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2025.02.21
Ruu/陽向なつみ/恋々音リヴ/ツキマチアス/東雲ろん/ただのゆき

「New Comer Special Live Vol.16」ライブレポート

 新しい時代を彩る可能性を持った女性アーティストたちが出演。定期開催中のイベント「New Comer Special Live」。タイトル通り、ここには、次代を担う可能性を秘めた女性アーティストたちが多く参加している。出演者にライバー/シンガーやVsingerが多いこともあって、毎回、国内中の人たちへ向けてライブ配信(アーカイブ放送もあり)をしているのも、このイベントの嬉しい特色だ。

  最近では、Ruu、陽向なつみ、東雲ろんのようにこのイベントへコンスタントに出演したり、月明ゆかりのように立て続けに出演をするなど、「New Comer Special Live」をライブ活動の中でも重要な場にしている人たちが増えている。

  1月に行ったイベントに引き続き、2月にも2本イベントを開催。ここではRuu/陽向なつみ/恋々音リヴ/ツキマチアス/東雲ろん/ただのゆきが出演、2月15日(土)にGOTANDA G+で夜に行われた「New Comer Special Live Vol.16」公演の模様をお届けしたい。

「New Comer Special Live Vol.15」ライブレポートはこちら

 


ツキマチアス

 とても幻想的な始まりだ。青く光る猫耳ヘッドフォンを付けたツキマチアスが最初に歌ったのが、『だって、僕らは星だから。』。まるで物語を紡ぐように歌いだした彼女だが、気持ちとシンクロするように楽曲が躍動するのにあわせ、ツキマチアス自身もステージの上を左右に動き、歌声に気持ちを乗せ、この空間に熱を生み出してゆく。ときに綺麗なハイトーンヴォイスも響かせながら、物語は幕を開けた。

 ツキマチアスの歌うどの楽曲にも、心葛藤する物語を感じる。ぼっちな主人公が登場する『アスール』も、曲が進むにつれ躍動するだけではなく、そこへ多種多様にカラフルな彩りを与え、彼女が描きだす心の物語に、どんどんいろんな感情の色を塗り重ねてゆく。だから、ツキマチアスが歌う想いの行方が気になり、熱いクラップをしながらも、彼女の描く物語に登場する主人公の心の行方を熱情しながら追いかけていた。

 切々とした音色の上で、ツキマチアスは言葉のひと言ひと言に気持ちを乗せながら、今にも感情が壊れそうな様でバラードの『Triangle』を歌いあげていた。自分を輝く世界へ連れていってくれるのは歌うことだと知っているからこそ、彼女は灰色の心へ光を差すように朗々と歌っていた。葛藤と輝きを求める思いが交錯してゆく楽曲だ。ツキマチアス自身も、心の嘆きや涙、悩みや葛藤を輝きに変えてゆくように力強く歌っていた。

  表情は一変、『音楽宣言』でツキマチアスは、力強く躍動したロックサウンドに乗せて凛々しい歌声を響かせた。曲が進むごとに、歌声が熱を抱いてゆく。ツキマチアスの歌は、歌詞がとても気になる。そこに綴られた心の声をもっと深く知りたくなる。気持ちを奮い立てる感情的な歌声だ。みずからを鼓舞するように歌う、その声に心がズーッと引き寄せられていた。

  ツキマチアスは、最後に歌始まりの『Space World』を熱唱。どの曲にも非現実の世界へ連れ出すサウンドと、闇の中から光を求めようとする生々しいまでにリアルな想いが交錯する、不思議な、でも、強く惹かれる世界をこの曲に覚えていた。だからフロアでも青いペンライトを振りながら、彼女が描く世界へ飛び込み、思いを分かち合いたい人たちがあちこちにいた。短い時間とはいえ、ずっと歌の数々に綴った思いへ寄り添っていたかった。

ツキマチアス

ツキマチアス

 

 

陽向なつみ

 ハロプロ大好きな陽向なつみらしく、ライブは夜の公演に相応しいモーニング娘。の 『Moonlight night ~月夜の晩だよ~』からスタート。軽やかにステップを踏みながら、彼女は歌声を力強く響かせ、この場にいる人たちへ、熱狂という月夜が授ける魔法をかけてゆく。フロアのあちこちで、陽向なつみカラーの赤いペンライトの輝きが大きく揺れていた。

