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にとくり。は淡い乙女の心模様で、愛らしい声を響かせ歌っていた。その甘く眩しい姿に、胸がキュンと鳴り続けていた。 「FAZ vol.3」ライブレポート にとくり。編
10月9日に東京キネマ倶楽部で行われた「FAZ vol.3」。当日のライブより、にとくり。のレポートをお届けします。
にとくり。
にとくり。の登場に合わせ、心がドキドキし始めた。ライブは、淡くセンチメンタルな音色が響くイントロも印象深い『刹那の恋』かちスタート。駆け上がるビートに乗せ楽曲が一気に華やぐのに合わせ、メンバーたちも胸に抱いた哀切な思いへ少しずつ暖色系の声の色を塗り重ねながら。でも、「会いたくって さよなら」と切ない恋心を歌っていた。切々と恋心を告白するように歌うメンバーたちだが、舞台の上で歌い踊ることを楽しむように、優しい笑みを浮かべ歌っていた姿も印象深い。悲しみに心を染めながらも、甘くメロウな曲調へ寄り添うよう軽やかに歌い踊る姿も魅力的だ。
ジャジーな音色が流れだす。スリリングでクールな、でも、弾む華やかな音色も混ぜ入れたサウンドだ。彼女たちは、哀愁を帯びた歌声を相手の心へ強く響かせるように『カーディナル』を歌っていた。気持ちの内側から込み上がる思いを、爆発寸前の気持ちで彼女たちは届けていた。内に秘めた破裂しそうな思いが、聞き手には生々しいリアルな感情になって響いていた。
「花びらが舞う藍色空の下~君が幸せでありますように」。にとくり。は『さよならシンデレラ』を歌いながら、この曲でも、胸に秘めた奥ゆかしい女性の恋心を伝えてきた。先の2曲が、華やかで軽やか中にも切なさを押し出した楽曲とするなら、『さよならシンデレラ』では気持ちを解き放つように歌っていた。晴れ渡る夜空へ向かって、願うように歌声を響かせるメンバーたち。その思いへ、いつか祝福の鐘が鳴り響くように。そんな叶えられない願いも胸も秘めながら、相手の幸せを願う乙女心をにとくり。は届けてくれた。
にとくり。は、最後に『Nの予感』を歌唱。乙女の淡い心模様を、10代の頃の眩しい乙女の気持ちに塗り替え、愛らしい声を響か歌う彼女たち。その甘く眩しい姿に、胸がキュンと鳴り続けていた。手にしたサイウリムを揺らし軽やかにステップを踏みながら歌い踊る、淡く清楚なその姿、嬉しいくらい眩しかったよ。
PHOTO: 永瀬一幸、大西基
TEXT:長澤智典