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2023.08.15
春乃友夢(アンダービースティー)

大胆に、恐れずにという姿勢を持って挑むその姿が、この日のライブから見えていた。春乃友夢 「4th one-man LIVE~Be fearless」公演レポート

 夏になると,春乃友夢のワンマンライブを見たくなる。今年も、春乃友夢(アンダービースティー)が、ソロとてして公演を催した。8月14日(月)、渋谷ストリームホールを舞台に行った、生バンドを従えた春乃友夢のソロワンマン公演「4th one-man LIVE~Be fearless」。「Be fearless=大胆に、恐れずに」という言葉に相応しかったライブの模様を、ここにお届けしたい。


 ザクザクとした野太いギターの音が飛び交う演奏に乗せ、春乃友夢が舞台へ登場。ライブは、新曲の『蜃気楼』からスタート。これまで以上に激しい、攻めに徹した楽曲だ。彼女は最初からハイトーンの声を高らかに響かせ、観客たちを挑発する。野獣のような雄々しい魂を胸の奥に秘めた春乃友夢らしい、観客たちの感情を現実から解き放つ楽曲だ。フロアにいる人たちの中には、初見にも関わらず、声を上げるタイミングをつかんでは叫ぶ人たちも現れていた。力強くマイクを握り、春乃友夢はフロアにいる人たちをけしかける、その様がとても凛々しくて格好いい。
 激しさを倍加するように春乃友夢が突きつけたのが、アンダービースティーの『Past Perfume』。ファンたちも身体に馴染んだ楽曲の登場という理由もあり、吐き出したい感情を野太い声と拳に込め、「Oi!Oi!」と叫び続ける。生バンドの演奏で体感する『Past Perfume』の迫力が本当に凄まじい。冷静でいようなんて不可能だ。彼女と一緒に声を張り上げ、互いに剥きだした気持ちをぶつけあわずに、高ぶるこの感情を抑えられない。
 身体を大きく揺らし、観客たちを挑発する春乃友夢。『DIVISION』でも、バンド演奏によって荒々しさの増した音を背に、彼女は凛々しいロックシンガーと化し、観客たちを挑発。フロア中の人たちも荒ぶる楽曲の連打に興奮し、腹の底から声を張り上げ、高ぶる気持ちを春乃友夢に思いきり投げていた。気迫と気迫をぶつけあう、その様が気持ちを奮い立てる。現実をすべて消し去り、剥きだした裸の感情と持った野獣に観客たちを変えてゆく場が、そこには生まれていた。


 それまでの熱狂した景色に、異なる彩りを与えるように春乃友夢が歌いだしたのが『Rose』。冒頭、彼女の伸びのある声からの幕開けにも胸が惹かれたが、演奏が唸りを上げるのにあわせ、この曲でも彼女は挑発する姿勢で歌っていた。哀愁という色も覚えながら。でも、彼女の魅力となる高音域の歌声を気持ちの揺れるままに張り上げ、歌声と絶叫という形で、この場にいる人たちと熱い抱擁を交わしあっていた。
 
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 春乃友夢のソロとしては、初の声出しの場となったライブ。大胆に、恐れずにという姿勢を持って挑むその姿が、この日のライブから早くも見えていた。


  続く『regret』は、オケで演奏。激しく攻める歌声も春乃友夢の魅力だが、哀切な思いを胸に、愛しい人を求めるように切々とした声で歌うバラードも、彼女の歌声の魅力を存分に味わえる。言葉のひと言ひと言を、痛い心模様を零すように歌う。舞台の上から落ちるその声の一つ一つを受け止めるように、それまで暴れ騒いでいた観客たちが、その歌声を心の両手で受け止めていた。ときおり見せる、今にも感情壊れそうなファルセットの声と、気持ちをぶつけるように歌う伸びのある声とがクロスオーバーしてゆく様も、ずっと耳を、心を震わせていた。


 続いて披露したのが、新曲の『恋花火』。夏にソロライブを行うことから、この季節を題材にした歌として作成。甘いタイトルとは裏腹に、とても開放的かつ疾走する楽曲だ。夜を舞台にした物語とは裏腹に、魂はスカッとした気持ちに染まっていく。その楽曲へ、哀愁浪漫な色を重ねていたのが、春乃友夢の歌声。たとえ激しい曲調だろうと、そこへセンチな彩りを与える。その卓越した表現力こそが彼女の持ち味。この日も、身体は荒ぶる演奏に刺激を受けながらも、春乃友夢が切なく愛しい思いを持って歌うその声を、心が追いかけていた。

 熱情した歌始まりの『Misty lady』を春乃友夢が高らかに歌いあげるのを合図に、フロア中の人たちが身体を大きく揺さぶり、彼女と気持ちをシンクロしながら、切なさに嘆く思いを全身で受け止めていた。間奏やサビ歌のとき、フロア中から上がる熱情した声。心を揺さぶる情熱的な歌声に惹かれ、誰もが高らかに声を張り上げ、何時しか熱情した思いを春乃友夢にぶつけていた。