 夜は、気持ちをファンタジックに染めあげる。続く、ふわりPの『ゆめのかたち』でも陽向なつみは、しっとりした楽曲にあわせ、儚さを持った歌声を魅力に、曲に綴られた想いに命を吹き込んでいた。彼女が歌い進めるごと、一つ一つの歌詞がドラマチックに彩られる。けっして派手な曲ではない。だからこそ、より身近に、心へ寄り添うように歌声が胸に響いていた。曲が進むごとにキーが上がって行く中で、声量も増していくのも、それだけ陽向なつみ自身が想いを深く込めて歌っていたからだ。

  最後に届けたのが、春奈るなの『君色シグナル』。この曲では、2/15ではあるが、陽向なつみにとってのバレンタインデーとして、観客たちにチョコレートを配りながら歌っていた。とてもキュート&チャーミングでポップな楽曲だ。この手のかわいらしい曲は、陽向なつみにとても似合う。歌いながらチョコレートを配る彼女の姿を目で追いかけながらも、じつはチョコレートの届く行方も追いかけていた。後半には、みんなで声を張り上げて盛り上がる場面も、明るく元気でエネルギッシュでポジティブな姿こそ、まさに陽向なつみのライブ時に求めたくなる彼女のユニフォームだ。

陽向なつみ

陽向なつみ

 


恋々音リヴ

 坂本真綾の『マジックナンバー』を通して恋々音リヴは、この場を心弾むカラフルな景色へ染めあげようと、みずからも心を弾ませて歌っていた。彼女の澄み渡る真っ直ぐで力強い歌声に触れていると、心の中へ次々と元気がチャージされてゆく。ステージの上の恋々音リヴは、眩しい輝きを放っていた。その眩しさを、全身でしっかりと受け止めたい。そして「1.2.3」の歌声を合図に、一緒に気持ちを熱く弾ませたい。

 恋々音リヴは景色を塗りかえるように、夜のライブに相応しい絢香の『恋焦がれて見た夢』を言葉の一つ一つを大切に紡ぐように歌いだす。彼女自身が、歌の主人公に気持ちを染め上げ、楽曲の世界へどっぷりと浸りながら、少し切ない想いを。でも、ただつらいだけではなく、そこに儚い美しさも描き加えて歌っていた。曲が進むごとに、恋焦がれる想いが膨らみだす。そんな様も感じながら、彼女の歌う姿へ、暖かい眼差しを向けていた。そしてまた、恋々音リヴに恋をしてしまった。

 力強くも表情豊かな歌声を魅力にしている恋々音リヴに、秘めた情熱を破裂させるように歌うLiSAの『紅蓮華』はとても似合う。サビに入ってガッとテンションを上げるのではなく、流線を描くように綺麗に歌声やテンションを上げ続ければ、その中へ巧みに抑揚した表情を付けてゆく。これも、卓越した表現力を持つ恋々音リヴだからこそ見せられる姿。熱情しながらも、感情豊かな歌声をずっと追いかけ、心にしっかり焼き付けていたかった。

 最後に恋々音リヴは、オリジナル曲の『とびっきりの愛』を、タイトル通りとびっきりの愛情を詰め込んで届けてくれた。彼女自身がハートをドキドキときめかせて歌唱。恋々音リヴ自身の弾む心模様が、跳ねるようなウキウキとした歌声から有り有りと伝わってきた。それがカバーでも、オリジナルでも、彼女の歌声に心がドキドキしっぱなしだった。また嬉々たく‥いや、聴きたくなる、素敵な歌ばかりだった。

恋々音リヴ
恋々音リヴ

 


ただのゆき

 ただのゆきのライブは、相川七瀬の『夢見る少女じゃいられない』を歌い、瞬時に会場に熱を掻き集めながら幕開けた。疾走&躍動する楽曲に乗せ、激しく攻める‥のではなく、情熱を抱きながらも、言葉のひと言ひと言を明瞭に伝えるように歌う、その豊かな表現力に耳や心が惹かれる。とはいえ、フロアからは、熱くクラップが鳴り響けば、ただのゆきと掛け合うように熱い声もガンガン飛び交っていた。「ゆきはゆきでも」「ただのゆき」の掛け合いも印象的。勢いで押し切るのではなく、確かな表現力を持って楽曲の持つポテンシャルを最大限まで引き出してゆくところが、素直に格好いい。

