Speak emo
もちろん私たちを見て好きになってくださるのも嬉しいんですけど、音楽から好きになって欲しいっていう思いもありますね
極めて”音楽的”なインタビューだった。メンバー6人とも嬉々として”音楽”について語っていた。その内容も、決して彼女たち自身が作曲や演奏に携わるわけではないのだが、様々な形で音楽を”作り”、”奏で”ていることを印象づけるものだった。
大阪☆春夏秋冬のライブを初めて観たのは2016年5月のことだった。噂には聞いていたのだが、やはりMAINAの圧倒的なヴォーカルパフォーマンスに衝撃を受けた。だが、その後ライブを観るたびにその印象は変わっていった。MAINAのヴォーカルの衝撃は決して減じることはなかったが、他のメンバーもそれぞれ魅力的な個性やキャラクターが備わっており、それらが“衝撃”にさらなる厚みを加えていることが分かったのだ。“セカンド・ヴォーカル”としてMAINAの歌声にハーモニーを重ね、味わい深い陰影を施すMANA。“職人技”とでも称したいMC力と、容赦ない煽りでライブでの空気感を作り上げるEON。メガネというフックで耳目を奪い、愛らしさと妖艶さのギャップで心を奪うANNA。その長い四肢を存分に駆使してダイナミックなパフォーマンスを繰り広げるYUNA。そして、最年少ながらもそのクールで“大人っぽい”佇まいでオーディエンスをじわじわと魅了していくRUNA。MAINAのヴォーカルが最大の武器であることは間違いないが、それが生きてくるのも、ANNA、MANA、EON、YUNA、RUNAの個性と、6人の揺るぎないチームワークがあってこそ。そういう意味でも、大阪☆春夏秋冬は類稀なる“タレント集団”なのだ。驚いたのが、先日自身の生誕祭で披露したYUNAのソロ・パフォーマンスだ。どちらかといえばダンスで貢献しているイメージのあったYUNAだが、エレピで弾き語りをしながら、情感豊かな歌声を響かせる様は、さならがシンガーソングライター。しかも生誕祭という晴れの舞台の1曲目に、吉澤嘉代子の「地獄タクシー」を歌う、というセンスはなかなかのものだ。他にもこうした武器を隠し持つメンバーがいるに違いない。
そんな彼女たちが7年目にして初めてのアルバム『SSFW』を完成させた。レッド・ホット・チリ・ペッパーズやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを彷彿とさせるようなミクスチャーロックから、弾けるような躍動ファンク、関西弁で歌われるいなたいレゲエ、間口の広いポップ・ロック、心に染み入る叙情派バラードまで、いずれも”しゅかしゅん”らしいエネルギーに満ち溢れながらも、その表情は曲によって多種多様。実に聴き応えのあるアルバムだ。
驚くべきは、インタビュー中の発言にもあるとおり、メンバー自身が様々な形でアルバム制作に参画していることだ。タイトルや選曲に積極的に関わったり、「スネアの音を変える」「小節を伸ばす」といった提言をしたり、「一発録り」に挑んだり、と、“与えられた曲を歌う”のではなく、クリエイティヴな側面で積極的に貢献しようとしている様が伺える。そしてライブでは、さらにその創造性が遺憾なく発揮される。あたかもジャズ・プレイヤーさながらに、即興性や臨場感を纏いながら、その時その時しか表現できない“生モノ”としてライヴをオーディエンスへ提示するのだ。実に音楽的である。
そんな大阪☆春夏秋冬の6人に、グループについて、アルバムについて、ライブについてなど伺った。
大阪☆春夏秋冬って、シンデレラストーリーじゃないんですよ(ANNA)
――ひと言で、大阪☆春夏秋冬ってどういうグループですか?
EON:大阪☆春夏秋冬は全員大阪出身で、「カタヤブリ」をテーマにロック、R&B、ヒップホップ、バラードなど様々なジャンルの曲を歌とダンスでお届けしている、平均年齢19歳のダンス&ヴォーカル・グループです。
――定型文をありがとうございます(笑)。他に何か付け加えることはないですか?
