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2021.01.03
キミノマワリ。

「キミノマワリ。入榮透生・柊より・山本章加 卒業公演」で見せた、5人らしい微笑ましい姿。

12月30日(水)、白金高輪SELENE b2を舞台に「キミノマワリ。入榮透生・柊より・山本章加 卒業公演」と題し、3人のメンバーを送り出す単独公演が行われた。メンバーらの人柄がよく出ていた当日の公演の模様を、ここにお伝えしたい。

 

  開演前の場内には、卒業を控えた3人へ向け。そして、ライブに訪れた人たちの気持ちを悲しみの色へ染めるように、さまざまな卒業ソングがBGMとして流れていた。

 

 物悲しいピアノの音色が悲しみを誘う。一転、躍動したSEが流れると同時に、気持ちが騒ぎだす。フロアでは、座っていた観客たちが一斉に立ち上がり、舞台へ次々と現れるメンバーたちへ熱い視線を注ぎながら、5人のキミノマワリ。としての最後のライブが始まるのを待ち構えていた。

 

キミノマワリ。

 

ライブは「12月32日」から、スタート。切れ味鋭いパフォーマンスと凛々しい歌声を響かせながら、キミノマワリ。はクールな姿を舞台の上で見せていた。時々がなるように感情的な歌声も見せていたように、すでに気持ちは冷静でいれない状態だ。フロアの椅子席を埋めつくした観客たちもみんな立ち上がり、大きく拳を振り上げ、沸き立つ思いを舞台の上へぶつけていた。凛々しくも冴えたパフォーマンスが、とても魅力的だ。

楽曲が派手な音を鳴らすのに合わせ、メンバーたちも華やかに動きだす。キミノマワリ。は「カタオモイ=導火線」を魅力に、観客たちを笑顔で煽りだす。愛らしさの中へ派手なパフォーマンスも加えながら、彼女たちは観客たちのハートへ熱を注ぎだした。フロアでは、観客たちが声を出せない変わりに大きなアクションを示し、思いをぶつけてゆく。

 1曲ごとに色を塗り替えながら、ライブは進んでいく。次々と表情が変わる様に心が騒ぎだす。続く「マイパラダイム」を通し、キミノマワリ。は観ている人たちの気持ちへさらに熱を注いでゆく。胸を騒がせる歌とパフォーマンスに触れ、騒ぎたい気持ちのメーターがぐんぐんと上昇。舞台上のメンバーたちも、まだまだ悲しみよりも、1曲ごと、観ている人たちの心に印象深いシーンを焼き付けることを楽しんでいた。

 

 MCの時点で小椋あい彩は、早くも涙目状態だ。「最後に楽しい想い出を作って欲しいなと思います」と騙る声が、すでに涙声。この日で卒業する入榮透生が、小椋あい彩を逆にフォローする姿もそこでは見せていた。後に出てきた話によると、小椋あい彩は2日前から。この日も、入りの時点ですでに泣いていたように、ずっと涙目状態で過ごしていたらしい。

 

キミノマワリ。

 

「カタルシス」のイントロが流れたとたんに気持ちが熱くなる。クールで凛々しいダンスを魅力にしながらも、彼女たちは、壊れそうな感情をグッと抑えた声で歌い続けていた。サビで勢いと熱を増すのも、この歌の特徴だ。小椋あい彩の声が少し涙に濡れていたのは、彼女自身が気持ちを抑えられなくなっていたから。他のメンバーたちも悲しみを背負っていたのかも知れない。それでも5人は、力強く舞台の上で輝こうとしていた。

心地好い緊張感を持ちながら走り出した「プリズム」に乗せ、5人は自分たちの気持ちや歌声へ光を取り込むように歌っていた。楽曲の持つ色とシンクロするように凛々しい歌声を響かせるメンバーたち。一糸乱れぬ躍動したパフォーマンスと、小さな軌跡を求めるよう思いを一つに歌いあげる声が魅力的だ。舞台上の5人は笑顔だ。今はそれが、とても嬉しい。

気持ちの内側に閉まっていた想いを優しく告げるように、5人は「まっさら」を歌いだした。「行こう!!」の声を合図に、楽曲が力強く躍動する。変拍子を利かせたトリッキーな楽曲へ華やぐ景色を描くように、彼女たちは歌い躍っていた。メンバー自身がまっさらな気持ちで歌うのは、もちろん。会場に足を運んだ人たちの気持ちも、この歌を通してまっさらな色に塗り替えてゆく。「まっさら」へ触れるたびに、気持ちを真っ白に塗り替えてくれるのが嬉しい。

 胸沸き立つ華やかな旋律が跳ねるように響きだす。ちょっとセンチメンタルな音の上で、5人も切なさを抱きながら、心に閉まった羽根を次第に広げ、ここから飛び立とうと「soar」を歌いだした。彼女たちに「飛べるさ」と歌われると、自分たちの心にも翼が生え、自由という空間へ飛んでいけそうな気持ちになれる。彼女たち自身が、舞台の上で小さな羽根を広げながら、自由という空を目指して羽ばたこうといつも歌い躍っている。笑顔で未来をつかもうと羽ばたこうとしてゆく前向きな気持ちに触れていると、自分の心次第でどこまでも「飛べる」気持ちになれる。

