FEATURE

2022.10.17
GЯeeD(グリード)

埃をかぶった悲しみはぜんぶロックンロールに乗せて吹き飛ばし、前へ前へと進み続けてくれ。 GЯeeD ライブレポート

GЯeeD=貪欲。そのバンド名に強く惹かれた。元ザ・コインロッカーズのベースMatsurina(松本璃奈)とギターのMisaki(髙橋美紗稀)を中心に、オーディションで選ばれたボーカルMio(ミオ)、ギターNatsuki(ナツキ)、ドラムのChanchee(チャンチー)を加え、GЯeeDは誕生した。
  結成2年でZepp単独ライブを満員にしたガールズバンド「きみとバンド」のプロデュース陣が、GЯeeDをプロデュース。彼女たちのデビューライブ「GЯeeDデビューワンマンLive」が、10月15日に新宿LOFTで行われた。当日の模様を、ここにお伝えしたい。


 大勢の観客たちの期待と熱い手拍子を受け、メンバーたちがSEに乗せ、舞台へ…。Chancheeのドラムカウントを合図に、ギターの音が空を駆け上がるように鳴り響く。GЯeeDが冒頭を持ってきたのが、SCANDALのカバー曲『LOVE SURVIVE』。伸びのある声を響かせるMioの歌も魅力だが、そこへ絡むMatsurinaのコーラスが、楽曲に華やかさと青春の香りを加えてゆく。心地好く、軽やかに駆ける楽曲の上で、Misakiのギターが爽やかな旋律を描けば、Natsukiのギターが歪む音を重ね、曲にコントラストを与えていく。リズム隊の刻むタイトなビートが観客たちの気持ちに熱を注げば、Mioの歌声とコーラスが綺麗なユニゾンとなり、大空へ向かって駆け上がる。そんな風に、耳に届いていた。フロア中から熱い手拍子が生まれるのも納得だ。ちなみにこの曲、メンバーオーディション時の課題曲だったそう。なるほど、弾き慣れているわけだ。


「今日がデビューしてまーす!!」。元気な声を響かせながらも、発言からも伝わるようにちょっと緊張ぎみのMio。他のメンバーたちも元気に声を上げたり、ほのぼのとした声で挨拶するなど、緊張を隠すようにテンションを上げていた姿も初々しい。


  次に披露したのが、GЯeeDのオリジナル曲。クリーントーンのギターのアルペジオから、楽曲は、ゆっくりと時を刻むように流れだす。ゆったりとした演奏の上で、少し悲哀を抱いた歌声を響かせるMio。『切符』が連れだしたのは、憧れや挫折など、いろんな心揺れる思い。しっかりと前を向いて進み続けている、今。だからこそ、ここへ至るまでの苦悩や葛藤を含めた心の揺れを彼女たちは歌にしながら、その痛みを力に変えようとしていく。心に影を落として始まった物語も、演奏が進むにつれ輝きを増してゆく。いや、輝きをつかもうと、5人は、未来へ手を伸ばすように歌い奏でていた。彼女たちが手にしたのは、未来へ向けた旅立ちの片道切符。挫折も知ったこれまでの傷ついた自分を認めつつ、ここから未来へ向かう汽車に乗って旅立つ気持ちを5人は伝えてきた。GЯeeDの物語を描くうえで、とても相応しい序章となる楽曲だ。

  Chancheeの力強く叩き出すジャングルビートに乗せ、「ヘーイヘイヘイ! ヘーイヘイ!!」と、力いっぱい、元気満載の声がフロア中に響き渡る。彼女たちが演奏したのは、フィンガー5のカバー曲『学園天国』だ。めちゃめちゃテンション高い声や演奏で煽るメンバーたち。その姿を見て、声の変わりに熱いクラップをぶつける観客たち。彼女たちはわかっていた、自分たちが楽しまなきゃ、ここの空気が華やがないことを。だからこそ、まずは自分たちが楽しもうと、曲に乗せ、思いきり気持ちのボリュームを上げてゆく。その気迫に心を揺さぶられた人たちが、次々と拳を突き上げていた。「ヘイ!!ヘイ!!」の声と観客たちとの拳のやり取りが熱い。メンバーたちは、気持ちのエナジーをどんどん上げてゆく。それに合わせ、歌声や演奏にも熱が加わり続けていたのがしっかりと伝わってきた。演奏後にフロア中から熱い拍手が起きていたことが、その証拠だ。


  『切符』は、Misakiが作詞を担当。音源を聞いたときに心励まされたことから、頑張る気持ちを歌詞に投影。上手くいかずに、夢をあきらめざるを得なかった経験を過去にしたからこそ、もう一度前向きな気持ちで進もうと自分も言い聞かせながら、夢をつかむために前を向く気持ちを歌詞にしたことを伝えていた。GЯeeDのメンバーは、出身地がバラバラ。「いつかは各自の地元への凱旋ライブツアーをやりたい」と願望も述べていた。

