この日、また一つのアイドルグループに終止符が打たれた。3-shine。2019年から活動を開始したグループ、大阪を拠点に活動をしていたPOPUPのメンバー３人、塚本里咲、西本珠理、市川楓より結成されたガールズユニット。コロナの影響もあり、やむなく解散を選んだ3-shineラスト配信ライブをレポートしてきた。

ファンにとても愛されている印象が強いグループだけに、最後はちゃんとお客さんの前で歌いたかっただろう、そんなことを考えながらライブが始まるのを待っていた。がその思いは裏切られる。オープニングSEより、ステージに立った彼女たちは、いつもと変わらない、普段通りの雰囲気で歌い出す。3-shineといえばの１曲目「Choose my love」、"サンシャイン"の掛け声でファンの声が聞こえてきそうな盛り上げを見せてライブが始まる。無観客ライブは、2回目だが、前回のライブも同様に感じていたが、ファンがいない状態でのライブはテンションが保ちずらいところもあるだろうが、彼女たちは、目の前にファンがいるかのようなテンションとそして声を歌を届けようと思う気持ちがしっかり画面越しにも伝わってくる。それはきっと、３人のアイドル人生が決して平坦ではなく、たくさんの辛い想いと、何よりたくさんの素敵な想い出を背負っているから、そしてファンの皆さんへの想いがこもっているからだろう。それに加え、彼女たちはプロフェショナルである。ただ見せるだけのアイドルではなく表現者としての素質が備わっている、それは、当たり前のことかもしれないが歌詞をしっかりと理解をして声に乗せて届ける、ダンスに乗せて表現をする、ライブを心から楽しんでいる。それが毎回できるのが彼女たちなのだ。だから、ライブを見るたびに心揺さぶられるし、惹きつけられる。何度見ても楽しいライブを届けられるのは、当たり前のようで難しい。それらを高いクオリティで実現できるのが3-shineだ。

そして、この日はラストライブにして、新衣装のお披露目となった。ほんの少しグリーンが入ったスカイブルーが特徴的な衣装は、３人で少しずつデザインが異なる。ひざ下のスカート丈に少し丈の長いシースル、胸元には大きなリボン、肩にはパフになり、腰についた大きなリボンがキュートさも出す、この里咲のタイプを基本として、珠理はアンシメトリーなデザインとなりスカートが大胆に斜めにカットされており、リボンの位置も少し中心よりずれるそれがアクセントになる。楓は肩が大きく開いており、唯一ショートパンツスタイルだがシースルースカートがかぶさっており、彼女の元気さとセクシーさを見事に表現をしている。

実はこの衣装、ガルポ！ではデザインのアイデア出しの段階からずっと追いかけてきた。その当時はラストライブのためではなく、3-shineのこれからのために制作されていた。デザインに込められたのは、ただのアイドルではなくカワイイだけではない、次のステップに進むための女性らしさを求めキュートさとキレイのバランスを求めたもの、メンバーカラーをなくしたのもより統一感を出したいという意向からだ。それが彼女たちの考えていた"3-shineのこれから"だった。デザイナーから出されるデザイン画のディテールのひとつひとつ、衣装の繊細な色について、丁寧に剪定をし、生地のひとつずつも彼女たちが選んでいる。こだわり抜いた"これから"は、このライブで幕を下ろしてしまうが、そんな気持ちを込めた衣装に身を包んでのラストステージ。

「夏ダモンカモン」「Pleasure Treasure」と3-shineの定番曲が続き「トクベツ」に。この日の新衣装が一番似合う曲だ。塚本里咲は、アイドルの素質が詰まっている。天真爛漫という言葉がよく似合い、みんなに愛されるキャラクターの持ち主で笑顔で雰囲気を作るムードメーカーだ。表情から歌声からみんなを魅了する。西本珠理は、ダンスが素晴らしい。ひとめ見ただけで彼女がダンスに対してどれだけのものを積み上げてきたのかすぐわかる。身体の使い方の上手さ、何よりどんなに激しい動きをしていてきっちり止めてくる気持ち良さは、相当に鍛えられてきたのだろう。そして３人のまとめ役として様々な責任の中でもここまでやり遂げてきたのが彼女の強さだろう。市川楓は、自身も作詞をする表現者。感受性がとても強いのだろう、そして愛情が深い。この日のライブも誰よりも先に涙ぐんでいた。相手の気持ちを思いやれる想像できることに長けているのか、ライブ中も２人の空気を読んでいるような場面も多く、それでいて柔軟性があり機転がきく感じが彼女の地頭がよさを感じる。このバラバラな個性が重り調和したのが3-shineの魅力なのだろう。

