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sora tob sakana band set「天体の音楽会 vol.3」ライブレポート
2018年から毎年開催されている「天体の音楽会」3回目の開催となる今回は、初のサーキット形式、TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、duo MUSIC EXCHANGEの3会場にて開催された。このライブイベントの最後を締めくくる sora tob sakana band set の模様を見てきた。
筆者はsora tob sakana を見るのは約3年ぶり、バンドセットでのライブは初めてなので久しぶりに出会える"オサカナ"たちにワクワクが止まらなかった。
バンドのテクニカルチューニングが終わり、いよいよSEからメンバー3人が登場する。1曲目はsora tob sakanaを世に知らしめた「広告の街」。ギター2名、ベース、ドラム、鍵盤2名、パーカッションという編成バンドに、彼女たちの歌声が重なる。当時3年前に見ていたあどけなさの残る彼女たちではなく、いちアーティストとして3人がそこに立っていた。もう面影もないくらいパフォーマンスに磨きがかかっている。特に初期ナンバーのこの曲をいきなり歌ったことにより、あの時との差が如実に輪郭を表す。
sora tob sakana とは、完成度の高い難易度の高い楽曲を10代半ばのアイドルが歌うアンバランスが面白いグループだった。だが今目の前にある彼女たちはそれとは違う、ダンスはキレているし日々の積み重ねが示すように、表現のチカラが高く、バンドの重厚なサウンドにも負けないボーカル。今は今のsora tob sakanaがここにある。
「New Stranger」「鋭角な日常」とメジャーデビュー後の曲が続く、そして「Brand New Blue」。客席も身体を揺らしながら音楽を受け止めている。ここには、音楽を楽しみオサカナの曲を愛している人たちが集まっているのだ。それがバンドとの生演奏との組み合わせでより音楽会として会場がひとつになる。
アイドルは魅せることに長けていて客席を自分たちのセカイに引き寄せる。しかし彼女たちは、見せる表現をすることに徹していて、自分たちのセカイを発信している、それがこの数年で磨きがかかっている。だからといって押し付けてはいないそれがsora tob sakana のアーティスト性なのだろう。アイドルとアーティストのバランスを保つ、それが彼女たちの世界観なのだ。
ライブは終盤「夏の扉」「まぶしい」「Lighthouse」と爽やかさを感じるラインナップで締めくくる。
ラストは会場中で手を振り上げ、みんなの音楽と心が一つになる。セットリストの素晴らしさ、演奏と歌声の素晴らしさに客席からは大きな拍手を送る。メンバー3人がステージを後にしても、鳴り止まない拍手。アンコールを求めるものではなくこの日のパフォーマンスを賞賛する拍手に、sora tob sakana の飛躍する未来が見えた。
<セットリスト>
SE. 海に纏わる言葉
1. 広告の街
2. New Stranger
3. 鋭角な日常
4. Brand New Blue
5. 嘘つき達に暇はない
6. 発見
7. 夏の扉
8. まぶしい
9. Lighthouse
<プロフィール>
2014年7月結成。
神﨑風花、寺口夏花、山崎愛からなる3人組グループ。
音楽プロデュースを照井順政(ハイスイノナサ、siraph etc)が手掛けており、ポストロック、エレクトロニカといったジャンルのサウンドを基調にした物語性の強い楽曲とイノセントな歌声、表情豊かなパフォーマンスが唯一無二の世界観を作り出している。
公式Twitter:https://twitter.com/soratobsakana
公式サイト:https://soratobsakana.tokyo/
取材・文:もりたはぢめ