Speak emo

2020.07.22
ごいちー

ごいちー|「今若い女の子が歌う渋谷系ってめちゃくちゃいいな」って思ったんですよね

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ほんとに好きじゃないとあまり言うべきじゃないなって思っていたんですよね

 

ーーでは、1曲ずつお訊きします。まずは「le Sagittaire」。これなんてまさに渋谷系という感じですよね。

 

ごいちー:この曲に関しては、最初にクマロボさんに「渋谷系お願いします」ってオーダーしたんです。「クマロボさんの2曲は渋谷系で」って。ご本人も「僕、渋谷系作ったことなくて…うーん」って風におっしゃってたんですが、でも、ほんとに素敵な2曲を作ってくださいました。

 

ーー特に「le Sagittaire」はまさに“渋谷系モータウン”といった感じです。ごいちーさんも渋谷系を研究されて掘られていたとおっしゃいましたが、そもそもごいちーさんにとって“渋谷系”ってどんなイメージで捉えていますか?

 

ごいちー:渋谷系の中でもいろんな音楽の感じがあると思うんですが、私は“休日感がある”というか、“日曜日のお昼ぐらいに心地良く聴ける音楽”みたいな感じで捉えています。小沢健二さんもピチカート・ファイヴも時代によって違いますが、好きな曲はほんと“日曜の昼下がり”みたいな。

 

ーーなるほど、そういうイメージがあったと。

 

ごいちー:そうですね。渋谷系の中でもそういう感じの曲が好きで、それにばっちり合った感じの曲をクマロボさんが書いてくださったので、「その渋谷系です!」ってなりました。解釈によって結構違ってくると思うので。

 

ーーいわゆる“ジャンル”って感じではないですもんね。

 

ごいちー:ぼやっとしてますよね。でも、これはほんとに「それです!」ってなった曲です。

 

ーー世代によってまた捉え方も違うと思うんですが、ビートはいわゆる“モータウンビート”なんですよね。僕の印象では、そうしたビートを取り入れた、90年代のコスメのCMソングみたいな印象です。

 

ごいちー:あぁ、それっぽい。確かに。

 

ーーこの曲を渋谷系と捉える人も多いと思うんです。まぁ、そもそもそういうオーダーをされているわけですから。で、今渋谷系をやるというのは、ある種の危険も伴う気がするんですよ。どうですか、そのあたり?

 

ごいちー:もともとは、若い女の子が「渋谷系好きなんです」みたいなことを声高に言うのって結構イタいと思っていて、ほんとに好きじゃないとあまり言うべきじゃないなって思っていたんですよね。でも、私はずっと「ソロでやるなら渋谷系やりたい」と思っていて、それと同時に仮谷せいらさんの曲がすごい好きなのもあって、エレクトロっぽいものもやりたいというのをずっと言ってたんですよ。で、ソロ活動が始まるとなった直前に、原宿眠眠ちゃんていう子ががわかりやすい渋谷系の曲をやっているのを聴いて…。「この音はあの曲で、この音あの曲だな」ぐらいほんとに分かりやすく引用しながら、渋谷系の曲をすごい可愛く歌っているんですよ。その時「今若い女の子が歌う渋谷系ってめちゃくちゃいいな」って思ったんですよね。「今私たちがやるからいいんだ」って。渋谷系といってもピンとこない人もかなりいるはずなので、「これだ!」「絶対やりたい」となって、それが色濃く反映されたのが最初のソロシングル「上の空モード」ですし、クマロボさんの2曲「le Sagittaire」「シャララ」です。「渋谷系でお願いします」ってオーダーした曲たちの歌詞は結構可愛らしいものが多くて、自分の私生活というか自分のキャラとは違う、自分から出てこない言葉だなというか、「自分で考えて書いたら絶対そうならないだろうな」みたいな言葉が多くて。でも、違和感はなくて、それに合わせてちゃんと演じることはできたと思います。

 

ーー表現者として“演じた”わけですね。

 

ごいちー:そういう感じでやってます。

 

ーー「le Sagittaire」って「射手座」ですが、ごいちーさんの星座ですよね?

 

ごいちー:そうです。

 

ーー星占いとか信じますか?

 

ごいちー:ちょっと信じます。良いことが書いてあったら信じますね。悪いことは無視します。

 

ーーで、自分の星座を軽く調べてみたら結構当たっててびっくりしたんですが、ごいちーさんの射手座も調べてみました。「細かいことには拘らない」「大らかで楽観的」「好奇心旺盛」「目標に向かって一気に突き進む」といったことが書いてありましたが、当たってますか?

 

ごいちー:結構当たってますね。

 

ーー面白かったのが、「柔軟性と対応力がある」「集団にも馴染み、1人でも行動ができる」。まさに今のごいちーさんじゃないですか!

 

ごいちー:そうできてるといいですね。不安ですけど(笑)。

 

ーーで、「本音と建て前を使い分けず、矛盾した顔を持っていて掴みどころがない」。これは当たってますか?

 

ごいちー:どうですかね…。本音と建て前の使い分けが下手かもしれないですね。本音しかないみたいな感じです。フフフ。

 

ーーそんな風にごいちーさんの性格を掴んだ上で続けますが(笑)、SAWAさん作詞作曲の「限界リズム」。これがまたすごいですよね。ちょっとエレクトロな感じで電波ソングっぽい雰囲気もあって、でもコードはすごく洗練されたオシャレな感じになってて…。これはどんなオーダーをしたんですか?

