FEATURE

2022.05.06
まちだ・ガールズクワイア

まちだ・ガールズクワイア、オリオン座の星のように輝くワンマンライブを決行。「14曲の音楽、メンバー7人、そして私たちとみなさんの汗、涙、それらが全て輝く星でした」

2022年4月13日SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにてまちだガールズ・クワイアのワンマンライブがおこなわれた。
会場に入ると、彼女たちの衣装、歌声、ダンス、ステージ演出、全てが調和してあたらしい宇宙空間が形成されたような、言葉では言い表せない、美しいステージが作り上げられていた。まるで宇宙空間のどこか暖かいところにいるような、そんな心地よい空間をファンとともに共有できた。唯一無二の時間をここにレポートする。


待ち侘びていた開演時間、開場が真っ暗になり、ステージに一人の踊り子が登場する。彼女は月のような球体を持って、軽やかにステップを踏みながらダンスを披露した。彼女に続いて次々と踊り子が飛び出して、それぞれが立ち位置につく。ブラックホールやなにか得体の知れない宇宙空間にいるような壮大な音楽が聞こえてくる。踊り子が七人揃うと、ピアノの音が響いた。
それを合図に最初に歌い出したのは、さきこ。いよいよまちだガールズ・クワイアのコンサートが開演するのだ。子どもの頃に好きだった童謡のような優しいメロディーが響いて、メンバーたちの透明感あふれる声が調和する。一曲目に披露されたのは「星めぐりの歌」だった。

続いて登場したのは「プラネタリウムのある町で」。さっきまで真っ暗だった会場に光が燦々と降り注ぐ。ステージにいたメンバーたちの姿もはっきり見えた。彼女たちはフリルのついた濃紺のAラインワンピースを着て登場した。
もえかが伸びやかな歌声で会場を魅了する。明るく乙女チックながらも大人びた印象を感じさせる、どこか懐かしい楽曲だ。プラネタリウムのある町に、期待を膨らませる、女の子の素直で純粋な心の動きを、メンバーたちが感情豊かな歌声で表現していた。

次に歌うのは「星空のシンセサイザー」。黄緑と青色のライトがステージを照らす。サビでは会場全体をカラフルなレーザーライトで照らし出して、まるでディスコのような空間ができあがった。サビのキャッチーな振り付けを振りコピしてサイリウムをゆらゆらと振るファンの姿もあった。
「プラネタリウムのある町で」よりも軽やかでポップなメロディーに合わせ、メンバーたちの歌声も様変わりする。楽曲によって表情を変える表現力の豊かさは、まちだガールズ・クワイアの魅力の一つだろう。

4曲目は「銀河ステーション」。これまでの軽やかで穏やかなメロディからベースギターが轟くロックテイストが入ったサウンドが響く。会場も自分たちの盛り上がりを彼女たちに伝えるようにクラップを届けていた。儚さのなかに、意志の強さが通った歌声がひびく。
ステージが真っ赤に照らされて、輪になったメンバーたちがその手を床へと伸ばし、花をさかせるように怪しげに踊る姿は、一度見たら忘れられないだろう。美しさのなかに、痛みを表現するような、人が抱えている切実さがそこに描かれたようだった。

次に歌うのは「ひとつぼしポラリス」。彼女たちは、大人びた包容力を感じさせる伸びやかな歌声で夜のおだやかな時間を表現していた。彼女たちの柔らかで暖かい歌声は、夢の中で空を旅しているようなそんな気分にさせてくれる。
えりかの歌声が会場を包み込むと、世界観がぐるりと変わった。メインボーカルが誰になるかで楽曲の雰囲気も世界観も変えてしまえるのは、それだけ彼女たちが個性豊かであることの表れなのだろう。

「Voice In Space」は、夜空を一人膝を抱えて眺めているような、そんな情景が浮かんでくる。のぞみ、ほのかのソプラノコーラスが美しく響く。儚い歌声が楽曲の切なさをより緻密に描いていた。コーラスとメインボーカルの複雑な掛け合いを披露するメンバーたちの息のあったパフォーマンスから、彼女たちの信頼関係も見えてきた。

次に歌われたのはもえかのソロパートから始まった「セブンスターズ」。疾走感のある爽快なナンバーだ。「セブンスターズ 泣いてもいいさ 前に進むために」を凛とした歌声で歌う。悲しみも苦しみもどんとこい、と言わんばかりのメンバーの心の強さが表れているようだった。
笑顔いっぱいで踊るメンバーたち。間奏では爽やかな楽曲に合わせた軽やかなステップで、楽しげな雰囲気をダンスでも表現する、歌唱力だけではなく、体全部を使って音楽を表現するまちだガールズ・クワイアならではのパフォーマンスが魅力的だ。

後半へ向かうコンバージョンタイムにはステージ後方に青と白の星々が輝いて、12弦ギターの音が響く。誰もいないはずの舞台の上でさえ、なにか物語が進んでいるようなそんな気になった。

いよいよ後半戦。メンバーたちはオレンジを基調としたワンピースに、羽衣のような装飾が施された衣装に着替えて登場した。その衣装はエキゾチックな雰囲気も感じるし、近未来的な衣装にも見える。その掴み所のなさがむしろ、彼女たちの深みある世界観を表現する衣装としてぴったりなように思えた。
後半一曲目は盛り上がること間違いなしの「Moon base」。彼女たちの透き通るような声がリズム良く空気をはねるように反響するのが心地よい。自然と体がリズムに合わせて揺れている。会場にいたファンも、クラップを響かせて音楽との同調を楽しんでいた。

続けて歌うのは「遊星少女マチルガ」。愛と正義で地球を守る、宇宙の妖精マチルガの歌。鳥の鳴き声のように、騒がしく鳴り響く笛の音と彼女たちの声が調和して、そそっかしいながらも、愛情と優しさに溢れたマチルガの心の奥深さが描かれているようだった。

