FEATURE

2023.11.02
上間江望/月照ラス

「上間江望10周年記念×月照ラス 2man LIVE『雨音と月光』」公演レポート

 声優・上間江望が活動をスタートさせてから、今年で10年を迎えた。その間に、ソロ活動と平行し、em名義のもと、月照ラスというバンドとしての活動もスタート。先日、1stフルアルバムの『コエ』も発売した。10月8日(日)、青山 月見ル君想フを舞台に「上間江望10周年記念×月照ラス 2man LIVE『雨音と月光』」公演が、大きな月を背景に行われた。


 先陣を切ったのが、月照ラス。ライブは、『Moonshot』からスタート。「月が照らす夜に」と巨大な月を背景に歌う様が、とても印象深く瞼に焼きついた。大きな月を背負った今宵の月照ラスの姿が、とても凛々しい。em自身も力強くギターを掻き鳴らし、夜空へ向かって沸き立つ思いを浪々と歌いあげてゆく。この空間へスリリングな音の風を吹かせるように、emが『Daydream』を力強く歌いだす。ザクザクとしたギターの音や舞台を覆うソリッドな演奏が心地よい緊張感を与えだす。張りつめた歌声や演奏が、むしろ気持ちを熱く掻き立てる。その刺激を受けてフロアのあちこちから声が上がれば、熱いクラップも飛び交っていた。

  「今夜はすごく綺麗な満月だ。心が満たされてゆくような。でも、どこか見放されているような。月はいつも僕らのことを照らしてくれる。叱るわけでもなく、救ってくれるわけでもない。今夜のこの満月は、僕らの目にどんな風に映っていますか…」

  emの言葉を受けて奏でたのが、『少年と月』。彼女は温もりを抱いた演奏へ寄り添い、優しく歌声を紡ぎだす。emの語るようなひと言ひと言が、物語に登場する少年の心を代弁するように言葉を刻みだす。彼女自身が、物語の世界へ気持ちを重ねあわせていた。だから、声を張り上げ、揺れ動く感情のままに歌いあげる様が印象深く目に映っていた。演奏は止まることなく『Paranoid』へ。emは、一つ一つの楽曲に描き出した物語の主人公へと心の色を染め上げて歌う。彼女の気持ちを増幅するように、演奏陣も音の色を巧みに塗り重ねてゆく。emのギターの音色を合図に、『透明』へ。彼女は、言葉をとても大切に思いを届けていた。ブルーズでロックンロールな演奏に乗せ、大きく右手を左右に振りながら、上間江望はこの場にいる人たちと気持ちを一つに溶け合うことを楽しんでいた。

  次に披露したのが、月照ラスの第二章の幕開けを飾る歌として制作した『フラストレーション』だ。激しい音を撒き散らしながら疾走する楽曲の上で、emはスタンドに設置したマイクを両手でギュッと握り、沸き立つ感情をぶつけるように歌っていた。強い衝動とパワーを持った歌声や演奏をさらに脹らませるように、月照ラスは『My Criteria』を歌い奏でだす。激しさを持ちながらも、とてもメロディアスな。言葉が活き活きとした表情を持って踊る楽曲だ。フロア中の人たちが大きく身体を揺さぶり、高く腕を突き上げ騒ぎ続ける。「壊してくれ」の歌詞の一節ではないが、ここにいる一人一人の理性を壊し、emは熱狂という世界へみんなを連れてゆく。

 月照ラスが最後に届けたのが、とてもエモーショナルな『サヨナラと言えない僕に』。em自身が心の荷物を軽くするように、胸の中に抱いていた思いを力強い声に乗せて吐き出していた。フロアからは、終始野太い声と拳がemへ向けて突き上がる。大きな月の照らす世界の中、emと一緒に笑顔に染まり続けていたい。淡い光を浴びながら、みずからの心を解き放つようにみんなが月の下での宴を楽しんでいた。


 次は、上間江望のブロックへ。彼女は、雄大な景観を描きだすスケール大きなロックナンバーの『0%』を歌いだした。凛々しい表情と声を武器にパフォーマンスをする今宵の上間江望の姿は、巨大な月を背負って歌うことで、煌めきを放つロックシンガーのようにも見えていた。観客たちと一緒に歌声を交わす様など、そこには活き活きとした表情の上間江望の姿があった。止まることなく演奏は、共に「Oh!Oh!Oh!」と声を交わす『ALIVE』へ。彼女がクラップをすれば、フロア中の人たちも一緒にクラップをしながら思いを交わしあう。『星屑プラネタリウム』でも彼女は、軽やかにスキップする楽曲に乗せ、無邪気な笑顔を浮かべ、歌を通してみずからの感情を開放してゆくことを楽しんでいた。『かざぐるま』では、観客たちが最初から手にしたタオルを高く突き上げ騒ぎだす。上間江望も「くるくる回れ恋心」と歌いながら、みずからも手にしたタオルを風車の羽根のようにくるくると回し、この空間に一体化した熱い景色を作りあげていた。