ライブはMCを挟み、彼女たちが出会ったグループ「POPUP」の曲を披露する。やはり彼女たちにとって、ずっと追いかけているファンにとって、たくさんの思い出が詰まっている「POPUP」の曲をここで見せるというのはサプライズファンサービスだ。と同時に、「POPUP」へのいろんな強い想いがあるだろうと感じた。ただでさえ激しいダンスが多い「POPUP」曲を怒涛の７曲連続をやってのける。１曲１曲の想い出が、駆け巡りながら歌う姿をその当時を知らなくても彼女たちの歩んだ道程が垣間見えた。

3-shine曲パートへ戻り、ラストスパート「RAIY CLOUDY GIRL」「トキメキ☆Twinkle Star」と続き、最後は「君、好き。」に、作詞をした楓が、恋愛曲にも聞こえるが、この"君"はファンのことを思って書いたというこの曲。「いつか君の笑顔の理由になれるかな」と最後のフレーズに胸が熱くなった

「本日はありがとうございました。ここまでこれたのは家族やファンのみなさんのかげです。もともとアイドルに向いてなかったと思っていた私がここまでこれたのは、たくさんの辛い思いがあったけど、５年間で起こった嬉しいことや楽しいことや感謝の方がすごくすごく大きかったからです。ファンのみんなとの出会いや、いろんな人に支えられながら活動ができたこと、メンバーと出会えたことに感謝です。ファンのみなさん、私を見つけてくれてありがとうございました。アイドルとしての活動は今日が最後ですが、もし会える機会があったら笑顔で会いにきてほしいと思いますし、今まで応援してくださったファンの皆さんには感謝しかありません。最後にこの２人とステージに立てて、この３人で最後のステージに立ててよかったです。ありがとうございました。」（市川楓）

「今日は配信を見ていただきありがとうございました。本当はファンの皆さんと同じ場所で最後迎えたかったですが、たくさんの方に見ていただきありがとうございます。里咲はわがままだし思ったことを言ってしまって、２人には迷惑をかけたり傷つけてしまったことあったと思いますが、自分がしんどい時とか今後どうしようかなと思った時に声をかけてくれたのはメンバーだったので、とても感謝をしています。ファンのみなさんにもすごく心配かけてたりとか色々あったけど、みんなの存在に助けられてました。アイドルなってよかったと思っています。これからもアイドルを続けていきたいと思っているので、もしどこかでお会いすることがあったら見にきてくれると嬉しいです。このみんなと過ごしてきた時間は、一生忘れません。今までも、今日もありがとうございました！」（塚本里咲）

「本日を配信ライブを見ていただきありがとうございます。私はアイドルを高校２年生で始めて、一度辞めてまたアイドルしたいとPOPUPのオーディションを受け、辛いことも悲しいことも楽しいこともいっぱい経験したし自分の人生が本当に変わったと思って、もう一回アイドルをやりたいって決心してよかったと心から思っています。何より２人と一緒に活動できてよかった思っているし、家族みんなが自分の夢を応援してくれて感謝しかありません。そして今こうやって活動できているのはファンのみなさんのおかげです。私のファンのみなさんで、本当に優しくていい人ばかりだったと思います。私のことずっと応援してくれて、好きでいてくれてありがとうございます。私はアイドルという道は今日で最後と思っていますが、またみなさんに会える機会があったら、会いにきてくれたら嬉しいです。これから３人は別々の道に進みますけど、これからも仲のいい友達であり、家族でです。これから個人個人で活動して行きますけど、誰のファンであってもこれからも応援し続けてください。これからも好きでいてくれたら嬉しいです。本当に今までありがとうございました。」（西本珠理）

最後に３人からそれぞれの思いを告げ、ラストライブは終了した。3-shineとしての活動期間は短かったかもしれないが、アイドルに人生をかけ、こうして最後のステージを涙をこらえながらも歌い上げるほどの思いを持った３人がいたことを覚えていたい。３人の最後のステージに立ち会えたことに感謝し、３人のこれからが輝き続けることを願うばかりだ。

＜セットリスト＞

00.OP SE
01.Choose my love
02.夏ダモンカモン
03.Pleasure Treasure
04.トクベツ
05.初恋ユース
06.エンドレス
07.アツイキモチ
08.BPM
09.ラブゲーム
10.ブルースタートレイン
11.パレード
12.RAIY CLOUDY GIRL
13.トキメキ☆Twinkle Star
14.君、好き。

取材・文・写真：もりたはぢめ