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錦織めぐみインタビュー「こんな時だからこそ皆さんに寄り添いたいと思い、作りました。」
元「Luce Twinkle Wink」、卒業後は舞台女優として活動し、今年2月、所属をしていたArcJewel退所しフリーとなった錦織めぐみ。なぜフリーの道を選んだのか、なぜ今このタイミングでCDを出すのか、そのCDに込められたたくさんの想いインタビューした!
ーーまずアイドルになったきっかけを教えてもらえますか
錦織めぐみ(以下、錦織): アイドルになったきっかけは、私、元々ダンスが大好きで「踊ることが好きだな」と思っていました。
ちょうど某夢の国でダンサーをやっていた時に、たまたまなんですけど、昔の事務所のマネージャーに「こういうアイドルグループがあるんだけどやってみない?」というふうに誘われ、そこから「歌って踊れる仕事」があるということに気づき、歌うことも前から好きだったので、歌って踊れるのってアイドルしかないなと考え、「やってみたいな」と思ったのがきっかけです。
ーーすごい!某夢の国は、ダンサーさんが目指す場所じゃないですか。
錦織: 私は学生の夏休み時期だけでしたが、何千万という応募が来てたみたいです。
ーーなるほど。
錦織: で、縁があってArcJewelに所属しました。
ーーそこから、「愛乙女★DOLL研究生」から「Luce Twinkle Wink」へと続くわけですね。「Luce Twinkle Wink」を卒業されたのは、昨年でしたっけ?
錦織: 2019年1月なのでもう1年ちょっと経ちますね。
ーーその後、ソロになってからというのは主にどういう活動をされてたんですか?
錦織: 主に舞台女優をやっていました。いわゆる2.5次元舞台で、プロジェクト東京ドールズという2.5次元系の舞台があったんですけど、それをキッカケに、ファンタジー的な舞台が多いですね。
ーーそこからはコンスタントに舞台に出られているのですか?
錦織: この1年は舞台女優、月1本はやってました。
ーー舞台は、いわゆるストレートプレーが多いんですか? それともミュージカルっぽいのが多い。
錦織: もちろんミュージカルの、歌って踊るものが主なんですけど、ストレートのものも何個かありました。でもほとんど歌って踊ってます。
ーーそれは今までのアイドルとして歌って踊るが活かされますね。
錦織: そうですね!楽しいです!!
ーー舞台に立ってお芝居がしたいという気持ちがあって舞台のオーディションとかを受けたのですか?
錦織: はい。アイドルの頃にアリスインプロジェクトさんの『魔銃ドナー』という作品のオファーが頂きまして、歌って踊って、さらに銃の殺陣があったんです。そこで殺陣、面白いなと思って、舞台また踏んでみたいという思いかがきっかけです。
ーーでも月1本ペースは、ほぼ休みなくですよね。
錦織: でも自分のペースで舞台もやらせていただいて、サポートしてくださる方たちもいっぱいいるので、すごく楽しく舞台をやらせていただいております。
ーー舞台は楽しいですか?
錦織: やっぱり歌って踊ることはこの10年間ぐらいやってきたことですが、セリフを覚えるのは苦労しました。歌詞と違ってやっぱり出てこないものなんだなと苦戦したんですけど、2019年12月に立った舞台で、1ページ、2ページくらいの説明文の長セリフがあったんです。そこを乗り越えてからは「セリフ出てこなかったらどうしよう」っていう不安がなくなり、自由にお芝居できるようになったので、「一皮むけたね」ってファンの方からも言われたのですごく嬉しかったです。
ーーファンの方から見ても何か変化があったということですね。
錦織: そうですね。やっぱり同じ出演者の方たちがすごく優しかったのと、演出家さんも優しかったです。そのご縁もあり今回Bタイプの『Dream♡Seeker』の歌詞を演出家さんに書いていただきました。
ーーなるほど。そして今年の2月に事務所を退所されることになるんですけど。
錦織: はい。次のステップへということで、円満退所しました。
ーー具体的にどういう思いで「事務所を辞めよう」と思ったんですか?