MAINA:出身地が近くて、幼なじみがいるというのも珍しいかなと思いますね。
――あぁ、今やオーディションとかで全国から集まりますからね。
ANNA:ダンススクール母体としたグループなんですよ。ダンスをきっかけにみんな出会って、グループを組む前から友達だったんですよ。
――あぁ、グループ結成前から知っていたわけですね。グループが6周年ですから、それ以上の付き合い、というわけですよね?
ANNA:はい。6年よりもっと長いです。
――何年ぐらいですか?10年とか?
ANNA:それぞれなんですけど、同じダンスのレッスンを受けていたりとか…。一番長いのは私とMAINAで、4歳の時からですね。
――じゃあ、もう10何年みたいな。
ANNA:はい。人生の5分の4ぐらい一緒に過ごしていますね。
――5分の4!すごいですね。
MANA:あと、”絶対的ボーカル”MAINAを中心にしたワントップ制、というのもありますね。また、先程ANNAが言ったように、ダンススクールが母体っていうこともあって、ダンスと歌にこだわりをもっているグループです。
ANNA:こうした女の子ばかりのグループでワントップっていうスタイルはどこ探してもないんかなって思います。そういうところも「カタヤブリ」かなって。
MAINA:だからと言って、「MAINA以外の子たちは踊るだけなの?」ではなくて、コーラスとか煽りとか、それに主旋律もみんな歌っていたりするので、その辺も珍しいグループだと思いますね。届けている音楽もロックが軸の独特のサウンドなので、なかなかいないグループだと思います。
――MANAさんはセカンドボーカルですもんね。
MANA:あ!ありがとうございます!知ってくださっていて、うれしいです。
――僕がすごいいいなと思っていたのが、よくTwitterのハッシュタグで、「#音楽の素晴らしさをアイドルから」「#音楽の素晴らしさをしゅかしゅんから」って付けられているじゃないですか。あれ、すごく共感するんですよ。
一同:え~!ありがとうございます!
――今や“アイドル”ってホントに自由に表現できるじゃないですか。ある意味”解放区”のような。そんな中から“音楽の素晴らしさ”を伝えるって、極めて有効な手段じゃないかな、と思っているんですよ。皆さんなんて、そういう意味でもまさにピッタリの存在です。
一同:おぉ!ありがとうございます!
――やはりそういう意識はありますか?
MAINA:もちろんあります!めちゃめちゃあります! なんていうか、もちろん私たちを見て好きになってくださるのも嬉しいんですけど、音楽から好きになって欲しいっていう思いもありますね。今回リリースするアルバムをきっかけに好きになってもらえたら嬉しいです。
EON:確かに。
MAINA:「(メンバーの)誰々が好き」っていうのももちろんすごいありがたいんですけど、春夏秋冬の届ける音楽、その楽曲を通して、私たちから伝わるライブでのボルテージっていうものを「好き」って言ってくださるのもすごいうれしいなって思います。
MANA:以前は「アイドルって、可愛いっていうのが定番」と思ってたんですけど…。私たちが今こうして、いろんなジャンルの曲をお届けさせていただく中で、ライブを観てくださったり、音楽を聴いてくださった皆さんが、「可愛い」ももちろん嬉しいんですけど、それだけじゃなくて、曲を聴いて、ライブを観て「元気になれたな、背中押されたな」って思っていただけるような存在になりたいなって思います。
――なるほど。あと「浪花のロックンガール」っていうキャッチフレーズもあります。めっちゃ強いワードですよね!
ANNA:覚えてもらいやすいですよね。
MAINA:「ロックンガール」は、「ロックンロール」と「ガール」のミックスなんですよ。
EON:普通「ガールズ」になるじゃないですか。でも、そこを「ガール」にしているのは、「一人一人でもそのキャッチコピーを表現できるようになれるように」っていう意味が込められてるんです。
MAINA:あと、「浪花」なんですけど、「花」が入っているじゃないですか。「花」というワードは大阪☆春夏秋冬の象徴なんですよ。もともと大阪☆春夏秋冬って「四季折々に咲く花の素晴らしさを全国に届けていく」っていうのがテーマだったんです。その由来もどこかに残したいっていう願いもあるんです。
――浪花もいろんな書き方あるじゃないですか。
ANNA:「浪花」で大阪感も出してますし、「花」は日本人らしい情緒や気品みたいなものも表現できているんじゃないかな、って思いますね。
――浪花節の浪花ですよね。
一同:はい、そうです。
――で、そんな風に「ロックンガール」と名付けられたわけですが、「ロック」って、年代や人それぞれで捉え方も違ってくるんじゃないかと思いますが、みなさんの捉える「ロック」ってどんなものですか?