 

 MCで、「今日の公演は3人でいろいろとセトリも考えたね」と入榮透生が話だしたところへ、小椋あい彩が「今日の動画は(柊)よりちゃんが作ってくれてね」と、話を重ねだした。ここからは、2年半の活動を振り返っての想い出話に花を咲かせていた。この日のライブは、卒業をする入榮透生・柊より・山本章加の3人が全体をプロデュースした公演。最後までしっかり自分たちの色を刻んだように、それが嬉しい。

 

 力強くも凛々しい声で、5人は「敗北の少年」を歌いだした。気持ちが熱く沸き立つ曲に乗せ、メンバーたちが身体中からエナジーを放つように力強く歌う。熱量の高いパフォーマンスに触発され、フロア中の人たちが身体を小刻みに揺らしながら、舞台上に想いをぶつけていた。「敗北の少年」、とても気持ちを熱く騒がせる歌だ。メンバーらの歌声もいつしか感情的になり、がなりたてる場面も。力強くダイナミックなパフォーマンスも、心を騒がせる。

高まった気持ちへ、胸騒がせる刺激を与えるように「ギアスター」が飛びだした。楽曲が進むごとエモーショナルさが増してゆくように、彼女たちの晴れた歌声と躍動する曲に触発され、心が熱く騒ぎ続けていた。とても感情的な歌声だ。それだけ一人一人の気持ちが熱情していたということ。フロアからも、無数の手やサイリウムの光が舞台上に伸びていた。気持ちをアゲる「ギアスター」、華やかな中へ力強さと躍動感を備えた楽曲だ。

少しセンチメンタルさも抱いた音色からの幕開け。そこへ入榮透生、小椋あい彩と、歌声を重ねてゆくごとに楽曲は次第に熱を帯びてゆく。会いたい人へ向けた切ない胸の内を零すように、彼女たちは「きみという場所」を歌っていた。一人一人が、秘めた胸の内を告白するよう切々と歌いあげる。その歌声を聞くたびに、胸がキュッとしめつけられる。お互いがここにいることの大切さと楽しさを、ここから旅立ってゆく想いを、メンバーどうしで分かち合うように歌っていた。

 

「ずっと君のとなりにいさせてください」の言葉を告げ、最後にキミノマワリ。はキラキラと華やぐ楽曲に乗せ、気持ちを騒がせながら「君の隣」を歌っていた。これまでも、そして、これからもずっと君の隣に居続けたい。キミノマワリ。のテーマとも重なる歌を、本編最後に歌い、ファンたちとの変わらない関係を。愛しい人と、この繋がりをずっと交わし続けようと彼女たちは歌っていた。

 

キミノマワリ。

 

 本編が終わる時点では、メンバーみんなまだ笑顔でライブを楽しんでいた。アンコール前には、これでの歩みを振り返る映像が流されていた。

                                            

5人の美しいハーモニーからアンコールは幕開けた。キミノマワリ。は、気持ちに晴れた景色を映し出す「ナヤメルオモイ」を歌いだす。気持ちを晴れた世界に導いてゆく歌だ。彼女たちは愛しい想いを胸に、高まる気持ちをぶつけるように歌っていた。舞台の上でわちゃわちゃ絡み合うように歌い躍る姿が眩しい。愛しい乙女の心の内を零すように歌う様も、目を奪われてしまう華やかさだ。フロアからも、数多くのサイウリムや手が伸びていた。無邪気な気持ちを素直にぶつけながら楽しむ姿へ、心が惹かれてゆく。

 

ここで、卒業する3人が、一人一人想いを語りだした。

 

「メンバーのみんな、(卒業した)ゆなちゃんとまことちゃんも含めて、僕はキミノマワリ。の人たちは全員おかしな人たちだったなと思います。褒め言葉です。僕は、こんな変な人たちと一緒にいるのが好きでした。声が出なくなるくらい笑いました。最初の頃は、上手く付き合えなかったこともあったかも知れないし、もしかしたら不仲を疑われたこともあったんじゃないかと思います。仲がいいとか悪いとか、あんまり自分で言うのは好きじゃないんですけど。僕は、仲は悪くなかったんじゃないかと思います。卒業する実感は、今も全然沸いてないです。ですが、この人たちと会えなくなると思うと淋しくて淋しくてしょうがないです。もう一緒にライブは出来ないです。一緒にするライブが好きでした。ありがとうございました。卒業しても遊んでください。

そして、ファンのみなさん。僕がこの人生の中でアイドルになりたいと思ったのは5歳のときでした。アイドル以外でやりたいことも、やりたいものも一つもなくて、アイドルじゃない自分がコンプレックスで、流れに身を任せてなんとなく生きてました。でも、こうして今アイドルになれました。ファンのみなさんが見つけてくれて、応援してくれて、好きになってくれて、僕はアイドルになることが出来ました。アイドルは、僕にとって生きる目的でした。昔の苦しい生活を思い出せないくらい、今が楽しいです。みんなのおかげです。本当にありがとうございました。健康でいてください」(柊より)