 「ここに集まったみんなに心から届けたい曲があります」の言葉に続いて歌ったのが『last scene』。春乃友夢の「Let's Go!!」の声を合図に、フロア中から野太い声が次々と上がりだす。雄々しくスケールあふれた姿に染め上がった重厚な演奏を背負い、春乃友夢は気持ちの揺れが見えるとても生々しい歌声を魅力に、触れた人たちの心にエモい衝動を突き付けていった。「全員かかってこいや!」の煽りを受け、間奏では剥きだした感情と感情をぶつけあう様も展開。言葉のひと言ひと言に熱情した感情と衝撃を詰め込みながら、春乃友夢は朗々と歌いあげる。その小さくて華奢な姿が、何時しか大きな姿として瞼に焼きついていた。

 さぁ、もっともっと魂を奮い立てろというように、春乃友夢は『Black Jet』を突きつけ、この場にいる人たちの魂をすべて解き放ち、大きく跳ねさせた。お馴染み、春乃友夢と観客たちとの熱い声のバトルが勃発。この日のライブでは、時折アンダービースティーの楽曲も組み込み、観客たちの燃え立つ感情を巧みに操りながら、どんどん熱情した様へと導いていった。  

  さらにここでぶち込んだのが、春乃友夢のソロナンバーの中でも特に熱情した感情に染め上げる、情熱エモチューンの『Red Line』だ。フロア中の人たちが「Red Line Red Line」と叫びながら、これまで以上に全力で声を張り上げ、舞台の上で髪の毛を振り乱し、雄々しく歌いあげる春乃友夢と熱情した気持ちを重ねあわせていた。スリリングなこのバトルこそ、彼女のライブに似合う最高にエモい景色だ。

 

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 「ワンマンライブもこうして続けられて4回目になりました。わたしにとっての歌のスタートはアンダービースティーからですけど。ソロ活動は、アイドルというよりは、自分の歌手としてのスタート。こうして前に進んでこれました。まだ悩みや不安もありますけど。みんなの声が力になって、今も、ここに立てています。最近、そもそもアイドルって何だろうと考えていて。わたしの中のアイドルって、自分の理想の姿をステージに映し込ませるもの。その気持ちで向かっています。普段から思いを伝えられる人になれたらなと思っています」


 最期に春乃友夢は、これからもずっと輝きを求め続けると宣言をするように『Shine』を熱唱。左に右へと移動をしながら、愛しい君へ向けての感謝の思いと、これからも共に歩み続ける気持ちを、舞台の上から届けていた。春乃友夢自身がこうやって歌い続ける理由。それを彼女は『Shine』こに込めて、この場に足を運んでくれた仲間たちの胸にしっかりと響かせていった。

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 「みなさんとの形や思いを込めて作った曲です」の言葉に続き、アンコールで最初に届けたのが、サブスク解禁が決まった2曲。先に歌ったのが、8月23日より配信になる『Take wing』。さまざまな思いを胸に、未来へ向かって飛び立つに相応しい楽曲だ。春乃友夢自身が、視線の先に見える景色に向かって踏み出すように、声に強い意志を込めて歌っていた。その真っ直ぐな歌が、嬉しく気持ちを奮い立てる。感情をぶつけるのではなく、胸の内に秘めていた思いを奮い立てるように歌う様も、心を嬉しく騒がせる。
 
  「まだまだ飛べますか、もっと熱くなれますか」と叫ぶ春乃友夢。次に披露したのが、8月16日より配信になる『Realize』。この曲でも春乃友夢は、歌詞の中へみずかちの意志や、仲間たちへ向けたい思いを詰め込み、激しく躍動した楽曲に乗せて届けていた。フロア中から上がる無数の腕と熱情した声が、彼女の意志とシンクロしていることを示していた。曲が進むごとに感情的になる春乃友夢の歌声も印象的だ。

 「どんなときも初心を忘れずに」。最期に春乃友夢は、オケを背景に、ソロ活動のスタートを告げたバラードの『Never my love』を歌っていた。彼女の伸びやかな歌声の魅力を生かした楽曲だ。何より、その歌声を通すことで、この曲に込めた想いか胸にジンと染み入る。遠くを見つめながら朗々と歌いあげる、その姿を誰もが見つめていた。切なさも抱いた温かな歌声を,心の両手でしっかりと抱きしめていた。

 
 アンダービースティーの活動を通して触れる春乃友夢の姿こそ本流だが、その本質を成す姿を味わえるソロ活動からも、やはり目が離せない。

 

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TEXT:長澤智典


〜SET LIST〜
『蜃気楼』(新曲)
『Past Perfume』
『DIVISION』
『Rose』
『regret』
『恋花火』(新曲)
『Misty lady』
『last scene』
『Black Jet』
『Red Line』
『Shine』
-ENCORE-
『Take wing』
『Realize』
『Never my love』


SNS

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アンダービースティー
https://underbeasty.jp/
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