  
  ここからは、すべてオリジナル曲のブロックへ。 勢いよく飛びだしたのが『動機』。挑発するような、いや、挑みかかるようにギターの旋律が鳴り響く。Mioも、高ぶる気持ちを観客たちへ突きつけるように歌っていた。メンバー全員が、気持ちを熱く奮い立て、音をぶつけたす。「夢を夢で終わらせない」と彼女たちは高らかに歌っていた。今の自分たちの胸の内からフツフツと沸き立つ感情を、5人はタイトでエネルギッシュなロックナンバーに乗せ、観客たちへ挑むように突きつけてゆく。ミストーンも目立つように、まだまだ拙い演奏だ。今は、そこを気迫でカバーしている。その気持ちがダイレクトに演奏へと反映しているからこそ、その姿を視線が熱く追いかけていた。フラットした歌声も含め、今は、その姿が初々しい。

  続く『イエローデイジー』では、ちょっとダウナー表情も見せながら、歪みを上げたエネルギッシュな演奏をGЯeeDはぶつけてきた。激しさを前へ前へと押し出した楽曲とは裏腹に、Mioの歌声は爽やかだ。強い輝きをつかもうとするように、ときに笑みも浮かべて歌っていた。気持ちを熱く押す演奏の上で、心弾む思いを、Mioは晴々とした声で歌っていた。これから彼女たちが、どんな未来の景色を描きだすのかに期待したくなる。弾むビートの上で、演奏以上に弾む気持ちを胸に歌っていた姿も印象的だった。


 ライブも終盤へ。リーダーのMatsurinaがMCで語った、「今日が自分にとっての本当のスタートの日になった気がしています。わたしはバンドが好きだし、憧れてきたし、バンドに救われた人間。なので、格好いいバンドをやりたいと思っています。GЯeeDは、今日、ここから始まります。自分が本当にやりたいことが、GЯeeなら出来そうな気がしている。ここからが本当の意味で自分の人生の始まりだと感じています。わたしはGЯeeDで大きいところを目指したいし、ここにいるみなさんと一緒に、いろんな景色を見ていけたらいいなと思います」の言葉が嬉しい。


  GЯeeDが最後に届けたのが、『埃ギター』。軽快に弾む演奏が、GЯeeDの未来を照らし、新しい道を切り開こうとしてゆく。叶わなかった夢で負った挫折や、擦り傷だらけの音楽人生を知っているメンバーたちがここには多いからこそ、燻った気持ちに溜まった埃を取り払い、ふたたび誇りを掲げ、もう一度夢をつかもうとしてゆく思いを。ここから飛び立つという強い意思を、彼女たちは、『埃ギター』にぶつけていた。
  GЯeeDは挫折を知っているバンドだ。今の若さとは裏腹に、いろんな心に擦り傷を負ったうえで、ここに集まっている。もちろん、みんながみんなではないが、そういうメンバーたちの強い意思を全員で共有しながら、夢をあきらめない気持ちを楽曲や演奏にしっかりとぶつけている。そんな彼女たちが、これからどんな未来を描きだすのか。さぁ、次にめくるページを楽しみにしていようか。


 止まない熱いクラップを受け、メンバーらがふたたび舞台へ登場。最後の最後にGЯeeDは、ふたたび『埃ギター』を演奏。今の自分たちのリアルな意思を詰め込んだ楽曲だからこそ、彼女たちはこの歌へ込めた思いを胸に、これからも突き進んでゆく。その強い意思を示すように、5人は『埃ギター』を歌い奏でていた。「叶わなかった夢」「あきらめられない」「ここからスタートだ」。何度だって傷つけばいい。挫折だって、心が折れたっていい。メンバー一人一人の夢と誇りが消えない限り、何度だって立ち上がれるし、傷つくたびに強くなれる。抱いた誇りを胸に、夢をけっして終わらせるな。僕らが、その姿をしっかりと見続けるから。埃をかぶった悲しみはぜんぶロックンロールに乗せて吹き飛ばし、前へ前へと進み続けてくれ。


PHOTO:石井侑希
TEXT:長澤智典

 

<インフォメーション>


11/3(木/祝)に下北沢251にて行われる、MALLOW BLUE 1st mini album『REALIZE』release event「REALIZATION -TOKYO-」に出演予定。
Open 16:00 / Start 16:30

チケット購入URLはコチラ。
tiget.net/events/208838


セットリスト
『LOVE SURVIVE』
『切符』
『学園天国』
『動機』
『イエローデイジー』
『埃ギター』
 

SNS

https://twitter.com/girlsbandpro

https://linktr.ee/greed.gbp

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