Speak emo
ヤなことそっとミュート|今までのヤナミュー像、「Afterglow」像を崩さず、豪華にアップデートしたものが出来上がったと思います
3年前に取材した際、メンバーはあまり喋らなかった。こちらの質問に対して沈黙が続くこともしばしば。ようやく捻り出した回答も少ない言葉をやっとのことで繋ぎ合わせたようなものだった。
だが、このインタビュー冒頭にも少し記しているように、発した言葉は興味深いものが多く、“面白発言”も次々と飛び出した。本文では紹介していないが、「ヤなことそっとミュート」(通称;ヤナミュー)という“変わった”名前について問うた際、南一花が「それまでは誰も“ヤなことそっとミュート”って言ったことがなかったじゃないですか。でも“ヤなことそっとミュート”。おぉ~!って感じ」と答えたのも興味深かった。「誰もがそう感じながらも明確な言葉が与えられていなかった概念」と言いたかったのだろう。
思うに、彼女たちは単なる口下手というより、たとえ時間を要しても、自分の本当の気持ちをなんとか掴み取り、それを自分の言葉で正確に表そうと奮闘していたのではないだろうか。相手に合わせて適当に相槌を打ったり、安易な言葉でその場をやり過ごしたりすることを良しとせず、真摯に本当の想いを言葉として紡ぎ出そうとしていたに違いない。
彼女たちのステージパフォーマンスには「何かを掴もうとするかのように前方に手を伸ばす」動きがしばしば見られる。それはまるで、自分の本物の気持ちを直向きに掴み取ろうとする行為を象徴するかのようなアクションであり、そこにヤなことそっとミュートの本質があるのではないだろうか。
あれから3年。彼女たちは随分と喋れるようになった。様々な経験を積んで頼もしくなったようだ。
2016年6月本格的なグランジ/オルタナティヴ・サウンドを引っ提げ颯爽とデビューした彼女たち。2017年3月に1stアルバム『BUBBLE』を、2018年6月には2ndアルバム『MIRRORS』を世に問い、さらには10月より「ユモレスカ」シリーズとして3曲入りEPを3ヶ月連続リリース(のちにこれらEP3枚をまとめてアルバム『ユモレスキ』として発表)し、2019年6月からは「NINE」シリーズと銘打って9枚のシングルを配信リリース。様々なスタイルの楽曲が怒涛のスケジュールで世に送り出されたこのシリーズは、ライブやレコーディングでの彼女たちの表現を大きく進化させたようだ。
昨年8月にはメンバーの脱退を経て3人体制となったヤナミューだが、12月に強力な新メンバー、凛つかさを迎えて再び4人体制となり、3月25日にいよいよメジャーデビューを果たす。その第1弾となるシングルは、既にファンにはお馴染みの「Afterglow」にストリングスを配したニューヴァージョン。これまでのヤナミューにはなかった、少々意外なアプローチでメジャーでの第一歩を踏み出すこととなったのだ。壮大なストリングスの音を纏いながら、静から動へとダイナミックにドラマティックに展開していく。さらには、カップリング「beyond the blue.」と対となって一つのストーリーを紡いでいくという“仕掛け”まである。
今回インタビューをしてみて、彼女たちが随分と巧みに言葉を操り、随分と的確に自分の想いを表現できるようになったことを感じた。しかし、相変わらず言葉に詰まり、しばし熟考する場面も多々あった。テクニックを獲得し、そこに安住するのではなく、初期のヤナミューがやっていたように、今なお“真実の言葉”を求め、それをより一層研ぎ澄まされた表現として提示すべく、真摯な想いを胸に、さらに“その先”へと手を伸ばし続けているのだ。
間宮まに、なでしこ、南一花、凛つかさにお話を伺った。
あの頃は本当に楽しさだけで全てを乗り越えてきたなって思います(まに)
――もう3年前近くになりますが、1周年イベント「YSM ONE」の時に代官山UNITの楽屋で取材させていただいて…
間宮まに(以下:まに):はい、覚えてます。
――あの時、取材前に運営の方に散々脅されてたんですよ(笑)。「みんな喋んないっすよ」みたいな(笑)。
一同:ああぁ。
――「会話成立しないですよ」みたいなことを言われたんですが…。確かにちょっと言葉数は少なかったかもしれないですが、すごく面白いことを言ってましたよね(笑)。
一同:(笑)。
――例えば、まにさんは「ヤナミューのオーディションは“ネタ”で受けた」っておっしゃってました(笑)。
まに:ネタじゃないですよ!(笑)
――いや、でも確かに“ネタ”っておっしゃってました(笑)。
まに:違います! ネタじゃないです!
