FEATURE

2021.08.18
未完成リップスパークル(ミリスパ)

未完成リップスパークル ライブレポート

未完成リップスパークルのメンバーが選んだ「アイドルとして生きる選択」。その姿を投影したワンマン公演の模様をレポート!!!
  
 未完成リップスパークルが、8月15日(日)に横浜MMブロンテを舞台に、プチワンマン公演「未完成リップスパークル LIVE2021-ぼくたちの選択-」を行なった。そのときの模様を、ここにライブレポートとしてお届けしよう。


 メンバーのプライベートな姿を数多く映し出したオープニング映像を受け、新穂純麗・雪梨冴愛・七瀬美優の3人が舞台へ登場。冒頭を飾ったのが、ライブ空間に熱狂と興奮の景色を作りあげる「私信津々恋愛CHU」だ。メンバーとフロア中の人たちが大きく両手を振り上げ、最初から思いきりはしゃぎだす。いつもは後半に持ってくる楽曲を、1曲目にセット。観客たちも最初から身体を大きく揺らし、手にしたサイリウムや掌を突きあげてゆく。新穂純麗の「JUMP!!」の煽りを受け、場内中の人たちが飛び跳ねた光景は圧巻だ。雪梨冴愛の胸をキュンとさせるセリフも堪らない。後半でも、新穂純麗の熱い煽りを受け、フロア中の人たちが、最初からテンションをMAXまで上げる勢いで楽しんでいた。
  続く「ニンジン」では、愛らしい様を示しながらも、気持ちを騒がせる楽曲に乗せ、この空間へ「楽しい」という夢中になれる空気を3人は次々と送り込む。舞台の上ではしゃぐメンバーらへエールを送るようにフロア中から響き渡る熱いクラップ。メンバー人一人に思いを捧げるように伸びる無数の手や、楽しげに飛び跳ね続ける人たちの姿も、メンバーと同じように輝いて見えていた。

 

 「本日が2年ぶりのワンマンライブになります」と新穂純麗も語っていたように、ようやくワンマン公演を行なえることに、メンバー自身も嬉しさを覚えていた。

 

  次のブロックは、心地好く跳ねたビートも気持ちいい、スタイリッシュでクールなエレクトロスタイルに進化した「コーラフロートキス」からスタート。フロアでは、楽曲にあわせ軽快にステップを踏みながら躍る人たちも。サビでは、メンバーの振りにあわせ、一緒に振りを真似ながら楽しむ人たちがフロア中にいたように、誰もが、このときを本当に心待ちにしていた。舞台上のメンバーたちも愛らしい表情と歌声でせまりながら、その動きから妖艶さという大人の魅力もさりげなく醸しだしていた。メンバーが跳ねる姿と気持ちを合わせるようにフロア中で飛び跳ねる人たちの姿からも、見ていて本当に楽しんでるなという気持ちが伝わってくる。
 強烈な四つ打ちのビートの上で、切ない思いを胸に抱えながら、3人が「春よ、またね」を歌いだした。楽曲は躍動的で刺激的なのに、彼女たちは胸に抱いた言いようのない切ない心模様を語るように伝えてきた。彼女たちの踊りも、まるで舞い散る桜の花びらのよう。儚さを覚えながらも、強烈なビートに身体はずっと揺れ続けている。でも、心は切なさに揺れていた。この不思議な、胸をキュッと鳴らす少し痛い気持ちに、今は酔っていたい。
  切なさを抱いた心へ、さらに哀しみや痛みを塗り重ねるように、未完成リップスパークルは「黄昏アウフタクト」を歌唱。こちらもライブ仕様になった強烈なダンスビートが身体を直撃するが、何より3人の哀愁を帯びた歌声や、胸をキュッとしめつける切なくも美しいメロディーに気持ちがスーッと引き寄せられる。この曲のサビ歌へ触れるたび、切ない気持ちがどんどん募りだす。思いを募らせる落ちサビの歌声に高まる心。その高まった気持ちのまま、ずっとずっと女性の期待に揺れる恋心に気持ちか引き寄せられていた。

 