 続いては、オリジナル曲のブロックへ。先に歌った『Applause』も、激しめに疾走するパワフルなロックナンバー。ただのゆきも気持ちを攻めたモードに染めあげ、ときに声を張り上げ、熱情した想いを真正面からガンガンにぶつけていた。ロックな魂を持ったシンガー??そう感じてしまうくらい、情熱的な歌声を彼女は次々とぶつけてきた。だから魂を燃やし、熱くなった想いを絶叫に変えてステージ上へぶつけずいれなかった。

  対して『insomnia』は、少しアンニュイさを持ったミドルメロウな楽曲。この曲では、胸の内に閉まっていた想いを少しずつ零すように歌うただのゆきの姿があった。けっして声を張り上げることはないが、儚くも哀切な歌声の中へ壊れそうなほどの情熱を込めて歌っていたからだろう、その歌声が触れた人たちの気持ちを熱く濡らし、揺らしていた。とても感情表現豊かな歌い手だ。その曲に似合う表情で歌声に色をつけてゆく。だから、一つ一つの楽曲をしっかりと受け止めていたかった。

 最後にただのゆきは、LiSAの『Catch the Moment』を歌い、ふたたびこの場に熱情した景色を作りあげた。イントロが流れた時点で、フロアから熱い声が飛び交えば、その熱も力に変え、彼女は凛々しい声を響かせ、一人一人のハートを力強い思いで叩いていった。歌うひと言ひと言が、勇気や沸き立つ力になる。そのエナジーを受け止めたくて、ただのゆきのライブに足を運んでいる人たちもきっと多いに違いない。その情熱を、また思いきり受け止めたい。

ただのゆき

ただのゆき

 

 

東雲ろん

 普段はVsinger (Vtuber×Singer)として活動をしている東雲ろん。ライブのときだけは、バーチャルな姿ではなく、生身の姿を人前に出している。その姿を見れるのはライブの場しかないので、この場にいた人たちはとてもラッキーだ。

  東雲ろんのライブは、とても透明感があって伸びやかな歌声を魅力に歌ったKyleeの『CRAZY FOR YOU』からスタート。会いたいけど会えないもどかしい思いを、彼女自身が歌に登場する主人公に気持ちを染めあげて歌っていた。いわゆる感情移入/憑依型のシンガー??東雲ろんが歌うと、その歌の主人公が目の前に現れ、目の前で思いを伝えてゆく感覚になる。だから、その歌の行方を夢中になって追いかけていた。

 YUKIの『歓びの種』では、彼女自身が目の前にいる人たちへ愛を届ける姿勢で歌っていた。ゆったりとした楽曲に気持ちを寄り添え、愛をギュッと詰め込んだ温かい歌声を、東雲ろんはフロア中に響かせていた。思いを詰め込んだ歌の種は、きっと、この場にいる一人一人の心の中に埋め込まれ、彼女の歌声を養分に芽吹いてゆく。そんな風に思いを巡らせたくなる、とてもハートフルな歌だった。その温かな歌声と思いに、ずっと包まれていたい。

 後半は、オリジナル曲を披露。現在、配信リリース中の『Kaleido World』は、いろんな心模様や多彩な歌声を魅力にしている東雲ろんに似合う、爽やかな中から、いろんな心の色(表情)が見えてくる楽曲だ。彼女自身が、リラックスした気持ちで歌うことを楽しんでいた。その楽しさに導かれ、フロア中から熱いクラップや温かい掛け声も飛び交っていた。爽やかな表情を持った『Kaleido World』、今の東雲ろんにとても似合う歌声の洋服だ。