  MCでは、10月1日で声優活動10年を迎えたことを改めて報告。さらに「原点に戻りたいなということで」と語りながら、初めてゲームのヒロインのメンバーの一人に選んでいただき、ゲームの主題歌にもなった大切な想い出の曲を歌いたいと伝えてきた。

  その言葉を受けて届けたのが、当時、Tifan名義で歌った『バレットガールズ』のオープニングテーマ『Faith』。曲が流れ始めたとたん、これまで以上に大きな声でエールを送る人たちが続出。この頃に上間江望に出会い、共に時を歩んできた人たちも多いからだろう。楽曲へ記した気持ちへ寄り添うように歌う彼女へ向け、大勢の人たちが理性のストッパーを外し、力強く声を張り上げていた。止まることなく、歌始まりの『Eternal Glow』へ。この曲でも上間江望は、物語の世界へ身を投じつつも、未来をポジティブに見据えた楽曲へ自身の生きざまや仲間たちへの思いを重ね合わせていた。

 次に歌ったのが、10周年のために書いた新曲の『ネオ・グラビテーション』。最初から感情のアクセルをベタ踏みしながら、力強く駆けだす楽曲だ。これからも変わることなく攻め続ける強い意志を示すように、彼女は『ネオ・グラビテーション』へ今の気持ちをすべて詰め込み、高らかに歌いあげていた。
  最後に歌ったのが、『Beautiful World』。凛々しい表情で「遙かなる理想掲げ歌え 手と手結んで歌え」と『Beautiful World』を歌うたびに、フロア中から「Oh!Oh!Oh!」や「Oi!Oi!」と大きな声が突き上がる。誰もが上間江望の歌う言葉に共鳴、揺るがなき勇気を胸に抱き「Oh!Oh!Oh!」や「Oi!Oi!」と叫び声を上げ、心揺さぶる歌が降り注ぐ空間にいることへ喜びを覚えていた。上間江望の語りかける「歌え」の誘いに合わせ、ずっとずっと声を張り上げていた。


 アンコールは、『キャッチライト』からスタート。上間江望には、気持ちに輝きを降り注ぐポジティブな歌がとても似合う。笑みを浮かべながら歌う姿に触れていると、こちらまで自然と笑顔になれる。その眩しい笑顔と歌声で、これからもいろんな人たちの心をギュッとつかんでほしい。
 「これから先も一緒に歩いていきましょう」の言葉をきっかけに、上間江望は最後に『あるこう』を歌唱。彼女自身が、この曲を、前へと一歩を踏み出す力に変えながら歩き続けてきた。その姿勢はこれからも変わらない。歌詞の一節ではないが、歩んできた足跡が確かな痕跡を残し続ける限り、その経験を糧に、これからも上間江望は『あるこう』を背中を押す力に変えながら、一歩一歩歩み続けてゆくに違いない。

TEXT:長澤智典


LIVE

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セットリスト

月照ラス  
『Moonshot』
『Daydream』
『少年と月』
『Paranoid』
『透明』
『フラストレーション』
『My Criteria』
『サヨナラと言えない僕に』

上間江望
『0%』
『ALIVE』
『星屑プラネタリウム』
『かざぐるま』
『Faith』
『Eternal Glow』
『ネオ・グラビテーション』
『Beautiful World』
-ENCORE-
『キャッチライト』
『あるこう』

 

<インフォメーション>

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月照ラス 1stアルバム「コエ」好評発売中 
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上間江望10周年記念アルバム「アメとコトダマ」好評発売中  
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Mashup records主催LIVE
Mashup LIVE -異彩-Vol.11 streaming by GALPO LIVE SHOW

日程 2023年11月30日(木)
会場 下北沢ReG
前売り 3000円 当日 3500円
開場17:45 開演18:00
配信 ニコニコチャンネル「GALPO LIVE SHOW」月額会員様
出演 立夏/太田家/囁揺的音楽集団AsMR/月照ラス/Mellows
チケット発売 10/18 18:00~ チケット販売開始
https://r.funity.jp/mashuplive_vol11


SNS

上間江望
https://uema-emi.com/
https://twitter.com/uemaemi
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月照ラス
https://tsuki-terasu.jp/
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マッシュアップレコーズ
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