  流れた映像では、雪梨冴愛が作詞した新曲の「ガチ恋♡Melody」について、みずから作詞をした理由を語っていた。この曲の歌詞は、電車の移動中などに考えていたそうだ。雪梨冴愛は「ガチ恋♡Melody」について、「アイドルにガチ恋しているヲタクのことを思って書いた」と語っていた。楽曲も、「最初は恰好いい系だったけど、歌詞の世界観に合わせ可愛く仕上げてくれた
とも語っていた。彼女いわく「胸がキュルンとなる、ガチ恋を軽くした感じ」の内容とのこと。これから楽曲に触れる人たちは、そこも踏まえて耳にしてもらいたい。

 

  雪梨冴愛の言葉を受け、次のブロックでは雪梨冴愛初作詞曲の「ガチ恋♡Melody」を初披露。胸のドキドキとシンクロするくらいの早鐘を打つようなビートに乗って、メンバーたちが甘い表情でアプローチ。歌詞にも、ガチ恋したヲタクの心情をリアルな言葉で投影。ガチ恋して何も身に入らない気持ちを、3人は歌唱。しかも3人は、「目の前にいる私たちに、みんなもガチ恋しちゃいなよ」と誘いをかけるようにせまってきた。この日はワンマン公演のように、ガチ恋してる人たちが大集合していたのは確かだけどね。3人が、自分のメンバーカラーのペンライトを振りながら、ファンの気持ちになって歌い躍る様も、胸をキュンとときめかせるポイントだ。

 

 さぁ、ここからは夏を舞台にした楽曲を通し、サマーパーティーだ。これから作りあげるドッキドキのときめいた夏物語を始めるように、未完成リップスパークルは高ぶる気持ちと歌声を魅力に「ああっ 夏!はんぶんこサマーっ」を歌いだした。彼女たち自身が夏の日射しとなり、フロア中に眩しい輝きを降り注ぐ。新穂純麗の「みんなのこと大好きー」の言葉に胸がキュンと高鳴る。素敵な夏の想い出を一緒に作ろうと誘いかける3人に刺激を受け、気持ちがどんどん高まりだす。
  キラキラとした夏の日射し以上にキラキラとしたメロディーに乗せ、「ファンファンファンタスティック」が飛びだした。両手を大きく左右に振るメンバーらの動きにあわせ、フロア中の観客たちも両手を高く掲げ、手にしたサイリウムを大きく振り出した。こちらもライブで熱狂一体化した景色を作り続けてきた曲のように、メンバーと観客たちが一緒に動きを重ねあわせ、ガチ恋気分ではしゃいでいた。気持ちを一つにみんなで振りを真似ながら躍る、このひとときがたまらなく心を騒がせる。このドキドキ、何度味わっても変わらない。いや、このドキドキを知れば知るほどのめり込んでゆく。


  未完成リップスパークルのサマーソングといえば、やはりこの曲だ。「いたずらさまーキュンラプソディ」が流れたとたん、ドキドキとワクワクが破裂しそうな勢いで膨らみだす。大好きな人とのひと夏の素敵なひとときを、この歌を通してずっと感じ続けていたい。胸がキュンと高鳴る恋したときの気持ちが、この歌へ触れている間中、ずっと高まり続けていた。たまんないよ、彼女たちがつれてきた夏は、心をメロメロに溶かしてしちゃう魔法のよう。メンバーも、観客たちも、胸をキュンキュンときめかせながら、この歌に夢中になっていた。

 

 盛り上がった気持ちを、もっともっと高めちゃえと誘いかけるように、未完成リップスパークルは「らぶモン」を届けてくれた。彼女たちが歌う魔法の呪文を心の中でともに叫びながら、メンバーらと一緒に大きく振りをあわせ、3人にガチ恋した気持ちで夢中になって騒いでいた。愛らしい仕種で彼女たちが歌う魔法の呪文を耳にするたびに、3人の届ける愛に強く心が引き寄せられてゆく。

 

 映し出された映像では、メンバーたちがアイドルとして活動を続けている今の心境や、未来へ向けての気持ちを語っていた。メンバーそれぞれ、辞めようと思った時期を経験。それを踏まえながらも,アイドルとして続けてゆく強い意志を。未完成リップスパークルとして歩んでいく決意をしっかりと語っていた。七瀬美優にいたっては、今年1月で本気で辞めようとも決めていたように、今だからこそ言える心模様も語っていた。3人とも、アイドルを続ける選択を取ったことに後悔はない。