  続く『Simple』を披露するのは、この日で2回目。しっとりとした表情から幕を開けた楽曲は、少しずつ彩りを豊かにしながら進んでいく。その彩りへ暖色系の温かい色の絵の具をいろいろ塗り上げていったのが、東雲ろんの歌声。まるで優しいそよ風を肌に感じているような、微笑ましい楽曲だ。シンプルな演奏の上に、東雲ろんの歌声がいろんな彩りを与えてゆく。この曲が、これからライブを通してどんな風に成長していくのかが、楽しみだ。

アー写

 


Ruu

 昼公演に続き、夜公演でもトリを飾ったのがRuu。最初に歌ったのが、LiSAの『NEW ME』。シンプルな演奏の上に、Ruu自身が感情的な歌声で豊かな彩りを与える。Ruuの場合、ソウルフルな歌声で楽曲に表情や彩りを付けてゆくことが多い、そういう曲ほど表現するのが似合うシンガーだ。楽曲が中盤頃から躍動しだすが、Ruu自身のパワフルな歌声がエナジーとなり、その勢いをさらに押し上げてゆく。その熱に魅了され、フロアからも熱いクラップや野太い声が飛び交っていた。

 続いて歌ったのが、ONE OK ROCKの『Wherever you are』。男性ヴォーカル曲とはいえ、この手のスケール大きなバラード曲は、表情豊かで声量のあるRuuにとても似合う。ひと言ひと言へ細かい抑揚を巧みに付けながら、シンプルなこの曲にも、Ruuらしい秘めた情熱を覚える色を塗り上げていった。曲が進むごとに声量が増してゆく。そのたびに、気持ちが強く惹き付けられていった。

 後半は、オリジナル曲のブロックへ。先に歌ったのが、Ruuの情熱的な歌声が爆発した『Will』。フロアのあちこちで真っ赤なペンライトの輝きが揺れている。その赤い光が、情熱を燃やすように歌うRuuの心の様にも見えていた。サビでは情熱的に駆けだすRuuの歌声にあわせ、赤いペンライトやタオルを振り回す景色が誕生。間奏では、場内のあちこちから熱い声も飛び交うなど、『Will』を通してRuuは、この場に熱情した空気を作りあげていった。

  最後にRuuは、この日の昼公演のときから披露し始めた新曲の『ハッピーラッキー』を明るく元気に歌いだした。「ラッキー」「ハッピー」と歌うRuuの歌声と観客たちが掛け合う様も生まれるなど、この場にいるみんなで楽しくパーティーの場を作りあげる楽曲だ。『ハッピーラッキー』は、これからもRuuのライブの中にみんなでハッピーな気分ではしゃぐ空間を作りあげる楽曲として成長しそう。この楽しさの続き、また味わいたい。

Ruu

Ruu


 次回の「New Comer Special Live」の開催が、また楽しみになってきた。


PHOTO:Dory
TEXT:長澤智典

 

■セットリスト

ツキマチアス
『だって、僕らは星だから。』
『アスール』
『Triangle』
『音楽宣言』
『Space World』

陽向なつみ
 『Moonlight night ~月夜の晩だよ~』(モーニング娘。)
『ゆめのかたち』(ふわりP) 
『君色シグナル』(春奈るな)

恋々音リヴ
『マジックナンバー』(坂本真綾)
『恋焦がれて見た夢』(絢香)
『紅蓮華』(LiSA)
『とびっきりの愛』

ただのゆき
『夢見る少女じゃいられない』(相川七瀬)
『Applause』
『insomnia』
『Catch the Moment』(LiSA)

東雲ろん
『CRAZY FOR YOU』(Kylee)
『歓びの種』(YUKI)
『Kaleido World』
『Simple』

Ruu
『NEW ME』(LiSA)
『Wherever you are』(ONE OK ROCK)
『Will』
『ハッピーラッキー』
 

配信チケット及び詳細
https://starman.zaiko.io/e/newcomer-16

配信日時
02/15 (土) 21:00 – 03/17 (月) 23:59


■SNS

ツキマチアス
https://lit.link/tsukimachiasu

陽向なつみ
https://x.com/natsumin723n

恋々音リヴ
https://lit.link/livusama

ただのゆき
https://lit.link/tadanoyuki

東雲ろん
https://lit.link/Shinonomelon

Ruu
https://x.com/Ruu1111music4u
https://www.instagram.com/ruu_music4u/

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