感じでましたね。なんかもう、いきなりファンの皆さんを突き放したみたいになってたので…。
――:僕は第2章から見始めたので、「すごいミステリアスでおもしろいな」っていうのは感じたんですが…。
HALLCA:ホントですか? そうやって思ってくれる人もいたんですね。
――なので、戦略としては少々荒っぽい部分もあったのかもしれないですけど、「おもしろいな」とは思っていました。でも、音楽的にはめちゃくちゃ充実していましたもんね。ご自身ではそれを感じてました?
HALLCA:もちろんアイドルっぽかった第1章も「Especiaホントめちゃくちゃかっこいいな」と思っていましたが、第2章になって「よりアダルトになった」「大人になっても歌えるような曲が増えたな」って思って、よりアーティストに近くなったのを感じてました。
――でも、第2章ではやはり葛藤があったんですね。でも、フリーになった今では、基本的には全てご自分で決められるわけですもんね。
HALLCA:例えば、学校生活を送る中で「自由がないのが嫌だ」って思う子が結構いるじゃないですか。でも私はあんまりそういうことは思わないっていうか。誰かについていくのがすごく好きなタイプなので、フリーになって「全部自由」っていうのは逆に苦しいと感じることもあります。
――今の制作環境は理想的ですか?
HALLCA:理想的なのかなぁ? どうなんですかね。なんか私、昔から現状に満たされないんですよ(笑)
――良いことじゃないですか。
HALLCA:だから常に「上へ上へ上へ」ってすごい目指してきたんです。もちろん上を目指す中には幸せな瞬間もたくさんあるんですが、でもそれが一番良いことなのか今はちょっと分からないんですよね。自分の中でもどんどん気持ちが変わってきました。フリーの状況でどうしても無理なことってあるので今に感謝して続けていくマインドに変わりつつありますかね。
曲はあるけど詞を書く人が私しかいないからもう書くみたいな…
――結構赤裸々に話されますね(笑)。
HALLCA:すみません(笑)。
――いえいえ、すごい良いことだと思いますし、ありがたいと思います。1周年を迎えてこれからさらに飛躍していこうという時なので、わりと良いことだけを「頑張ります!」「今充実してます!」って言っちゃえば良いとも思いますが…
HALLCA:それはね、やりたかったんですよ。まあ、Especia第2章の時もそういうスタンスだったんですが…。今はもう出来ない状況ではありますね。先日、実家に帰った時に高校時代からの親友と会ったんですけど、その子すごい私のこと深く知ってくれていて、私の良いところは「素直で純粋なところ」って言ってくれたんですよ。でも音楽のことになるとすごい性格悪くなっちゃうっていうか、愚痴とかもすごいこぼすし…。でも、音楽活動でも弱いところも含めて出しちゃおうって思うようになった、っていうか…。なんだろう。これまでは“あまり出したくない派”だったんですけど、今はもう“仮面被ってカッコつける”っていうのが出来なくなっちゃった。出すのもかなり勇気がいりますけどね。
――今の時代って、結局は真摯に素直に本当のこと言うのが一番強いと思うんですよ。
HALLCA:そうですかね…。
――はい、そう思います。それに、Especiaってすごい独特のものがあって、楽曲の良さももちろんですけど、やはりそれが特別だったのは、築き上げた幻想世界の向こうに、演ってる人たちのリアルな苦悩みたいなものが透けて見えているからこそだと思うんですよね。
HALLCA:なんか不器用な感じがね。
――はい。
HALLCA:カッコつけてるけど不器用な部分もありましたね。
――はい。それが良かったと思います。で、今のHALLCAさんにも、端々にそういったものが出ているように思います。
HALLCA:ほんとですか?(笑)
――はい。で、歌詞を書かれるようになったじゃないですか。Especia時代にも2曲ほど詞を書いていますが、HALLCAとなってからは全曲作詞をされています。ソロになってやはり歌詞は自分で書こうと思っていたんですか?
HALLCA:いや、歌詞は…。めちゃめちゃ書きたかったわけではなくて、書かなければいけないって勝手になんか思ってて。再始動した頃に。なんていうか、曲はあるけど詞を書く人が私しかいないからもう書くみたいな…。頑張って書いてます。
――えー!? 必要に迫られてって感じだったんですか?
HALLCA:上手く書けた時は「書いて良かったな」って思いますけど、やっぱり苦しいじゃないですか。言葉も出てこないし。でも、PellyColoさんとか周りの方に「自分の気持ちは自分で書いたほうがいい」って言われたんですよね。なので、後押しされて、です。
――ちょっと意外でした。
HALLCA:ホントですか?
――「ソロ活動をする時は歌詞は全部ご自身で書くんだろうな」って思ってました。おそらくは多くの人がそう思っていたんじゃないでしょうか。
HALLCA:なんで? なんでみんなそう思うんだろう? めっちゃ不思議です。
――それこそEspeciaの「John's Rod」は、既に詞があったのをHALLCAさんが「自分が書きたい」って書き直したじゃないですか。
HALLCA:そっか、それがあったからか。あれは確かに「自分で書きたい」って思ったというか、自分の気持ちが動いた瞬間に書いた歌詞でしたね。で、「こっちがいいです」って差し出しました。
――あぁ。ある意味「歌詞を書きたい」「作詞家になりたい」っていうより、「現状とか自分の想いとかと違うから正したい」っていう感じだったんでしょうか?
HALLCA:そうですね。
――じゃあ、自分が書くことにはこだわってないってことですね?
HALLCA:逆にそれがこだわりというか。自分で「この人に書いて欲しい」っていうこだわりがあります。でも、先ずは今自分で書いていこうかなと思って書いてますね。
――なるほど。で、書いてみていかがですか?
HALLCA:書いてみて難しいなって思ったりしますし、もっとこう書きたいっていう理想もあるんですが、なかなかそうはいかなかったりとか。もっと気持ちが溢れる感じだったりとか、ロマンティックな感じだったりとかそういう歌詞を書きたいんですけど、難しくて…。本とか読まなきゃいけないなって毎回思ったりするんですけどね。まだまだだなと思いますが、やはり始めてみないと良くはならないし、できないなりにも少しずつやっていきたいなと。年数重ねたらもっと良くなるかなっていう希望はあったりします。
HALLCA ライブ情報
HALLCA 1st One-man Live "Aperitif at my VILLA"
場所:東京・渋谷Chelsea Hotel(https://goo.gl/maps/btqsGeK118iEWJk69)
チケット:前売4,000円、当日4,500円(1Drink別)
プレイガイド:Live Pocket(https://t.livepocket.jp/e/hallca_villa)
HALLCA 商品情報
HALLCA 1st ALBUM『VILLA』
発売日:2019年9月25日
品番:MGLB-0001
定価 : ¥2,778(税抜)
メジャーでの活動含め2017年の解散まで5年間の活動を展開したEspeciaのメイン・ヴォーカル、HALLCA。
デジタル・シングルの連続リリースに続き、グループ時代共に歩んだPellycolo、Rillsoulらアレンジャーのバックアップによる待望のファースト・アルバムがリリース決定 !
<収録曲>
01 Diamond
02 Show the Night
03 burning in blue
04 WANNA DANCE!
05 コンプレックス・シティー
06 Utopia
07 Dreamer
08 Milky Way
09 モイスチャーミルク
10 guilty pleasure(Blackstone village remix)
11 Diamond(Yohji Igarashi remix)
『Aperitif e.p』好評発売中
価格:WVRG-1001
定価 : ¥926 (税抜)
<収録曲>
01 Diamond
02 Dreamer
03 guilty pleasure
04 Milky Way