 

「わたし、デビューする前はホントに取り柄がそんなにないというか、踊ることも、歌うこともやったことがなくて、何もできることがないままアイドルになったんですけど。何もできなかった自分を、ホントにアイドルにしてくれたのは、今いてくれているみんながいたからだと思ってて。自分一人じゃ何も出来ないし、ここにも立ててないと思うし、本当にみんなには感謝しています。ほんとにここまで続けてこれたのは、メンバーのおかげだと思ってます。卒業しちゃった2人も含めて、この7人でいれたから、今、ここに立てています。最初は本当に人見知りで、コミュ障で、陰キャで、打ち解けられるか本当に心配だったんですけど。今は、仲がいいよね。このメンバーでステージに立てることが本当に幸せでした。明日もまた同じメンバーと、今いるみんなとライブが出来るんじゃないかって思ってしまうんですけど。でも、卒業するって決めたのは自分なので、ちゃんとこれからも前を向いて歩いていくので、キミノマワリ。と入榮透生を、どうか見守っていてください」(入榮透生)

 

「7人で始まったキミノマワリ。で、ホントにメンバーに恵まれてて、みんな優しくて面白くて、どこか性格が似てて、わたしが勝手になくてはならない存在だと思ってて。こんなに大好きなグループで一生続けようと思っていたところから、抜けてしまうことになりました。こんなにも毎日ずっと一緒にいたこの人たちとバラバラになるのが不思議だし、なりたくはなかったのが本音です。歌も踊りもゼロからのスタートで、自分らしさとか何もわからなくて。必死に2年間探して、少しだけ近づけたのかなと思います。2年間活動して、応援してくれる人がすごく増えました。自分がいなくてもいいと思っていた時期もありました。でも、続けていれば何時かは応援してくれる人がたくさん見つけてくれるかなと思って、2年間頑張りました。2年間無駄なことなんてなかったんだなと思います。みんなの表情や想いを1秒でも長く受け取りたかったので、ここまで続けていられました。始めてから2年間、関わってくださったすべての方、ありがとうございました。キミにとって前向きじゃないかも知れないし、まだ受け入れられないことかも知れないけど。キミたちに支えられて、キミたちがいたから、こうして前向きな卒業をすることが出来ます。本当にありがとう。キミたちに出会えて良かったです。アイドルにしてくれて本当にありがとうございます」(山本章加)

 

 悲しみを吹き飛ばすように。悲しみを一瞬だけでも消し去り、眩しい輝きに向けて大きく歌声の手を伸ばすように、小椋あい彩が「ヒマワリ」を歌いだした。今、この5人でいる時間を謳歌するように、彼女たちも力いっぱいの想いで歌を響かせていた。たとえ、進む道を違おうとも、自分の信じた気持ちへそれぞれが真っ直ぐに向きあえば、かならず未来には心に大きな花を咲かせていける。卒業する3人に向け。そして、これから新しいキミノマワリ。を作りあげる2人に向けても、この歌が心にエールを送るように響いていた。

最後にキミノマワリ。は、強く願いを込めるように「ほうき星」を歌いだした。大きく手を振り、歌うメンバーたち。フロア中でもたくさんの手や白いサイリウムの光が大きく揺れていた。多少の涙声さえ、この日は自分たちを輝かせる光にも感じていた。力強く歌うその声を、しっかり抱き締めたい。彼女たちと一緒に歩むことでこの先の未来も輝き続けていくと、流れ星に願いたい。

 

ふたたびメンバーが舞台へ。この5人で送る最後の曲が「取り返しがつかない私たち」。悲しみを振り切るように、メンバーたちも気持ちを明るく高めてゆく。キラキラと晴れた音に乗せ、5人は力強く、舞台の上を目一杯使いながら歌い躍っていた。この瞬間だけは悲しみを忘れ、5人が笑顔を浮かべ歌う姿に、同じよう笑顔で触れていたかった。晴れた笑顔で歌い躍る姿に、何時だって僕らは元気をもらえる。そしてこの日も、最後はしっかり笑顔を浮かべながら、5人の姿と向き合えていた。それが嬉しかった。

 

取材・文:長澤智典
写真:高田雄一

 

<セットリスト>

「12月32日」
「カタオモイ=導火線」
「マイパラダイム」
「カタルシス」
「プリズム」
「まっさら」
「soar」
「敗北の少年」
「ギアスター」
「きみという場所」
「君の隣」
-ENCORE-
「ナヤメルオモイ」
「ヒマワリ」
「ほうき星」
-W ENCORE-
「取り返しがつかない私たち」

 

<インフォメーション>

キミノマワリ。
公式サイト:
https://kiminomawari.com/

公式Twitter:
https://twitter.com/kimi_no_mawari

 

 

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