FEATURE

2022.12.03
yoshimi

ずっと歌い続ける気持ちは変わらない。 yoshimi15周年記念単独公演 東京キネマ倶楽部 ライブレポート。


   11月25日(金)、東京キネマ倶楽部を舞台に「yoshimi15周年記念単独公演〜15周年目のありがとう〜」が行催された。この日は、バンド演奏を背景に実施。ゲストに、元I WiSHのnaoも出演。当日の模様を、ここに再現したい。


  yoshimiの15周年ライブは、この場所に一つの物語を描きだそうと、バンド演奏に乗せて『青い鳥』から始まった。彼女は知っている。今、目の前にある景色や、そこに集う人たちが、自分を未来へ連れてゆく青い鳥たちなんだということを。だからこそ、みずからを支えてくれる仲間たちへ向けて抱いた想いを伝え、共に歩み続けようと美しく晴れた声で歌っていた。

 心を潤す麗美な旋律に乗せ、yoshimiはひと言ひと言を大切に紡ぐように『belive in love』を歌唱。言葉へ想いを込めるたびに、歌っているyoshimiの腕や身体が揺れ動く。彼女は愛しき君(ファン)への想いを、全身を震わせ、東京キネマ倶楽部という天井の高い空間に響き渡らせていた。

  続く『ベストフレンド』では、それぞれに掲げた夢を追いかけつつも、この関係を変わらずに描き続けようと、大切な親友や仲間たちへ向けてエールを送るように歌っていた。バラードを歌うときのyoshimiの歌声は、いつも優しく温かい。それだけ彼女が、どんな楽曲にも真心を込めて歌っているからだ。


 次のブロックでは、エレピとヴォーカルの2人で歌唱。届けたのが、『証』のピアノバラート・バージョン。夜を彩るような重厚な鍵盤の音色の上で、yoshimiは澄み渡る歌声で、月夜のような優しい輝きをそこに差していた。アップチューンを、テンポをグッと落としたバラードにアレンジすることで、歌詞に綴った募る想いや,共に歩んだ証を確かめるように寄り添う気持ちが、より輪郭のくっきりとした形で伝わってきた。 

 「わたしも、歌声でみんなを泣かせたい」と語りながら披露したのが、yoshimiがとてもリスペクトしている上野優華のカバー曲『迷子』。みずからの声を透き通る線の細い歌に染めたyoshimiは、胸に手を当てながら。歌詞に綴った言葉のひと言ひと言を、愛しいあなた(ファンたち)へ向けて「好きだよ 好きだよ」と伝えるように想いを込めて歌っていた。歌うごとに声に深みが増していたのも、yoshimi自身が歌詞の中へ深く感情移入していたからだ。

  d-girlsのライブでもお馴染み。yoshimiは、d-tranceの『stay』をアコースティック・バージョンにアレンジして歌唱。いつもアッパーなリズムに乗せ、エモーショナルな気持ちを振りまくように歌っている楽曲を、こちらでもかなりテンポを落とし、ひと言ひと言に気持ちの揺れを投影するように歌っていた。ひと言ひと言どころか、一文字一文字ごとに抑揚した歌声を響かせていたように、yoshimi自身が気持ちを深く深く寄り添えながら『stay』を歌っていた。

 yoshimiはLiSAの『炎』を、yoshimiらしい澄み渡る綺麗な歌声でカバー。力強さよりも、温もりを増した形で届けてくれたところが彼女らしい。原曲へ寄り添うのではなく、カバー曲だろうと自身の色へと寄り添え、懐の中へ取り込んでゆくところが、15年間ずっと第一線で歌い続けてきたyoshimiらしい。


 ゲストで、I WiSHのメンバーとして活動していたnaoが登場。yoshimiには幾つも曲提供をしていれば、この日で3回目の舞台共演になる。naoのピアノ演奏に乗せ、最初に披露したのがI WiSHの『明日への扉』。naoの奏でる美しく流れる旋律に乗せてyoshimiは、恋に胸をときめかすように歌っていた。ゆったりと弾む演奏に乗せ、yoshimi自身が心を弾ませ。ひと言ひと言を丁寧に歌いながら、恋にときめく想いへ色をつけていた。