 

  今までいろんな選択をしてきたからこそ、今、確かな決意を胸に。「そしてまた、ここから新たに僕たちの選択が始まるんだ」と宣言するように、凛々しい歌声で3人は「ココカラ」を歌いだした。とてもスケールあふれる力強い楽曲だ。雄大な曲の上で3人は、胸に抱いた強い決意を言葉とパフォーマンスに託しメッセージしてゆく。愛らしいたけではない、自分たちの胸の内に秘めた想いを突き刺すように歌う楽曲は、その思いを受けとめた人たちの気持ちも熱く高ぶらせていった。強い意志を抱いた歌声は、僕らの気持ちも強く揺さぶっていた。
 ここから描いた世界へ向かって羽ばたくんだと、未完成リップスパークルは自分たちの強い意志を示すように「Starlight Story」を届けてきた。自分たちが揺るがぬ意志を持って走ると誓ったからこそ、彼女たちは未来へ進む今の自分たちの決意を、このブロックの曲たちを介して伝えてきた。ただやみくもに未来をつかもうとするのではない。次に目指すステージ(未来)が明確に見えているからこそ、彼女たちはその未来をつかむ気持ちを、熱を抱いた歌声に託してきた。その姿にエールを送るように、フロア中から無数のサイリウムの光がはためく翼のように揺れていた。
  自分たちはまだまだ未完成だ。たとえ何年活動を続けてようが、自分たちで求めたい未来が目の前にある限り、進化し続けるのは当然のこと。激しく躍動する「未完成music」を歌いながら、3人は自分たちの気持ちを熱く鼓舞するように歌っていた。その姿に触発され、フロア中からも無数のサイリウムの光が突き上がる。たとえそれが未完成な姿でもいい、沸きだす思いを全力でぶつける姿こそ人の心を動かせば、その熱意が、共に歩みたくなる未来の道へと繋がってゆく。その決意や強い意志を、彼女たちはこのブロックに示していった。

 

 ここでメンバーが感想の言葉を述べだした。

 

ゆきなしさえ

 「新曲、可愛くない?完走のキンブレを持ったダンスがすごく好き。これからも「ガチ恋♡Melody」、みんなで一緒に覚えて、楽しんで、いい曲にしていきましょう」(雪梨冴愛)

 

にいぼすみれ

  「未完成リップスパークル、6年目。うまくいかなかったこともたくさんありましたけど。それでもあきらめずに頑張っていきます。みんなの前に長く立っていけるように、これからも頑張ります」(新穂純麗)

 

ななせみゆう

 「わたしは今年の1月に卒業する予定でした。それは、自分の中で活動のピークを自分で勝手に決めていたからです。年も姉さんだし、まわりにも「何時までやってんの?」みたいに言われたりして。勝手に自分の中で「あー、もう辞めなきゃいけないんだ」と思って、そのときから自分の中では成長することをあきらめてました。
  1月に卒業するという話をして、このライブで卒業という予定の話もしてて。そんな中でコロナウィルスか蔓延して状況がいろいろと変わっていって、その話の流れで事務所移籍の話が来て、そのときにもう一度、自分と向きあって、もう1回頑張ろうという気持ちになれたんですけど…。
 活動していくにあたって、いろんな転機が訪れるたびに「変わらないためにも変わることって必要なんだよ」って、ファンの人にも、メンバーにも言ってきました。わたしは、事務所の移籍をきっかけに残ることを決めたから、変わらなきゃいけなかった。だから、この選択をしなかったら、わたしは今、ここに立っていません。わたしは、この選択をしたことは間違ってないと思っています。その中で、絶対に成功させたいなと思ったのが、このワンマンライブ「-ぼくたちの選択-」です。そういう理由で、このタイトルを決めさせていただきました。
  変わらなきゃいけないものがあるのと同時に、変わっちゃいけないものって絶対にあると思ってて。その変わっちゃいけないものを、このライブで伝えたかったんですけど、伝わってますか?(拍手起きる)。私たちはライブで伝えることしかできないから、変わっていく中でも変わらないもの。自分たちの信念とか、そういうのをライブで、これからも届けていけたらなと思っています。これからも私たちはいろんな選択をしていくけど、これからもずっと私たちについてきてください」(七瀬美優)