錦織: 「Luce Twinkle Wink」というグループは私にとってすごく大事な居場所でした。もう「Luce Twinkle Wink」にずっと尽くしてきたので、「Luce Twinkle Wink」以外のアイドルはしないと決めてずっと活動してきたんです。体調不良も重なって「Luce Twinkle Wink」を卒業しましたが、ArcJewelはアイドル事務所なのでもっともっとマルチに活動したいなと考えた時にフリーになって、自分でお仕事を取ってくる大変さとかCDを作る大変さとかっていうのを自分で学んでいきたいなと思い、フリーになる決意をしました。
ーー今回のソロビューは、アーティストデビューと銘打たれていますが
錦織: そうですね。アイドルは、今でも大好きなので、アイドル曲もこれから歌っていきたいし、邦楽、洋楽もジャンル問わずに活動していくのが今のメインになってますので、人から見ればアイドルという形になるんでしょうか。
ーーアイドルとして見られることには抵抗はありますか?
錦織: 全然。むしろ見ていただけるならありがたいなという気持ちでいっぱいです。
ーーただ、今回は「錦織めぐみアーティストデビュー」ということですね。でも見た目がすごい可愛らしいから、やっぱり歌って踊ると皆さん、アイドルとして応援したくなる方が多いんじゃないですか。
錦織: そうですね。グループは離れましたけど、ソロアイドルとしてまだまだ応援してくださる方もいるので、そこに抵抗は一切ないです。
ーー早速、今回のデビュー曲を聞かせてもらいましたが、歌い方や声にこだわりはありますか?
錦織: 小さい頃から歌手にあこがれていて、自分でテープに録って、自分の歌を聞いたんです。そしたらやっぱり普段、自分が聞いてる自分の声と録音した自分の声って全然違うじゃないですか。それにすごく驚愕というかショックを受けて。自分の声に自信がなかったんです。
最初は全く自分の声に自信がなかったんですけど、この声を生かしたいなという気持ちもあって、アイドルとか声優の世界というのは声も特徴的、それが個性になるんだということに気付いて、克服できました。
ーーじゃあアイドル活動をする前は、コンプレックスでしたか?
錦織: はい。
ーーでも、アイドルになるべくしてなった声ですよね。
錦織: いえいえ、とんでもないです。
ーー歌ってる時の声がアイドルというか、アニソン歌手っぽい印象でした。
錦織: ありがとうございます。ソロでCDを出すことも、もちろん夢でしたし、これからも声優さんとしても、アニソンアーティストとしても頑張っていこうと思っていますので、そう言ってもらえるのはすごく嬉しいです。
ーーじゃあ機会があれば、声をあてるお仕事も引き続きやりたいと。
錦織: そうですね、機会があればというかもうガンガンやりたいです。アニメが大好きなので、今すぐにでもやりたいです(笑)
アニソンも「Luce Twinkle Wink」で歌っていましたし、声優もゲームですがやらせていただいているので、来年、再来年と、もっともっと広げていけたらいいなと。
ーーでは、ソロデビューをこのタイミングにしたのは何か理由があるんですか?
錦織: このコロナ禍の中で、CDの発売延期になってるところもたくさんあり、その中で様々なお仕事の方が頑張ってる中、ファンの方の中にも医療従事者の方や介護士さんやいろいろなご職業で頑張ってる人たちがいて、私たちの生活を体を張って支えてるというのに気づいて、離れていても届けることが私にできるツールというのは声だな歌だなと直観的に思って、体が勝手に動いていました。
だからそういう厳しかったり辛かったりする時に、何回も何回も音楽に助けられてきたので、私も皆さんの気持ちに寄り添いたいなという想いで作りました。
ーー自ら動いて、ということはセルフプロデュースに近いんですか?
錦織: そうです。セルフプロデュースで。そこに作詞の方だったりが「今こういう状況だから表現者としてめめたんの力になれれば」というふうになって、『プラスチック・アラーム』を一緒に作ってくださる衣装さんだったりディレクターさんだったりとかが集まってジャケット撮ったりとか、どういう段取りでお渡し会するとか、いろいろ考えていくうちに、こういう楽しさを一日一日踏みしめて生きている人たちに届けたいなって思ったので、やっぱり元気になってもらうために今回は作りました。
ーーすごい素敵な思いですね。衣装のお話出ましたけど、この衣装のこだわりはどこういうところですか?
錦織: 実は、この生地は、私がこの柄を選んで、衣装さんに送って作ってもらいました。私は服飾の学校に通っていたので、デザインして衣装さん相談しながら、こだわって良いところをかき集めて作りました。色をブルーにしたもの、安らぎを感じる色にしたかったので、この色を選びました。
ーーご自身でデザインされたんですね!!すごい!
錦織: 全体のラフ画をデザインして、細かいデザインは衣装さんにまかせしました。
ーーBタイプの方は黄色い衣装も新しく作ったのですか?