MAINA:それこそ「生きざま」だと思います。自分たち自身もそんな簡単にはメジャーデビューさせていただいたわけではないんですよね。コンテストで何回も何回も落ちて、いろんな悔しい思いをしてきて、でも、それを糧にして這い上がってきて、そうした思いを音楽を通して届けている…。それが、さらに多くの人に、例えば夢を追いかける人とかに、ロックという表現に乗せて届けられるんじゃないか、って思います。「落ちて、落ちて、落ちまくっていた私たちでも、エイベックスからメジャーデビューすることができたんだよ」って。
――え?コンテスト落ちまくったんですか?
MAINA:はい。
――個人でですか? それともグループで?
EON:個人でもグループでもですね。
MANA:毎回いいとこまでは行くんですけど、最終的には一歩足りない、って。決勝まではいくけど、っていうのが多くて。
ANNA:大阪☆春夏秋冬って、シンデレラストーリーじゃないんですよ。デビューして、曲出して、バンっと売れて、一気にてっぺんになりました、っていうシンデレラストーリーじゃないからこそ、6人の大阪☆春夏秋冬らしさというか、いい味を出せるんじゃないかなと思っているので。7年目にしてようやくファーストフルアルバム、という所にもすごく意味があるのかなって。自分たちでも思いますね。
――なるほどね。アルバムの中にも、いろんなメッセージが、かなり強いメッセージが込められていると思うんですけど、皆さんがそういう体験をされていると、そういった言葉にも説得力が出てきますよね。上っ面なものじゃなくて…。
一同:そうですね。
大阪☆春夏秋冬 商品情報
[CD only] SSFW(エスエスエフダブリュー)
発売日:2018年6月12日
AAVC1-93902 ¥3,000(税込)
【CD収録内容】
01 SSFW/02 Evolution/03 Travelin’ Travelin’/04 世界には僕らだけ/05 シーズンズ/06 ローリングストーン/07 SPARK!/08 See you again/09 手紙/10 ROCK SHOW/11 PLAYER
[CD+DVD] SSFW(エスエスエフダブリュー)
発売日:2018年6月12日
AVC1-93900/B ¥4,000(税込)
【CD収録内容】
01 SSFW/02 Evolution/03 Travelin’ Travelin’/04 世界には僕らだけ/05 シーズンズ/06 ローリングストーン/07 SPARK!/08 See you again/09 手紙/10 ROCK SHOW/11 PLAYER
【DVD収録内容】
2018.01.13「東京進行大作戦~進撃のしゅかしゅん Vol.1~」@新宿BLAZE
■ LIVE VIDEO (①SPARK!/②C’mon!/③Let you fly/④Stay/⑤Travelin’ Travelin’)
■ LIVE 密着FILM(メンバーインタビュー&OFF SHOT MOVIE)
[CD+Blu-ray] SSFW(エスエスエフダブリュー)
発売日:2018年6月12日
AVC1-93901/B ¥5,000(税込)
【CD収録内容】
01 SSFW/02 Evolution/03 Travelin’ Travelin’/04 世界には僕らだけ/05 シーズンズ/06 ローリングストーン/07 SPARK!/08 See you again/09 手紙/10 ROCK SHOW/11 PLAYER
【Blu-ray収録内容】
■ Travelin’ Travelin(’ MUSIC VIDEO) ■ SPARK(! MUSIC VIDEO)■ 世界には僕らだけ(MUSIC VIDEO) ■ 世界には僕らだけ(OFF SHOT MOVIE)■ 1st FULL ALBUM「SSFW」メンバーインタビュー