 

 

 変わらない大切さ、変わることの意味。いろんな思いを3人は小さな心の中へ抱えながら、あの日の夢の続きをまたここから始めようと、最後に「加速FANTASY」を力強く歌っていた。彼女たちが、この日までにしてきたさまざまな選択を。未完成リップスパークルとして未来へと向けた決意を、すべてこれからの未来へ繋げるように、3人は「あの日の夢から 続きを始めよう」と、自分たちの決意を歌声に乗せ仲間たちへ伝えてきた。その決意を耳に、胸にし、気持ちを高ぶらせた観客たちが、フロア中で飛び跳ねていた。「あの日描いた夢の続き」をここから始めようと行なったこの日のライブ。その続きを、また一緒に描いていきたい。

  最後に、未完成リップスパークルは、12月15日に川崎ツクラブチッタでワンマンライブを行なうことを発表した。この日のワンマン公演にプチとつけていたのも、すべてはここへ繋がる道のためだった。 

 

LIVE


  この日のライブの構成は、メンバー自身の想いやアイデアを元に構成されていた。ブロックごとにストーリー性を持って描いていたのも特徴だが、1本のライブを通し「自分たちがいろいろ選択してきた道筋」と、「その道を、これからも未来へ繋げてゆく」強い決意がそこには示されていた。
 彼女たちが、未完成リップスパークルとして生きてゆくために選んだ「選択」。今や、アイドルの定義も、昔と変わってきた。アイドルという姿を通した表現者という意識を強く持つ人たちが増えたことで、アイドルとして長く表現の道を求める場が開ければ、それを当たり前に支持する人たちも年を重ねるごとに増えている。もはや、年齢を理由にアイドルを引退するなど、ナンセンスなこと。その人が「表現したい」気持ちがある限り、いくつになっても表現し続ければいい。事実、松田聖子という、60歳という年齢に近づいたアイドルが、すでに道は築いている。それに続けとはと言わない。ただ、自分の意志を持ってアイドルという表現者の道を選び、その姿勢のまま40代でも、50代でも、60代になろうと続けていける環境は出来上がりだしている(30代のアイドルは着実に増えている)。共に年齢を重ねながら、描いた夢を、バンドやシンガーたちと同じように10年20年とかけて達成していけばいい。
  確かに、若さは武器だ。でも、今やアイドルという言葉は「偶像崇拝」という意味だけに止まるものではない。むしろ今は、アイドルを「共に夢を追いかけられる象徴」と捉えるべきだろう。人が、必死に夢を追いかける姿は、いくつになっても輝いて見える。その輝きに年齢もキャリアも関係ない。その存在(人)が本気を出している姿は、10代でも40-50代でも変わらず胸を打つ。
  今回、七瀬美優が下した決断、同じく、新穂純麗や雪梨冴愛も胸に抱いている「アイドルとして生きてく決意」。その「決意」を、この日のライブで3人は示してくれた。
 その決意を超えた先に生まれた、今の目標、それが12月15日にクラブチッタ川崎で行なうワンマン公演になる。新たな輝きをまとった彼女たちが、そこにどんな輝きを示してくれるのが、その姿をまだまだ追いかけたい。

 


TEXT:長澤智典

 

 

セットリスト 
映像 
「私信津々恋愛CHU」
「ニンジン」
MC
「コーラフロートキス」
「春よ、またね」
「黄昏アウフタクト」
映像
「ガチ恋♡Melody」
「ああっ 夏!はんぶんこサマーっ」
「ファンファンファンタスティック」
「いたずらさまーキュンラプソディ」
「らぶモン」
映像
「ココカラ」
「Starlight Story」
「未完成music」
MC
「加速FANTASY」
映像



 

<インフォメーション>

 

2021年12月15日(水)川崎クラブチッタにて未完成リップスパークル6thワンマンライブ開催決定!!
https://youtu.be/p7MyhwFaVPs


未完成リップスパークル 新メンバーオーディション開催中!!
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七瀬美優 SNS
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