その日は、夏の暑さだけではない、会場内は独特の熱気を帯びていた。まけんグミアイドルオーディションなどで選ばれた２グループ１６人が、初めてのステージに立つ。彼女たちに用意された舞台は、新木場Studio Coast　メインステージ。初ステージとしては十分過ぎる規模のステージに彼女たちへの期待の高さを感じる。

壮々たるアイドルグループが出演する「まけんグミフェス2020」にて、初ステージを踏む彼女たち、まず先に登場したのは、「RUN WiTH YOU」だ。

ライブは「Stand up again」から始まる。覚醒の時を超えて、何度だって立ち上がれ、と。緊張の中、練習とは違う感覚を振り払うように、一所懸命に手足を動かし声を出す。今日のための準備の成果を余すことなく出せるようにしている姿に見える。会場裏にて強い日差しの中、直前まで細部まで振りの確認をしていた彼女たちを見てしまったがゆえに、よりその想いを感じる。初めて聞いても聞き馴染みの良いそのメロディに声が重なると疾走感が加速する。早くも個性の見えるパフォーマンスから、"ランウィズ"らしさを感じる。アクティブさを重視し、それが彼女たちの躍動感につながっているのだろう。

続く「Starting grid」は、少し趣向が変わり、アイドルらしい爽やかさのある曲調に。今始まった彼女たちにぴったりの歌詞で、今日の始まりとこの先にある輝かしい未来を歌い上げる。大人数グループらしいフォーメーションで会場を魅了する。この大きいステージによく似合っている。

MCを挟み最後の曲へ、とその前にデビューステージ直前に怪我をしてしまってステージに立てていなかったメンバー都築麗を呼び込む。最後の曲は、８人でステージに立って歌いたいと、ダンスパフォーマンスはなく、８人が横一列に体を左右に揺らしながら歌い始める「スタートダッシュ」を。盛り上がっているステージに飛び出そうとそう歌う彼女たちの今の気持ちが詰まっている歌だ。メロディと歌詞の内容も合間って、涙声になる。最後に８人揃って両手を挙げ感謝を声に乗せてステージを終えた。会場からの温かな拍手に見送られ。

続いて数組他のグループのライブののち「LOVE SPEARS」が登場する。先ほどの"ランウィズ"と変わり、ザ・アイドルの雰囲気にて登場。「Star Wind」は、王道中の王道のアイドルポップソング、ミディアムテンポが心地よく、キミとずっと一緒に走り続けると、ファンと一緒にスタァになろうと希望に満ちた歌詞に胸が熱くなる。"ラブスピ"は、王道のコンセプトにふさわしく、歌うときに真っ直ぐに先を見ながら声を届ける、すっと背筋が伸びたように振る舞うその姿は見ているだけで気持ちが良い。

動きの一つ一つに可愛らしさと清楚な空気を感じる、何より協調性を大事にしているそのパフォーマンスこそが王道アイドルらしさなのだろう。続いては「Starting grid」を歌唱。先ほど「RUN WiTH YOU」が歌った曲と同じものだ。コンセプトが違う２グループが同じ曲を歌うという"にくい"演出により、２グループの対比がしっかり見えて面白い。"ラブスピ"は、どう振る舞うとステージ上で綺麗に見えるか、どの振りを揃えると映えるかをしっかり押さえにきていてそれが協調性、王道らしさにつながっているのだろう。個性を消している訳ではなく、見せると魅せるを意識をしているようだ。

最後は再び「Star Wind」を歌い、会場のファンへ未来を約束するように歌い。ステージを後にした。

同時に２グループデビュー。どちらも８人体制と。仲間であり、いいライバル関係なんだろうと感じた。きっとこの先もそれぞれのグループの個性を磨き、切磋琢磨していく姿が見られると思うと、楽しみにでしかたない。

＜RUN WiTH YOU　セットリスト＞
01.Stand up again
02.Starting grid
03.スタートダッシュ

＜LOVE SPEARS　セットリスト＞
01.Star Wind
02.Starting grid
03.Star Wind

取材・文・写真：もりたはぢめ