待望の1stアルバム『心声』のリリースに合わせ、Ruuが8月30日に品川J-SQUAREで、「Ruu One man LIVE-2」を行った。彼女にとって人生二度目のワンマン公演。しかも今回は、アルバムを手にしてのライブ。Ruu初となるオリジナル曲のみのライブの実現を果たした。当日は、短い休憩も挟み、二部構成で実施。Ruuが、どんな素敵な一夜を彩ったのかをここに紹介したい。
 

　流れだした街の喧騒に乗せて、Ruuが歌いながらゆっくりとステージに姿を現した。ライブの冒頭を飾ったのが、ライブでもお馴染みの『control』だ。クールでソフィスティケートなソウルミュージックの上で、彼女は低音の利いた歌声を響かせ、観客たちの心や身体をゆっくりと揺らしだす。一つ一つ の言葉にグルーヴのような感情の揺れを覚える。物語の語り部になったRuuが低音域を生かしたソウルフルな歌声を響かせるたびに、頭の中へいろんな情景が映し出されてゆく。



  甘いハミング声から、優しく歌い語るように始まったのが、『石榴』。Ruuには心の内側をザクッと齧るような、ビターな刺激を持った音楽と艶かしい歌声がとても似合う。説得力?!たしかにそうだろう。それ以上に、心へ深く浸食し、心を淫らに浸してゆく、官能的な表情を持った歌声が、とても刺激的だ。

  MCになったとたん、陽気なお姉ちゃんに変貌してゆくところがRuuらしさ?! ステージの上では近寄りがたい妖艶さを放つのに、しゃべりだしたとたん親しみ覚える女の子に変わっていくところにも、Ruuらしさを感じていた。



　これまでの妖艶な様から少し色を塗りかえるように、『飛揚』では軽やかに跳ねたリズムと心のリズムを重ねあわせ、Ruuは軽やかに声を弾ませるように歌っていた。巧みにファルセットした声も組み込み、彼女は歌声の絵筆で、見ている人たちの心にいろんな想いの絵を描きだす。フロアでは、手にしたペンライトを揺らし、彼女の歌に心地好く酔いしれる人たちが大勢いた。

  前半部の最後を彩ったのが、この日が初披露になった新曲の『眩い景色』。Ruuは冒頭から芯の太い歌声を唸らせ、感情を騒がせる激しめの楽曲に乗せ、気持ちを奮い立てるように歌っていた。黒系の衣装姿で力強く歌う様と、歌い繋いできた楽曲の持つ気高き表情が折り重なって見えていたことにも触れておきたい。芯の太い声を響かせるRuu。その迫力に、気持ちがずっと惹かれていた。

　Ruuからのメッセージ映像を挟んで、後半のブロックへ。カラフルな衣装に身を包んだRuuが、客席後方のミニステージに登場。彼女は腰を愛らしくフリフリしながら、観客たちとの距離をグッと縮めるキュートでファンキーなポップチューンの『ハッピーラッキー』を晴々とした声で歌唱。彼女は歌いながら客席の間を通ってステージへ。ここで一度演奏を止め、観客たちと「ハッピー」や「ラッキー」の声と振りの掛け合いをアドバイス。そのうえで、ふたたび『ハッピーラッキー』を歌いだした。事前に観客たちとコールのやりとりを通して心の距離を縮めていたこともあって、観客たちも最初から声を張り上げ、Ruuと一緒に楽曲へ飛び乗り、華やかなパーティー空間をともに作りだしていた。存在感あふれる歌声で心を魅了する姿も嬉しいが、観客たちと一緒にノリを描きながら、互いの気持ちの距離をグッと近づけてゆく様も、Ruuのライブを形作る魅力だ。

　華やかな景色を、さらにカラフルに彩るように、Ruuは跳ねたアッパーなポップチューン『パレットハート』を歌唱。一人一人の心のパレットに、歌声を通していろんな明るい感情の色の絵の具を注ぎ、彼女はドキドキとした刺激を与え続けていた。Ruuの歌声も、どんどん色が明るくなっていく。終盤には，フロア中の人たちが左右に大きく手を揺らし、一緒に心をカラフルに彩っていた。

　続いて届けたのが、新曲の『星屑のメロディー』。力強く、しかも前向きに躍動したダンスビートに乗せ、Ruu自身も 声の翼を広げ、運命さえ変える勢いで力強く歌を羽ばたかせていた。曲が進むにつれ、楽曲が華やかに躍動し、Ruuの歌声も花咲くようにカラフルな声の彩りを見せてゆく。曲が進むごとに歌声も楽曲も輝きを増しながら、Ruuは眩しい希望の光を会場中へと降り注いでいった。



　表情は、一変。Ruuの支持を一気に高めた『will』の登場だ。Ruuは雄々しき声で、みずからの気持ちを奮い立てるように、熱を持って駆けだす楽曲に乗せて歌っていた。フロアでは、彼女にエールを送るように、観客たちが手にしたタオルやライトを振り、Ruuと一緒に未来へ心の視線を向けながら、闇を突き抜け、力強く駆けだそうとしていた。楽曲が勢いを増すごとに、Ruuの歌声が迫力を増していった様も印象的だった。

　日々を支えてくれるファンたちに向けての感謝の思いを届けるように、大好きな仲間たちへ向けて、ファンと思い出深いカバー曲をアカペラでプレゼント。抽選会を挟んだうえでRuuは、改めて感謝の思いを歌に詰め込み、最後に『ありがとう』を届けてくれた。



　この曲でRuuは、白い衣装に着替え、ステージの後方から姿を現し、客席の間をゆっくりと歩き、訪れた人たちの側へ寄り添いながらステージへ。『ありがとう』は、支えてくれる人たちへの想いを綴った甘いバラード曲。Ruu自身の感謝の気持ちが、優しい声を通して胸の奥にまで浸透してゆくようだ。フロアにいる一人一人を見つめながら歌うRuu。その姿に向け、観客たちも手にしたペンライトを揺らし、彼女と想いを結びあっていた。

　アンコールでTシャツ姿になったRuuは、感謝の気持ちを胸に、ふたたび『ありがとう』を。しかも背景にMVを映しながら歌ってくれた。言葉の一つ一つに深い想いを込めながら、Ruuはありがとうの思いを温かい喜びの歌声にして届けていた。フロアでは、彼女の歌声にあわせて手や赤いライトを揺らす景色が広がりだす。ほんと、心と心が繋がりあった、互いに「ありがとう」の思いを送りあった景色が、そこには生まれていた。

　最後に、『ありがとう』のMVを、Ruuも交えながら「鑑賞会」として上映。その映像には、今後のRuuの新たな展開を記した情報も映し出されていた。その演出が心憎いじゃない。
  上映後、Ruuはファンたちを前にして改めて感謝の気持ちを述べていた。これからも新たな展開を描きだすRuuの、今後の歩む道に期待をしていてほしい。

「わたしの歌を待っててくださるみんながいるからこそ頑張れました。大きなステージに立ちたいので、これからもよろしくね」

PHOTO:永井秀和
TEXT:長澤智典