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2021.08.24
吉咲みゆ/ピュアリーモンスター

吉咲みゆ(ピュアリーモンスター)の音楽的なルーツも見えてきた、初のアコースティックソロライブの模様をレポート!

  ピュアリーモンスターのメンバーとして活動中の吉咲みゆが、初のソロライブ「吉咲みゆ 1stアコースティックLIVE「はじめまして」を、8月22日(日)に西川口Live House Heartsを舞台に行ないました。ピアノ演奏でPitariがサポート。この日は、「お洋服、ハンカチ、ネクタイ、アクセサリーなど、どこか一部に「オレンジ色」が入っているアイテムをご着用、ご持参くださいませ」とドレスコードを用いて行なわれました。当日の模様を、ここにお伝えします。


 先に配信ライブを見ている人たちに向け、吉咲みゆが楽屋で本番へ向けての意気込みを語りだす映像が流された。吉咲みゆ自身は見ている人たちへ向けてしゃべりかけているが、側でスタッフさんたちが本番へ向けての準備を行なう姿がそのまま映し出されてゆく。そのリアルさがむしろ、普段は覗けない本番前の楽屋風景を覗き見できたようで嬉しかった。

 ライブは、Pitariの奏でる優しいピアノの調べへ導かれるように、胸に手を当てた吉咲みゆが、supercellの「君の知らない物語」を歌いだして幕を開けた。歌詞の一節一節をしっかり噛みしめるように、その想いを自分の気持ちの中へ染み渡らせるように歌う姿が印象的だ。カバーという形を取ってはいるが、楽曲と気持ちを同化させながら歌う姿は、みずからが語り部となって想いを歌い紡ぐようにも見えていた。歌はその人の心を映し出すという。澄み渡る歌声は…その美しく優しい声の響きは、彼女自身の心を映し出したよう。この日の吉咲みゆの歌声やパフォーマンスには、大好きな歌を思う存分楽しもうというピュアな輝きが満ちていた。ときにピッチのずれた歌声も含め、汚れなき姿で歌う彼女の等身大な様に、見ている側の人たちは心の視線を温かく向けていた。

  MCでは、「緊張してきて出てきたのに、お客さんの表情がわたしより緊張していたことから、逆にリラックスすることができた」と語っていた。

  次のブロックで披露したのが、ピュアリーモンスターの曲たち。先に披露したのが「瞬感リスグラシュ」。オリジナルでは次第に駆けだしてゆく明るく弾けた楽曲を、この日はピアノ演奏のみを背景に歌う理由もあり、バラード調にアレンジ。高まる気持ちのままに、でも、いつも以上にテンポをグッと落とした演奏を背にして情感たっぷりに歌うことで、楽曲が持つ情緒をより深く感じられた。そう導いた吉咲みゆの表現力もあってとはいえ、アレンジが異なることで、改めて楽曲の魅力を違う角度から味わえたのも嬉しかったこと。でも、彼女が「瞬感リスグラシュ」とタイトルを口にしたとたん、テンポが一気にアップ。そこからは、軽快さとしっとりとした表情、その二つを巧みに交えながら、とてもドラマチックな様相を持って「瞬感リスグラシュ」を届けてくれた。ピアノ演奏のみを背景にしているように、吉咲みゆ自身の感情豊かな歌声の魅力をたっぷりと味わえたことが、何より一番の喜びだった。
  軽やかに弾みだしたピアノの音色に跳ねた気持ちを重ね合わせるように歌ったのが、「Over the Future」。原曲の持つ駆け上がる疾走性を活かしながらも、シンプルな編成だからこそ、歌声で勢いを出すのではなく馳せる気持ちを歌声に投影することで、原曲と同じよう心に翼を授け、羽ばたくような開放感を吉咲みゆは与えてくれた。シンプルだからこそ、ちょっとした粗も見えてくるが、それも含めて吉咲みゆの歌声の魅力そのものを味わえていることが、とても嬉しい。