錦織: Bタイプの衣装は、去年、2019年のバースデーイベントで着たもので、当時は舞台をやっていたのでなかなかライブに出演する回数も多くなく、なかなか日の目を見ない衣装でもあったのと、『Dream♡Seeker』にすごく合っているアイドルっぽい衣装だという理由で採用しました。これも私がラフ画を描いて、衣装さんに「髪飾りは猫耳付けてフワフワにしたいんです」という風にオーダーして作ってもらいました。ちなみにこの黄色系のチェックの布は、1から作ってくださったんです!
ーー続いて曲のお話を。3曲聞いた時の印象は、「すごいライブ映えしそうだな」という印象がしました。
錦織: ありがとうございます。私、「Luce Twinkle Wink」の時、小悪魔という設定じゃないですけど立ち位置で、「小悪魔」とキャッチコピーもなってたので、その小悪魔要素を『プラスチック・アラーム』の前奏とかに入れました。
バンドの構成で、ポイントになるところにコールを入れやすいところを作ったり、「ライブ感を出したいです」とハモりをつけて、「掛け声もかけられるようにアップテンポで」という指示もして、作っていただきました。
ーー3曲ともタイプが全然違いますよね。
錦織: 『プラスチック・アラーム』はスルスルと歌詞も書けて、恋愛の曲に思えるんですけど、「ファンの人のことを思って書いたのにけっこう恋愛っぽい歌詞になったね」って周りから言われて、「じゃあファンが恋人ということで」という感じで作らせていただいて、あとは1番のBメロの「熱帯魚とチューリップの恋愛」というフレーズがあるんですけど、これは映画の『脳内ポイズンベリー』という映画から取っていまして、ほんとに私がこの状況にいて訴えたいことというか、何が本物なのかとか、矛盾とかいろんな、熱帯魚とチューリップは一緒にいたら絶対に相反するものというか、熱帯魚は水がないと生きていけないし、チューリップは太陽がないと生きていけないみたいなことを書きたくて、矛盾なのにどうして肯定された世界で共存できてるのかみたいな大きいテーマもあったり。だからこそ「笑った君、待ち受ける未来」とか「一緒に、一緒に」とか、いろんな立場の人がいて、私は歌うことの道とはまた違うOLとかになってたら会えなかった世界線があったかもしれないのに、今こうやって会えたから一緒に何度でも歌おうねという気持ちを込めてファンの人に向けて書いた曲です。
ーー『Space War』に関しては曲まで書かれてるんですね。
錦織: そうなんです。でも8年ぐらい前に作曲したものなので、「Luce Twinkle Wink」の定期公演でも何回か歌わせてもらっていた曲で、やっとCD化します。ファンもきっと喜んでくれると思っています。
ーーじゃあ、元々歌ってきた曲をCDに入れることになったんですね。
錦織: もう8年ぐらい前なんですが、この頃からソロ曲でCDを出したいなという願望はあったので、みんなと相談して入れさせていただきました。
曲も特にリアレンジもせず当時からのままです。ただインストしかできてない状態だったで、レコーディングは2020年のこの前、収録3曲いっぺんにした時に収録しました。
ーーなるほど。
錦織: ただ、ハモりだけは、8年前の私の声にしたいと思って、ハモりだけ残してボーカルは2020年の私の声で録りました。ちょっと時を超えた感じの、8年前の私と2020年の私がいっぺんに聞けるような形にしたいなと思って作りました。
ーー『Space War』の作詞作曲はどういう思いで、書かれたのですか?
錦織: これは完全に恋愛の曲で、アニメ世界でのオープニングくらいかなという感じの壮大なイメージです。宇宙で戦わないといけない男の子と女の子の恋愛の歌になっていて、どっちかがいないとだめですし、どっちかしかいなくてもだめみたいな曲を作りたくて作詞をしてます。初めて作詞したので1番のサビと2番のサビが同じなんです。なので、そこもちょっと素人感あるなというふうに今は思って、書き直そうかなと思ったんですけど、あえて同じにしました。
ーータイムカプセルみたいな感じですね。
錦織: まだ、初々しい私を残しておこうと思って。
ーー曲も、この時初めて作ったんですか?