次に歌ったのは「星ノ栞」。がらりと空気を変え、落ち着いた赤いライトが彼女たちを照らし出す。アンニュイながら、決意に溢れた、心の複雑さを、優しく描き出す。彼女たちのしなやかで、儚い歌声が女の子の心の柔らかい部分をそのまま映し出しているようだった。

低音のビートが心臓を打つ「ブラックホールと太陽」でまた会場の空気をがらりと変える。めまぐるしく回るビームライトとメンバーたちの幾何学的な動き。見えているものが次々に変わりゆくことを表現しているような、変幻自在なダンスだった。スピード感あふれる複雑なダンスは、見ているこちらのほうが目を回してしまいそうになる。その不思議な感覚がまた心地よく感じた。

のぞみのソロパートでスタートした「宇宙のしがらみ」。激しいダンスのなかでも彼女たちの歌声は強さを変えない。凛とした響きを持ちながらも、歌声それ自体が音符の形になって飛び跳ねているような楽しさを感じさせる。

「くじら座のミラ」は、えりかともえかのハーモニーで始まった。それぞれの歌声が主役として輝き、歌声が重なる美しさがあるように思えた。それぞれが信頼し合っているからこそ全力をぶつけられるそんな絆さえ感じられた。

13曲を歌い終え、残すところ一曲となったタイミングで、メンバーがファンに語りかけた。えりかは「本日はお越しいただき本当にありがとうございます。この2年間いろんなことが起こるなか、どのように音楽を届けるべきかメンバーと話し合い、悩み、私たちなりに、いろいろと考えてきた結果、今回のアルバム「オリオン座流星群」を作成するに至りました。今は、応援してもらうのではなく、みなさんに音楽を届けるタイミングだと思ったのです。
リリースしたときは、どんな反応がくるんだろうと不安になったこともありましたが、いざリリースしてみるとみなさんに喜んで聞いてもらえて、本当に嬉しいです」と述べた。

最後の曲は「オリオンのベルト」。イントロでは煌びやかで軽快な音が流れ星のように響く。メンバーたちは最初から全ての力を出し切るように、全力を尽くして歌っていた。メンバーたちは、歌えることの喜び、ファンがこうして会いにきてくれたことの喜び、それら全ての感情で自然とこぼれるような柔らかな笑顔を見せてくれた。
夜空の星を見上げるように天を仰ぐ彼女たちの姿を最後に、ステージが暗転する。あのとき会場にいた人々はきっと誰もが、神秘的なものを見た感覚に陥っていたに違いない。

14曲を歌い終え、あらためてステージにメンバーが登場すると、もえかが今回のライブのタイトルに込めた意味について語る。「オリオン座流星群のタイトルに込めた意味は、14曲の音楽という星、メンバー7人という星を意味しています。そして今日ここで見た私たちとみなさんの汗、涙、それらが全て輝く星でした」。
また、今回のライブにさきがけて販売されるアルバム「オリオン座流星群」については、「このアルバムは1枚を通して聞いたときに、充実した気持ちになってもらえるものになっているんじゃないかと思っています。今日のステージでもみなさんがそんな気持ちになってもらえていたら嬉しいです。流星群観測は刹那的ですが、心に残る思い出になります。今日のステージもみなさんの心に残ってくれたら嬉しいです」と語り、会場からは盛大な拍手が送られた。

最後は全員が拍手を送られるなか、会場のファンに手を振り、ありがとうございましたと深くお辞儀をして名残惜しそうに去っていった。
真っ暗な会場にまた夜空の星が煌めいている。会場のファンは感謝の気持ちとまだこのステージを離れたくない思いで、この素敵な時間をつくりあげてくれた、まちだガールズ・クワイアに大きな拍手をいつまでも送り続けていた。

PHOTO:ヨコタヤスヒコ
TEXT:高橋未瑠来


LIVE


<セットリスト>

「星めぐりの歌」
「プラネタリウムのある町で」
「星空のシンセサイザー」
「銀河ステーション」
「ひとつぼしポラリス」
「Voice In Space」
「セブンスターズ」
「Moon base」
「遊星少女マチルガ」
「星ノ栞」
「ブラックホールと太陽」
「宇宙のしがらみ」
「くじら座のミラ」
「オリオンのベルト」


<ワンマンライブ収録配信>
本レポートのワンマンライブの模様が収録配信でご覧になれます。
町ガ 銀河進出への道 Ep.3〜オリオン座流星群観測〜
▶︎https://www.mahoroza.jp/220430orion
【配信チケット】2000円(~5/15(日)21:00まで)
イープラス Streaming+(アーカイブは~5/15(日)23:59まで)
▶︎https://eplus.jp/sf/detail/3619900001-P0030001


<音源情報>
まちだガールズ・クワイアのオリジナルセカンドアルバム「オリオン座流星群」
2022年1月26日リリース
コンセプトは宇宙・星。
コロナ禍でライブ活動が制限されているなか、メンバーとプロデューサーの石田ショーキチPが全力で取り組み、つくりあげたトータルコンセプトアルバム。


<ライブ情報>
2022年7月
「オリオンのベルト」
都心での主催ライブ開催
参加ユニット:まちだガールズ・クワイアを含む3組
場所:渋谷Star lounge
その他詳細:公式HPと公式Twitterにて追って発表


<まちだガールズ・クワイア プロフィール>
まちだガールズ・クワイアは、東京都町田市を拠点に活動するアイドルグループ。メンバーをアルト、ソプラノ、メゾソプラノの三部編成のパートに分け、ライヴではコーラスも全て生歌で披露する。略称は町ガ、MGC。
 

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