 次に吉咲みゆが披露したのが、「わたしの人生の中で一番心にじんわりと捉えられた、温かくずっと残っている曲」として選んだ、秦基博の「ひまわりの約束」。この日のカバー曲にアニソンが多いのも、彼女自身のルーツが見えてくるようで興味深い。吉咲みゆは「ひまわりの約束」でも、テンポをぐっと落としたゆったりした演奏の上で、言葉のひと言ひと言を大切に伝えるよう、透き通るような美しく優しい声で歌っていた。気持ちが込み上がるたびに、胸にグッと手を当てたり、両手でハンドマイクを握りしめ歌う。その仕種にも、見ていて胸がキュッと鳴っていた。

 「こんなご時世ですけど、心はずっと離れずにいたいなと思います。これからの吉咲の成長を見守ってくれたら、こんな嬉しいことはないです」の言葉に続き、次のブロックでは、吉咲みゆがアコースティックギターを手に、ギターとピアノの演奏という形で曲たちを披露。最初に届けたのが、Mrs. GREEN APPLEの「青と夏」。意外性を持った楽曲の登場だ。原曲は晴れ渡る景色を目の前に映し出す、疾走する力強い楽曲。夏の青春という心の景色を映し出す歌詞も印象深い曲を、吉咲みゆはゆったりとしたバラードスタイルに変え、まるで詩を朗読するような感覚で歌っていた。途中からアコギも演奏しだすのに合わせ、少しテンポを上げ、青い夏の青春という風景の中へみずからの気持ちを飛び込ませ、歌っていた。曲が進むごと歌声に熱を覚えていたのは、彼女自身の気持ちが高まっていたからか…。

  最後に吉咲みゆが歌ったのが、『僕のヒーローアカデミア』4期「文化祭編」EDテーマとして流れていた緑黄色社会の「Shout Baby」。原曲と同じように、馳せる気持ちのまま言葉を吐き出すように歌えば、ストロークしたアコギの演奏にも力が漲ってゆく。吉咲みゆは、この楽曲が持つ感情的かつ抑揚を持った歌の世界へ気持ちを没入しながら歌っていた。アニソンを、自分の味に変えて歌うことを楽しんでいたと言えば良いだろうか。ただただ沸き立つ気持ちのままに、素直に想いを、歌声を解き放っていた。

 「みんなに楽しんでもらうためには、わたしの引き出しを全部出さなきゃ駄目だな」という想いから、アンコールで吉咲みゆが披露したのが、ピアノの弾き語り。選んだ楽曲が、奥華子の「変わらないもの」。先にも語ったように、アニソンに人生を支えられてきた吉咲みゆのルーツが見えてくる選曲だ。加えて、この曲を選んだ背景には、12年間共に暮らしてきた愛犬との別れ。その悲しさを超えた先に感じた想いを投影して選んだことも語ってくれた。原曲へ忠実に…いや、彼女自身が愛犬へはもちろん、彼女自身の人生の中で出会った大切な人たちとの想いや想い出を巡るように歌っていた。以前からピアノを弾いていたように、心と指先と歌声が一つに繋がりながら、いろんな想いを優しく包み込むように歌う姿に、ずっと包まれていたかった。

  正直、あっと言う間の時間だった。でも、吉咲みゆの始まりの風景に触れられたことが素直に嬉しかった。次、どんな姿をライブで見せてくれるのかを楽しみに待っていたい。


PHOTO:Stand-Up! Records
TEXT:長澤智典

 

LIVE

 

セットリスト
「君の知らない物語」(supercell)
「瞬感リスグラシュ」(ピュアリーモンスター)
「Over the Future」(ピュアリーモンスター)
「ひまわりの約束」(秦基博)
「青と夏」(Mrs. GREEN APPLE)
「Shout Baby」(緑黄色社会)
-ENCORE-
「変わらないもの」(奥華子)

 


[リリース情報]
5thシングル「Wake up to a Brand new day」
2021年10月12日リリース


【リリースイベント】
http://stand-up-project.jp/purelymonster/discography/

[ライブ情報]
ピュアリーモンスター ワンマンライブ
〜石飛恵里花・柳木みり 卒業公演〜
【日程】2021年11月3日(祝水)
【会場】品川インターシティホール
【時間】15:30開場/16:00開演
【チケット】
https://standup.zaiko.io/_item/342418

 

[メディア情報]
・MIRAI系アイドルTV
TOKYO MX 毎週水曜26:05〜、他

吉咲みゆ オフィシャルプロフィール
https://holypeak.com/talent/voice-actor-women/miyuyoshizaki/

 

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