錦織: そうですね、曲もこの時初めて作って。今イギリスに行っちゃったお友達に手伝って作ってもらった曲なんです。
私がピアノ弾いて主線を考えて、編曲はその子にやってもらってという形で作りました。
ーー多才ですね。
錦織: 今、錦織めぐみとしてマルチに活動した時の自分がいろんな楽しさを見つけて幸せになるのがすごく嬉しいなと感じたんです。なので、自分でできることは全部自分でしたい。でもたまに頼ることを忘れちゃうとキャパオーバーになっちゃうんですけど。バランスかなと思いながら表現者としてやっていきたいなと思ってます。
ーー続いて『Dream♡Seeker』、これは打って変わってもうザ・アイドル曲という感じですね。
錦織: 私が書けないようなすごく甘い歌詞を書いて欲しいと思って、舞台演出家に吉田武寛さんに書いてもらっいました。小悪魔的な関係とか、短編映画の『堕ちる』に出演したのですが、「堕ちていきましょう」とかそういうところをピックアップしてくれたり、私の好きな猫とか星とか、夢かわいい感じの歌詞に仕上げてもらいました。歌は、声作りから始まって、『Space War』と『プラスチック・アラーム』はけっこうガンガンに攻めてる声だったので、アニメ声といいますか、ちょっとデフォルメした声で録理たくて、作曲のhoto-Dさんと吉田武寛さんに「かわいい6割ですか?」「錦織4割ですか?」とかいろいろ試してワンコーラス歌ってみて、割合をちゃんと決めてから収録したので、すごく甘くはあるんですけど甘ったるくなく、さわやかにも歌い上げるのを念頭に置きました。それがCDに収まっているので、お気に入りの曲になってます。
ーー作詞は、どのような経緯でオファーをされたんですか?
錦織: 私が2019年12月に『純血の女王』という舞台に出させていただいて、その舞台の曲中歌の作曲の方と作詞の方のマッチがすごくて、いつかオファーしたいと決めてました。これも不思議な話なんですけど、Twitterに「誰かいい作曲家さんいないかな」ってつぶやいたら、吉田さんにオファーする前に吉田さんから「こういう作曲家さんがいるんだけど」っていうふうに連絡がきて。「私が作詞をお願いしたいってつぶやいてたの吉田さんなんですよ」っと、オファーに至りました。
ーー具体的なオーダーは、どのような内容だったんですか。
錦織: 「ファンの人に会いに行きたい」「君が大好きな私がここにいるよ」とサビで寄り添えるものにしたい内容でお願いをしました。歌詞も曲も非の打ち所がなくて、hoto-Dさんもそこにメロディーとかシャラランというエフェクトとかもかけてくださって、2人のタッグが完璧すぎてプロとプロの仕事を見ました。
ーーこの曲こそ早くライブで聞きたいです。
錦織: そうですね、これはもうライブで盛り上がる曲なので、セットリストの最初でも最後でもいける曲。どっちにも使えるまだまだ未知数な曲なので、歌ってどんどん成長させていければもっともっと盛り上がる曲になるんじゃないかなと思ってます。
ーーありがとうございます。今後は、音楽活動も増えていくのですか?
錦織: そうですね。っぱ定期的に会える機会が舞台しかないので、アイドルというよりかはダンスボーカルユニットとかでやりたいなとは思っています。定期的にみんなに会いたいなという計画を頭に巡らせている最中です。
ーー最後に、ファンの皆様にメッセージをお願いします。
錦織: いつも応援ありがとうございます。この度、夢に描いていたファーストシングル、ソロデビュー『プラスチック・アラーム』が7月5日に発売になりました!!
ほんとにほんとに自分の手で1から作って、みんなの心に寂しい思いとか辛い思いとかしてる人たちに寄り添って、通勤電車とかで『Dream♡Seeker』を聞いたり『プラスチック・アラーム』を夜眠れない時に聞いたりとかして、元気を充電して、またライブ会場で「発売おめでとう」って言ってくれるのが何よりの誕生日プレゼントになりますので、それまではお家時間を楽しんでいただけたらいいなと思っております。CDをお迎えしてあげてください!!
<インフォメーション>
1stシングル『プラスチック・アラーム』
2020年7月5日(日)発売
各1,500円(税込)
Aタイプ版
『プラスチック・アラーム』/『Space War』
Bタイプ版
『プラスチック・アラーム』/『Dream♡Seeker』
『プラスチック・アラーム』
作詞:錦織めぐみ 作編曲:hoto-D
『Space War』
作詞作曲:錦織めぐみ 編曲:hoto-D
『Dream♡Seeker』
作詞:吉田武寛(LIPS*S / ILLUMINUS)
作編曲:hoto-D
公式Twitter
https://twitter.com/memetan_0705
取材・文・写真:もりたはぢめ