――「自分がアイドルオーディション受けたらウケる」みたいな(笑)。
まに:「そういう自分を後から振り返ったら面白いだろうな」って感じのことは言いました。“ネタ”なんて言ったら人聞き悪いです(笑)。
――そうですか(笑)。でも、すごく喋れるようになりましたね。
まに:頑張って成長してます。
――ラジオとかもやってらっしゃいますもんね。
まに:はい。
――なでしこさんは、最初は「やらされている感が“いっぱい”あった」っておっしゃってました。「少し」じゃなくて「いっぱい」って(笑)。“グランジ・アイドル”などと言われてましたが、そうしたものに「全然慣れてない」と。
なでしこ:あぁ、話したような気がします。
――今もありますか?
なでしこ:でも、今はだいぶ染みついてきた感があります。
――今はグランジ詳しいですか?
なでしこ:いやぁ(笑)。音楽のジャンルに関してはそんな詳しくないです。ライブでのパフォーマンスだったりは、あの時と比べれば板に付いてきた感はあります。
――なでしこさんも受け答えが頼もしくなりましたね。一花さんは、皆さんんの取材で話している時とステージでの鬼気迫るパフォーマンスとのギャップがすごい、という話になった時に「ステージに立つ時も自分であることには変わりありません」「ちょっと“スン”って感じになりますけど」っておっしゃってました。「スン」って(笑)。
南一花(以下:一花):ハハ(笑)。そこを後々分析した結果、今ステージ上では“イキり”を大事にしていて…。
――“イキり”ですか???
一花:はい。イキりを。ステージではやはりカッコよく見せたいというか、自信に満ち溢れているように見せたいというか…。見ている人もそのほうがきっと楽しいなと思うので、イキりを大事にしています。
――イキっているわけですね(笑)。つかささんは初めましてですね。
凛つかさ(以下:つかさ):初めまして。
――面白い経歴をお持ちのようで、それは後ほどお訊きします。じゃあ、皆さんもう業界には慣れましたよね?
まに:さすがに多少は慣れた感じがあります。
――この6月で4周年ですよね。振り返ってみてどうですか?
まに:長かったかなぁ…。
――長かったですか?
まに:はい。そんな感じがあります。
なでしこ:前回取材していただいた時なんてもう遥か昔のように思います。
まに:あの頃は本当に楽しさだけで全てを乗り越えてきたなって思います。その間いろんなことがあったので…。
――苦しいこともいっぱいあり…。
まに:それを乗り越えて…。
――それは、例えばメンバーチェンジのことだったり?
なでしこ:それもあります。まぁ、いろいろと。言えないことも(笑)。
――まぁね。その辺は前向きにいきましょうね。
ヤなことそっとミュート リリース情報
Major Debut Single
「Afterglow / beyond the blue.」
2020.03.25 Release
初回限定盤1,800円+税
通常盤1,000円+税 スリーブケース付
[初回限定盤]
-CD-
01.Afterglow
02.beyond the blue.
03.Afterglow -Instrumetal-
04.beyond the blue -Instrumetal-
-DVD-
Afterglow [Music Video]&[Behind The Scenes]
[通常盤]
01.Afterglow
02.beyond the blue.
ヤなことそっとミュート ライブ情報
ヤなことそっとミュート TOUR 2020
4.11 sat LIQUIDROOM [TOKYO] *BAND SET
Open 17:15 / Start 18:00
4.29 wed LIVE HOUSE enn2nd [SENDAI]
Open 15:30 / Start 16:00
5.02 sat INSA Fukuoka [FUKUOKA]
Open 15:30 / Start 16:00
5.16 sat SOUND CREW [SAPPORO]
Open 15:30 / Start 16:00
5.29 fri HOLIDAY NEXT [NAGOYA]
Open 18:30 / Start 19:00
5.30 sat AMERICAMURA DROP [OSAKA]
Open 15:30 / Start 16:00
7.26 sun SHINJUKU BLAZE [TOKYO] *BAND SET
Open 17:15 / Start 18:00