  次に届けたのが、naoがyoshimiのために新しく提供した『エール』。作詞を、yoshimiみずから担当。あきらめない気持ちや、みんなからいただいた希望のエールを胸に頑張っている想いをこの曲に投影したとyoshimiは語っていた。とてもnaoらしい、心の琴線を優しく鳴らす美しくメロディアスな楽曲だ。その演奏の上で、yoshimi自身が輝きを放ちながら、彼女を取り巻く身近な人たちへ向け、夢や希望という光を降り注ぐように歌っていた。


 ふたたび、バンドスタイルへ。yoshimiは少しずつ気持ちを弾ませるように、恋の始まりを感じたときの淡いときめきを曲にした『音も立てずに恋をした』を歌いだす。いくつになっても、何年表現者としての歩みを重ねようと、心がキュンと鳴ったときの、淡く甘いときめきを歌うときのyoshimiの歌声が愛おしくて好きだ。 

  naoに初めて提供してもらった『Song for you』では、時を歩む中、たくさんの人たちに支えられ、こうやって歌い続けられることへ感謝するように、「声が枯れるまで心込めて歌うから」と伝えてきた。本当に胸に染みる歌だ。この曲へ込めた想いを感じるたびに、心がジンと揺れる。


  ソロとしてはバラードを軸に据えて活動をしているが、アップテンポの楽曲もyoshimiはいくつか歌ってきた。yoshimiは先に『タイムカプセル』を通し、心でスキップするように声を踊らせていた。胸の奥にジンワリと染み渡る歌声も魅力的だ、軽やかに、天へ向かって駆け上がるような歌声も、嬉しく気持ちを揺らす。

  躍動した『monochrome』では、yoshimi自身もd-girlsのときと同じような心情に染めあげ、気持ちを前のめりに、高らかに歌声を響かせていた。この曲では、フロアから熱い声が飛び交う。yoshimi自身も拳を振り上げ、観客たちを煽るように、沸き立つ熱情を抑えることなくぶつけていた。

 アップチューンの最後を飾ったのが、yoshimiとファンたちが大きく手を揺らし、心を一つに結びあった、温かく微笑ましい『キンモクセイ』。歌心あふれる楽曲のように、yoshimiの歌声に優しく包まれてゆく感覚に嬉しく心がほろ酔いしていた。


  ここで、d-girlsのメンバーが登場。15周年を迎えたyoshimiのために、ファンからいただいた花束を変わりに届けていた。
 「やっと15年経って自分の歌が世の中に流れてもいいかなと思っています。細く長く続けていきます。みなさんが応援してくれるから、ここにずっと立てていますし、それを今日も実感しています。ずっと歌う気持ちは変わらないので、d-girlsを含めyoshimiの応援をよろしくお願いします」

   最後にyoshimiは、自分を支えてくれるすべての人たちへの感謝の気持ちを込め、naoが提供した『ありがとう』を「みずから選んだ道だけど~」と歌いだした。彼女は、みんなの笑顔が見たくて歌っていると伝えてきた。ここに足を運んだ仲間たちも、yoshimiの笑顔と優しい想いや歌声に抱きしめられたくて足を運んでいる。彼女は、「ありがとう」と感謝を込めて言葉を伝えてきた。その言葉を、とくに今日は、yoshimiへ全身で返したい。その存在が舞台の上で微笑んでくれているからこそ、触れるたびに、少しかも知れないけど心が前を向ける。いつだって心を前に向けてくれる彼女に、僕らも「ありがとう」の言葉を送りたいし、これからも送らせて欲しい。だからずっと、舞台の上で歌い続けていて欲しい。


  2023年、yoshimiは15周年ツアーを行うと舞台の上で言葉にしていた。「やっとたこ焼きが食べられる」と口にしていたように、その場所には足を運んでくれそうだ。しかも、d-girlsと一緒になりそう。詳細はこれからになるので、発表のときを楽しみに待っていて欲しい。


PHOTO: Deep Forest
TEXT:長澤智典

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セットリスト 
『青い鳥』
『belive in love』
『ベストフレンド』
『証』
『迷子』(カバー)
『stay』
『炎』(カバー)
『明日への扉』nao
『エール』nao
『音も立てずに恋をした』
『Song for you』
『タイムカプセル』
『monochrome』
『キンモクセイ』
『ありがとう』


 

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