 

ごいちー:「限界リズム」と「正しい関係性」は、特に「こういう曲にしてください」ってオーダーはしてなくて、SAWAさんが思うごいちーへの曲を自由に書いていただいた感じです。初めて書いていただいた「上の空モード」よりも、SAWAさん節といいますか、SAWAさんっぽい要素がかなり多くて、私も「エレクトロもやりたいな」と思っていたので、これも大好きです。全曲大好きなんですけど(笑)。

 

ーーそうですよね。まぁ、SAWAさん節が一番出ているのは「Shining Wonderland」かなと思いましたが…。

 

ごいちー:「Shining Wonderland」はほんとにSAWAさん節ですね。

 

ーーですよね。で、「限界リズム」の歌詞なんですが、これがなかなか解釈が難しいですね。歌詞についてSAWAさんと話したりしたんですか?

 

ごいちー:歌詞を決めるために話したりとかは特になかったんですが、毎回レコーディングの後にお茶をしたりランチしたりして…。そんな時に話したことも憶えててくださって、歌詞に入れていただいたのかな、と感じることがあります。

 

ーー普段の会話から色々とピックアップしてそれを歌詞に入れ込んでる、と。

 

ごいちー:というのを感じます。実際に確認はしていないですけど。歌詞の意味とかはあまり深く訊いたりはしてないんですが、勝手にそう思ったりしてます。

 

ーー「限界リズム」は、抽象的なイメージを積み重ねいっている印象で、色んな解釈ができそうと言いますか、むしろなかなかビシッと解釈しにくいなという感じです。ごいちーさんはどういう歌詞だと捉えていますか?

 

ごいちー:歌ってる時にいつも思うのは、すごい「今の私だな」というか…。活動を始めて思うことというか、1人でスタートしたばかりの自分の気持ちに重なる部分が多いように感じます。

 

ーー例えば「抱き合いながら転げる」っていうと、もしかしたら“男女の関係”についてなのかなというのを感じながらも、でもそれは“仲間”に対しても当てはまるかなと思ったり…。「遥かかなた 最後の夏の入口」という一節も「最後の夏」っていうとどういうことなのかな?と思ったり。この後、別れが訪れるのかなとか。

 

ごいちー:そういうことですかねぇ。フフフ。

 

ーーその後の「まっさらだった重なった世界 燃え上がる狂気が淡いスカートに溶けた 期待に応えたくて剥がれ落ちたり 揺れ動いた赤い花を咲かすの」という部分は、それこそ「どういうことなのかな?」と思ったり。男女の関係とかなんですかね?

 

ごいちー:私はあまりそんな感じでは捉えてなくて、今言われて「確かにそうかも」って感じたんですが…。「抱き合いながら転げる」とかも自分自身のことと捉えてました。「山あり谷あり」の部分とか、自分の活動について歌ってるという気持ちでしたね。「赤い花を咲かすの」とか、成功することを「花開く」とか言うじゃないですか。そういうイメージですね。曲調からしても、歌ってるとそういう気持ちになるというか…。「運命をキャッチ」とか「叶わない」とか、夢に向かって葛藤しつつも頑張ってて、みたいな感じで歌ってました。

 

ーーなるほど。例えば「期待に応えたくて」って、「男女の関係で相手の男の人の期待に」と捉えたらそんな世界観になっちゃいますが、「オーディエンスの期待に」だったり、あるいは「自分自身への期待に」と考えると、「表現者としてのスタンス」といったところを示唆しているのかもしれないですよね。

 

ごいちー:そういう感じで歌ってました。でも男女の関係としても確かに読めますね。

 

ーーそういう意味では、SAWAさんもきっと解釈を限定しないように書いてらっしゃると思いますが、例えば「まっさかさまな限界なリズム 未熟なだけなら許してもらえたけど 飽きもせず考えたり飛び散ってみたり できる限り細かく伝えるから」という部分は、まさに表現者としてのスタンスという感じがしますね。

 

ごいちー:もう7年もやってると未熟を言い訳にできないので、とか思いながら歌ってます。SAWAさんにも結構「活動歴だけ長くて悩む」みたいな話をしていたので(笑)。

 

 

取材・文
石川真男

ごいちー イベント情報

7/24(金祝)「Shinig Wonderland RELEASE PARTY」

会場 GOLDEN PIGS RED STAGE
OPEN/START 17:00/18:00
料金 ¥3,000(別途ドリンク¥500)
※地域限定販売 限定50人 
出演 ごいちー/cana÷biss/オモテカホ/雷都少女

ごいちー 商品情報

 

ジャケット写真

ミニアルバム『Shining Wonderland』
レーベル:doles U(ディスクユニオン)
発売日:2020/7/22
品番:DOLU30
価格:税抜2,273円(税込2,500円)

≪収録曲≫
1.le Sagittaire (作詞 つのだゆみこ・作曲 クマロボ・編曲 クマロボ) 
2.限界リズム (作詞作曲編曲 SAWA) 
3.正しい関係性 (作詞作曲編曲 SAWA) 
4.Shining Wonderland (作詞作曲編曲 SAWA) 
5.あなたにあげる (作詞作曲編曲 笹川真生) 
6.シャララ (作詞 つのだゆみこ・作曲 クマロボ・編曲 クマロボ) 
7.上の空モード (作詞作曲編曲 SAWA) 

PROFILE

PROFILE
ごいちー

アイドルグループcana÷bissのDJ担当として活動する傍らソロDJの他モデルなど多岐に渡り活動中。

2019年12月にシングル「上の空モード/あなたにあげる」を発売。

2020年7月22日、待望のミニアルバム『Shining Wonderland』リリース。